サックスを吹く君のそばで

いとまる

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ーー出会いーー

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 理科室への移動で廊下を歩いていた尚と浩介は、ふと、掲示板の新聞に目が止まった。



 それは陸上部の記事だった。県大会での活躍ぶりが話題になっているようだ。そういえば学校に取材が来ていたことを思い出した。



 浩介「すげーよな、これって1組の人だよな?あー、田中傑っていうのか。確か頭も良くて。。。足速くて頭良くておまけに顔もいいとか人生勝ち組だな」




 尚「確かに。まぁ羨ましがっても何もならないし、俺たちは俺たちで演奏会に向けて地道に頑張ろう。」





 浩介「庶民は辛いね。そういえば、今日サックスのメンテ行く日?」




 尚「うん、部活終わりに行く予定。だから今日から数日自主練できないな」




 浩介「少しくらい大丈夫だって。お前練習しすぎだから」



 部活が終わって、尚は1人楽器店に向かっていた。校門を出たところで、陸上部が学校の外周を走っている姿があった。


 ーーすげーな、毎日あんな汗だくで部活して。おまけに結果も出せて。尊敬するわーー


 尚が感心して歩いていると、後ろから1人ゆっくり走っていく人に抜かれた。集団とはだいぶ離れている。


 ーー確かあの人、あの記事の人だよな。みんなと走らないんだ。調子悪いのかな?ーー


 すると、尚を抜いていった彼が数メートル先で止まってこちらに歩いて引き返してくる。




 ーーーうわ、こっちくる。まぁ別に接点もないし、何か話すわけでもないけど、なんか気まず。。。。どうしたんだろ?何かあったのかな?ーーーー




 尚が戸惑って下を向いてすれ違おうとした時、話しかけられた。




 傑「それってなんの楽器?」




 尚「え?。。。。。サックスだけど」




 傑「へぇ。でかいね。どんな音すんの?」





 尚「言葉で言うのは難しいんだけど。。。」




 傑「俺さ、管楽器の音好きなんだよね。いつか聴かせてよ」



 

 そう言って陸上部の彼は去っていった。



 尚は、下を向いていたのでしっかり顔は見れなかったが、自分の好きなことを好きと言われたことがなんだか嬉しくて、胸が熱くなった。






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