13 / 15
ーー演奏会ーーー
しおりを挟む
演奏会が5日後に迫り、吹奏楽部の練習も佳境に入っていた。
蓮「尚先輩、最近少し調子悪いですか?」
尚「やっぱわかるよね、うん、ちょっと」
浩介「お前昔から私生活でなんかあったら音に出るよね。なんかあった?」
浩介とは中1の頃からの友達だ。一緒に吹奏楽を始めた。浩介はトランペットをしている。
尚「いや、大丈夫。とにかく集中して練習しないとね」
尚はサックスの練習量はこなすものの、なんとなく練習に集中できない時があった。このまま調子が上がらず演奏会を迎えるのだけは嫌だった。
尚は傑と1週間ほど話していなかったが夜メールをおくった。
ー今週末の日曜、演奏会があるんだ。その後で少し会えないかな?話がしたいー
ーわかった。演奏会頑張ってな。終わったら連絡してー
傑ともうすぐ話ができる。この会えない期間で傑への思いは強くなっている気がしていた。ただ、これが恋かどうかは自分でも正直わからずにいた。もう友達に戻れなかったとしても自分の思いをそのまま伝えたいと思っていた。
綾と千鶴は、文化祭の実行委員で仲良くなり、尚の演奏会も一緒に行くことになっていた。
演奏会当日。最寄りの大学のホールで行われるこの演奏会は、6つの高校の吹奏楽部が参加する。地域の人も多く来場する大会で、歴史のある催しだ。尚は少し早く目が覚めた。すると、傑からのメールが届いていた。
傑「今日は聴きに行くよ。楽しんでね。」
尚は、演奏会に向けてとにかく躍起になってサックスを吹いた。"楽しむ"ことを忘れていた気がした。そうだ、俺はサックスの奏でる音やみんなと揃った時の胸が湧き上がる感覚が好きなんだ。今日は楽しもうと思った。
ーー傑、大切なことを思い出させてくれてありがとうーー
尚は程よい緊張感を持って玄関を出た。
駅前に集合した綾と千鶴は、傑が来るのを待っていた。
千鶴「尚さ、本当に努力家でサックスのこととなると周り見えなくなるんだ。5時間くらい練習してご飯食べ損ねたりは日常茶飯事」
綾「すごいね、尊敬する。」
千鶴「うん。でもなんか最近の尚少し違って。なんていうか練習してても満足してないっていうか、やりきれない感じがあるの」
綾「そっか、多分傑のことだよね」
千鶴「喧嘩でもしたの?」
綾「喧嘩っていうか、私もはっきりとはわからないけどたぶん傑に告白されてる」
千鶴「え!?!?!?!?」
綾「ごめん、確信はないんだけど。私も傑とずっといたからなんかわかっちゃって。今日演奏会の後、久しぶりに会うみたい。」
千鶴「そうなんだ。。。。知らなかった」
綾「千鶴ちゃんさ、傑のこといいなって思ってた?」
千鶴「うん、でも本当いいなくらいで、話したこともほとんどないし、まだ始まってもないから」
綾「そっか。どうなるかな。」
千鶴「尚、結構なんでも私に話してくれるのに、今回のことは言われなかった。自分でしっかり考えてるんだよね。私の気持ち知ってたから、遠慮もしてそうだけど。。。。」
綾「私たちは見守るしかできないもんね」
千鶴「私尚にメールしてみる。もちろん綾から聞いたことは言わない」
綾「うん。」
傑が5分ほど遅れて来た。目の下にクマがあり、明らかに寝不足だった。
尚は楽屋で千鶴にメールを打った。
すると千鶴から意外な返事が来た。
ー今日綾ちゃんと傑くんと聴きに行くよ。傑くん、尚と同じくらい緊張してるみたい。笑
前に傑くんのこといいなって言ったの覚えてる?実際話してみると、友達だなって感じた。傑くんは誰かのことが好きって綾ちゃんに聞いたよ。相手はわからないけど、すごく好きみたい。尚は友達だから知ってるかな?
