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ーー傑ーー

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 9月末、模擬試験の結果が返ってきた。


 綾「うわぁ。。。傑さん、5科目合計460点!?学年8位ですか!?信じらんない。。。。」


 順位表を見ていると、クラスメイトの綾が後ろから覗き込んできた。


 傑「悪趣味だな、勝手に見るなよ。仕方ないだろ、できちゃうんだから」

 綾「やな感じ。神様は不公平だ」


 傑「綾さんも頑張ってくださいね。せめて100位くらいには入れるようにね」


 悔しそうにさっていく綾をクスッと笑いながら見送った。



 傑は昔から要領がよく、授業をきちんと聞いて教科書を読むだけで理解できることが多かった。徹夜で勉強なんてしたことがない。



 思えば、部活もそうだ。陸上部で中距離走をしているが、練習は部活の時間だけだし、できれば休みたいとさえ思っている。1500mでは県大会で1位になるほどの実力がある。



 ーー8位か。前回7位だったから少し落ちたな。まぁこれくらい取れとけば大学も無難なところに行けるだろうーーー






 陸上部の休憩中、傑は部活仲間の健太と話していた。



 健太「おい、チア部見ろよ、千鶴ちゃん相変わらず可愛いなぁ」



 傑「お前も好きだね、告白したら?」




 健太「無理に決まってんだろ!千鶴さんは高嶺の花だ。誰の告白もOKしないらしい。」




 傑「まぁ確かに綺麗だもんな。」




 健太「お前だったらいけるんじゃない?お前ムカつくけどモテるし。ムカつくけど」



 傑「興味ない」




 健太「相変わらず冷めてんなぁ。そういえば、テニス部の後輩の子がお前の連絡先知りたいって言ってたんだけど教えていい?」



 傑「いや、教えなくていい。めんどくさいからしばらく女はいいや」


 傑は告白されると、なんとなく付き合うこともあったが結局好きになれず放置するため、女子から振られることが多かった。友達まではいいのだが、恋人となるとしっくりこない気がしていた。



 健太「やっぱお前ムカつくわ」






 練習を再開すると顧問の声が聞こえた。重い腰を上げフィールドに戻っていると、校舎から管楽器の音が聞こえてきた。




 健太「吹奏楽部もうすぐ演奏会らしいよ。涼しい室内で練習なんて羨ましいよな。てか、ずっと楽器吹いて何が楽しいのかね?しかも男子も数人いるよね。女子の中で肩身狭そうじゃない?俺にはよくわからんな~」



 傑「あちらも俺たちみたいに炎天下の中走るだけのヤローのことなんてこれっぽっちも理解できないんじゃねーの?」




 健太は、ははっと笑った。




 インターバル残り3本。体は疲労のピークを迎えていたが、心地よい管楽器の音が聴こえると、少し息が楽になった気がした。




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