サックスを吹く君のそばで

いとまる

文字の大きさ
上 下
8 / 15

ーー綾ーー

しおりを挟む
 月曜と水曜の昼休みに傑がいなくなることはみんな知っていた。傑に聞くと、1人で寝てると言っていたが、綾はそうは思っていなかった。



 綾「傑、今日もお昼は彼女のところ?」



 かまをかけてみた。



 傑「何だよ、彼女って。」



 綾「絶対女でしょ」



 傑「違うって。」



 綾は傑を睨んだ。



 綾「じゃあ彼氏だ」



 傑はギョッとして、一瞬固まった。



 傑「お、お前バカじゃねーの?」


 傑は誤魔かしたが、綾は傑の慌てる表情を見逃さなかった。


 ーー彼女じゃない。男なんだ。しかもまだ付き合ってない?自分の気持ちと葛藤してるとこなんだ!!ーー



 綾「ごめん、ふざけすぎた。もう変なこと言わない。」




 傑「は??何なのお前、まぁ、いいけど」




 綾は傑から離れた。実は綾はBLオタクで、現実にそういうことがないかと心の中で期待していたのだ。




 ーー彼女ができてもすぐに別れるのはそういうわけだったんだ。まさかゲイだったなんて。多分傑もそのことに気付いたのは最近っぽいな。相手は誰だろう?邪魔しちゃ悪いししばらく様子見だな。やばい、推せる!ーー




 綾の妄想は大体合っていた。




 



 音楽準備室で過ごすようになって、傑は日に日に尚への気持ちが大きくなるのを感じていた。控えめだがしっかり自分の意見を言う所や努力を惜しまないところは傑にはない面で男としても尊敬していた。




 しかし、それ以上に赤らめた顔や、仕草。話し方、クスッと笑った時の笑顔。サックスを吹いている時の何とも言えない色気。そばにいるだけでドキドキしたし、この時間がずっと続くといいと思っていた。



 自分の気持ちに正直になれたものの、今の関係を壊したくない、嫌われたくないと思い、ただの友達として接するようにしていた。



だいぶ涼しくなってきて、もうすぐ演奏会の時期になる。

















しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。

桜月夜
BL
 前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。  思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

ポンコツアルファを拾いました。

おもちDX
BL
オメガのほうが優秀な世界。会社を立ち上げたばかりの渚は、しくしく泣いているアルファを拾った。すぐにラットを起こす梨杜は、社員に馬鹿にされながらも渚のそばで一生懸命働く。渚はそんな梨杜が可愛くなってきて…… ポンコツアルファをエリートオメガがヨシヨシする話です。 オメガバースのアルファが『優秀』という部分を、オメガにあげたい!と思いついた世界観。 ※特殊設定の現代オメガバースです

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

合鍵

茉莉花 香乃
BL
高校から好きだった太一に告白されて恋人になった。鍵も渡されたけれど、僕は見てしまった。太一の部屋から出て行く女の人を…… 他サイトにも公開しています

そんなの真実じゃない

イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———? 彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。 ============== 人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

処理中です...