まぁ今日は演奏会だもんね。ごめん、こんなこと。。尚はたくさん努力してるから大丈夫。自信持ってね。ーー
千鶴からのメールを見て、おそらく自分が傑に告白されたことに気づいたのかなと思った。と同時に千鶴の気遣いも伺えた。調子の悪かった俺を心配してくれてたし、いつも1番近くで応援してくれた。
演奏会を無事終えることができたら、傑に正直に話そうと尚は決意した。
幕が上がって、演奏会が始まった。
観客は2000人ほどいてホールはほぼ満席。尚達の高校はトップバッターだ。
千鶴「尚だ。2列目の真ん中」
傑達は客席の前から3列目あたりに座っていた。尚の顔もよく見えた。
一瞬傑と尚は目があった。しかしその視線はすぐに指揮者に向いた。
演奏が始まると、音の迫力に全身が震えた。様々な楽器の音が折り重なり、ダイレクトに脳に響く。とても力強かった。最後の盛り上がりは圧巻で、会場全体がその空気に包まれた。
二曲目は一転、ゆったりした曲だ。伸びやかな管楽器の音。一音一音が丁寧に出されているのを感じた。そしてこの曲にはそれぞれの楽器でソロもあった。サックスは4人で演奏している。尚は男子1人だったが、ほかの三人と息を合わせ、まるで1人が演奏してるかのように音が揃っていた。
演奏している尚はとても生き生きとしていて楽しそうだった。
傑は普段、部活にそこまで情熱を捧げることができずにいたが、尚の姿勢を見て、自分も限界までやってみたいと思うことがあった。その結果最高の気分になれるなら。なんとなくインターハイに行って、周りにチヤホヤされて。練習はサボるし向上心もない自分が恥ずかしく感じた。
演奏会は大成功に終わった。余韻に浸りながら他校の演奏も聴いて帰った。13時過ぎ、全プログラムが終了した。
全てを出し尽くした尚は、楽屋で仲間達と感動を分かち合っていた。これまでの苦労が嘘のように晴々とした気分だった。
ーー早く傑に会いたいーー
傑、綾、千鶴の3人は外に出た。傑のケータイに尚からメールが入った。
ー今から会える?ー
ーお疲れ様。〇〇公園で待ってるー
綾、千鶴と別れた傑は公園に向かった。
公園は木が色づき始めた頃で、半袖だと肌寒い。傑は薄手のパーカーの前を閉めた。
ほどなくして、尚が到着した。
尚「久しぶり。」
傑「素晴らしい演奏だった。感動した。」
尚「ありがとう。」
尚は満面の笑みだった。この笑顔が見れるならずっと友達でもいいと思えてくる。
尚「この前の告白の返事なんだけど」
傑「うん」
尚「正直俺の傑に対する気持ちが恋愛的なものなのかどうかまだわからなくて。傑のことは好きだし、一緒にいたいと思ってる。もう少し時間が欲しいんだ。でも離れるのは嫌だ。前みたいに、できるなら一緒にいたいと思ってる。その中でちゃんと自分の気持ちと向き合うから。。。。わがままかな」
傑「俺振られる覚悟できたんだけど。、友達に戻ってくれるの?」
尚「いや、俺のほうこそ。こんな都合いい話あるのかって自分でも思うんだけど」
傑「そんなことない尚に会えるなら、友達でも全然構わない。告白して10日間会えない時間が本当につらくて、告白したこと後悔してたんだ。嫌われてこのまま、また他人に戻るのかと思って」
傑は涙を流した。この歳になって泣くなんて、自分でも思っていなかった。
傑の涙を見て、尚は傑に駆け寄って思わず抱きしめた。
尚「傑、はっきり答えが出せなくてごめん。俺ちゃんと考えるから。」
傑「うん。待ってる」
演奏会が終わって、2人の関係も少し変化があった。来月は、文化祭もある。傑は、尚がいる音楽準備室にまた行けることが嬉しくてたまらなかった。
