サックスを吹く君のそばで

いとまる

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ーー尚ーー

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 女子たちが9割を占める吹奏楽部では、尚たちの居場所は限られていた。2年生の男子は尚ともう1人、そして1年生に2人。男子は合計4人だけだ。男子たちは部活が始まるまで部屋の隅で静かに過ごしていた。


 後輩の蓮がヒソヒソ声で話しはじめた。


 蓮「今日メンバーの発表っすね。俺なんか絶対メンバーは無理だけど、尚先輩と浩介先輩は入ってるといいですね」


 尚「俺昨日寝れなかったんだよね。。。」


 浩介「俺も。。。」


 光「大丈夫ですよ!俺も祈っときます。。」






 顧問が部屋に入ってきていよいよメンバーの発表の時が来た。



 顧問「もうすぐ演奏会と文化祭がある。10月と11月なので同じ曲をしようと思う。文化祭は全員出れるが演奏会の方は人数制限がある。俺は学年は気にせず、実力だけでメンバーを選出したのでそのつもりで聞いてほしい」


 尚の緊張が一気に高まった。尚は中1の頃からサックスをしている。サックスの低くて伸びやかな音色が好きで理想の音を出すため自主練習も欠かさなかった。ただ、尚は体が弱いため、肺活量がない。音が細くなってしまうのだ。それを補うための努力もしたが、もともと肺活量がある人には敵わないと思っていた。


 ーーー去年は1年だったし諦めもついたが今年は2年。できれば選ばれたい。もしダメだったら。。。どうしよう、泣きそうだ、、自信がない。俺なんか、絶対無理だ。でももしかしたらーーーーー


 頭の中でこれまでの努力や悔しかったことが一気に込み上げてきた。



 周りの声が聞こえなくなって頭の中がパニックになっていると、後輩に肩をガシッと掴まれた。



 蓮「先輩!名前呼ばれましたよ!!!」



 尚「え。。。。???」



 蓮「浩介先輩と2人、呼ばれたました!」




 尚はその場で足の力が抜けて倒れそうになったが、後輩たちに支えられ、なんとか平静を保てた。





 メンバーに選ばれた。
 念願の演奏会のメンバーに。





 尚は部活の帰り道。いつも気にかけてくれていた幼馴染の千鶴にLINEを送った。



 

 無事メンバー入り✌︎
 今後も練習に励む!





 千鶴からすぐに返事が来た。


 おめでとう!演奏会楽しみにしてるね!




 1年間努力して、メンバーに入れたことが何より嬉しく、尚はさらに頑張ろうと心に誓った。












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