蓮「尚先輩、最近少し調子悪いですか?」
尚「やっぱわかるよね、うん、ちょっと」
浩介「お前昔から私生活でなんかあったら音に出るよね。なんかあった?」
浩介とは中1の頃からの友達だ。一緒に吹奏楽を始めた。浩介はトランペットをしている。
尚「いや、大丈夫。とにかく集中して練習しないとね」
尚はサックスの練習量はこなすものの、なんとなく練習に集中できない時があった。このまま調子が上がらず演奏会を迎えるのだけは嫌だった。
尚は傑と1週間ほど話していなかったが夜メールをおくった。
ー今週末の日曜、演奏会があるんだ。その後で少し会えないかな?話がしたいー
ーわかった。演奏会頑張ってな。終わったら連絡してー
傑ともうすぐ話ができる。この会えない期間で傑への思いは強くなっている気がしていた。ただ、これが恋かどうかは自分でも正直わからずにいた。もう友達に戻れなかったとしても自分の思いをそのまま伝えたいと思っていた。
綾と千鶴は、文化祭の実行委員で仲良くなり、尚の演奏会も一緒に行くことになっていた。
演奏会当日。最寄りの大学のホールで行われるこの演奏会は、6つの高校の吹奏楽部が参加する。地域の人も多く来場する大会で、歴史のある催しだ。尚は少し早く目が覚めた。すると、傑からのメールが届いていた。
傑「今日は聴きに行くよ。楽しんでね。」
尚は、演奏会に向けてとにかく躍起になってサックスを吹いた。"楽しむ"ことを忘れていた気がした。そうだ、俺はサックスの奏でる音やみんなと揃った時の胸が湧き上がる感覚が好きなんだ。今日は楽しもうと思った。
ーー傑、大切なことを思い出させてくれてありがとうーー
尚は程よい緊張感を持って玄関を出た。
駅前に集合した綾と千鶴は、傑が来るのを待っていた。
千鶴「尚さ、本当に努力家でサックスのこととなると周り見えなくなるんだ。5時間くらい練習してご飯食べ損ねたりは日常茶飯事」
綾「すごいね、尊敬する。」
千鶴「うん。でもなんか最近の尚少し違って。なんていうか練習してても満足してないっていうか、やりきれない感じがあるの」
綾「そっか、多分傑のことだよね」
千鶴「喧嘩でもしたの?」
綾「喧嘩っていうか、私もはっきりとはわからないけどたぶん傑に告白されてる」
千鶴「え!?!?!?!?」
綾「ごめん、確信はないんだけど。私も傑とずっといたからなんかわかっちゃって。今日演奏会の後、久しぶりに会うみたい。」
千鶴「そうなんだ。。。。知らなかった」
綾「千鶴ちゃんさ、傑のこといいなって思ってた?」
千鶴「うん、でも本当いいなくらいで、話したこともほとんどないし、まだ始まってもないから」
綾「そっか。どうなるかな。」
千鶴「尚、結構なんでも私に話してくれるのに、今回のことは言われなかった。自分でしっかり考えてるんだよね。私の気持ち知ってたから、遠慮もしてそうだけど。。。。」
綾「私たちは見守るしかできないもんね」
千鶴「私尚にメールしてみる。もちろん綾から聞いたことは言わない」
綾「うん。」
傑が5分ほど遅れて来た。目の下にクマがあり、明らかに寝不足だった。
尚は楽屋で千鶴にメールを打った。
すると千鶴から意外な返事が来た。
ー今日綾ちゃんと傑くんと聴きに行くよ。傑くん、尚と同じくらい緊張してるみたい。笑
前に傑くんのこといいなって言ったの覚えてる?実際話してみると、友達だなって感じた。傑くんは誰かのことが好きって綾ちゃんに聞いたよ。相手はわからないけど、すごく好きみたい。尚は友達だから知ってるかな?
まぁ今日は演奏会だもんね。ごめん、こんなこと。。尚はたくさん努力してるから大丈夫。自信持ってね。ーー
千鶴からのメールを見て、おそらく自分が傑に告白されたことに気づいたのかなと思った。と同時に千鶴の気遣いも伺えた。調子の悪かった俺を心配してくれてたし、いつも1番近くで応援してくれた。
演奏会を無事終えることができたら、傑に正直に話そうと尚は決意した。
幕が上がって、演奏会が始まった。
観客は2000人ほどいてホールはほぼ満席。尚達の高校はトップバッターだ。
千鶴「尚だ。2列目の真ん中」
傑達は客席の前から3列目あたりに座っていた。尚の顔もよく見えた。
一瞬傑と尚は目があった。しかしその視線はすぐに指揮者に向いた。
演奏が始まると、音の迫力に全身が震えた。様々な楽器の音が折り重なり、ダイレクトに脳に響く。とても力強かった。最後の盛り上がりは圧巻で、会場全体がその空気に包まれた。
二曲目は一転、ゆったりした曲だ。伸びやかな管楽器の音。一音一音が丁寧に出されているのを感じた。そしてこの曲にはそれぞれの楽器でソロもあった。サックスは4人で演奏している。尚は男子1人だったが、ほかの三人と息を合わせ、まるで1人が演奏してるかのように音が揃っていた。
演奏している尚はとても生き生きとしていて楽しそうだった。
傑は普段、部活にそこまで情熱を捧げることができずにいたが、尚の姿勢を見て、自分も限界までやってみたいと思うことがあった。その結果最高の気分になれるなら。なんとなくインターハイに行って、周りにチヤホヤされて。練習はサボるし向上心もない自分が恥ずかしく感じた。
演奏会は大成功に終わった。余韻に浸りながら他校の演奏も聴いて帰った。13時過ぎ、全プログラムが終了した。
全てを出し尽くした尚は、楽屋で仲間達と感動を分かち合っていた。これまでの苦労が嘘のように晴々とした気分だった。
ーー早く傑に会いたいーー
傑、綾、千鶴の3人は外に出た。傑のケータイに尚からメールが入った。
ー今から会える?ー
ーお疲れ様。〇〇公園で待ってるー
綾、千鶴と別れた傑は公園に向かった。
公園は木が色づき始めた頃で、半袖だと肌寒い。傑は薄手のパーカーの前を閉めた。
ほどなくして、尚が到着した。
尚「久しぶり。」
傑「素晴らしい演奏だった。感動した。」
尚「ありがとう。」
尚は満面の笑みだった。この笑顔が見れるならずっと友達でもいいと思えてくる。
尚「この前の告白の返事なんだけど」
傑「うん」
尚「正直俺の傑に対する気持ちが恋愛的なものなのかどうかまだわからなくて。傑のことは好きだし、一緒にいたいと思ってる。もう少し時間が欲しいんだ。でも離れるのは嫌だ。前みたいに、できるなら一緒にいたいと思ってる。その中でちゃんと自分の気持ちと向き合うから。。。。わがままかな」
傑「俺振られる覚悟できたんだけど。、友達に戻ってくれるの?」
尚「いや、俺のほうこそ。こんな都合いい話あるのかって自分でも思うんだけど」
傑「そんなことない尚に会えるなら、友達でも全然構わない。告白して10日間会えない時間が本当につらくて、告白したこと後悔してたんだ。嫌われてこのまま、また他人に戻るのかと思って」
傑は涙を流した。この歳になって泣くなんて、自分でも思っていなかった。
傑の涙を見て、尚は傑に駆け寄って思わず抱きしめた。
尚「傑、はっきり答えが出せなくてごめん。俺ちゃんと考えるから。」
傑「うん。待ってる」
演奏会が終わって、2人の関係も少し変化があった。来月は、文化祭もある。傑は、尚がいる音楽準備室にまた行けることが嬉しくてたまらなかった。
1
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。


モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる