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どうも乙女ゲームの悪役令嬢です
どうやら第二王子殿下と一緒に学ぶことになる様です…。
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「お久しぶりです、リズリ・ヘレン・セインド嬢。」
あの後玉座の間に入って来た第一王子殿下に着いて行くようにと言われ、連れて来られたのは客間だった。
「ええ。あ、あの…。」
はい?と殿下は首を傾げる。
「わたくしが一緒にレッスンを受けるのは第二王子殿下…ですよね?」
「ああ、はい。そうなのですが第二王子が今不在なのでここでしばらく待っていただいていただこうと思いまして。」
な、なるほど、と頷き、しばらくの沈黙が走る。
ど、どうしよう…間が持たない…なんとか話をつなげねば…!
「きょ、今日は、いい天気ですね!」
殿下は、ん?と困ったような表情を浮かべる。
「今日は曇り空の筈ですが…?」
その言葉を聞いて私は窓の外を見る。
や、やってしまった――――!
そのまま私は固まってしまう。
プッ!
殿下の吹き出す音が聞こえる。
アハハハハ!
声をあげて笑う殿下を見て私は唖然とする。
王子様でもこんなに笑うことあるんだ、と。
はーっと笑い過ぎて出た涙をぬぐいながら殿下は言った。
「曇りなのにいい天気って…wあなたは面白い方ですね。」
ニコッと笑顔を私に向けて。
なるほど、こんな美形でこんな嘘偽りのない性格だから乙女ゲームの中のリズリ嬢はコロッといっちゃったわけね。
でも記憶を取り戻した私はそう簡単におちないわよ!
「そうかしら。あまり意識したことは無いのだけど。」
「あ、失礼しました。面白い人、なんて言われていい気はしませんよね。」
少しツンとして返すとすぐに謝罪の言葉が返って来る。
ヤバい、記憶取り戻したからってあんまりもたないかも…。
「謝らないでください。少しきつい物言いをしてしまいました。気にしてませんよ。」
そうですか?とまた美形スマイルが返って来る。
「もう殿下は講師を付けておられるのですか?」
これ以上ニコニコ笑われると乙女ゲーム版リズリ嬢の二の舞のなりそうなので話題を切り替えてみる。
「はい。1年ほど前からですね。」
去年から始めてるということは、年齢上は同い年でももう先輩という訳ね。
「もし分からないことなどあれば、遠慮せずに聞いて下さいね。」
もうそれ中学や高校の入学式に上級生あいさつで絶対言われるセリフですよね?などと心の中で突っ込みを入れながらもええ、と返事をする。
コンコン
ドアが叩かれた。
どうぞ、と殿下が言うと、側近であろう男性が入って来た。
「第二王子殿下の準備が整った様です。」
分かった、と殿下は立ち上がり、それにつられて私も立ち上がる。
「では、行きましょうか。」
殿下は私に笑顔を向けて、先を歩く。私も続いて歩く。
実をいうと、第二王子殿下は二人目の攻略対象。
だから私はこれから敵となるかもしれない人と初めましてするわけだ。
まずは第一印象を全力で良くせねば。
リズリは小さくガッツポーズをして気合を入れるのだった。
あの後玉座の間に入って来た第一王子殿下に着いて行くようにと言われ、連れて来られたのは客間だった。
「ええ。あ、あの…。」
はい?と殿下は首を傾げる。
「わたくしが一緒にレッスンを受けるのは第二王子殿下…ですよね?」
「ああ、はい。そうなのですが第二王子が今不在なのでここでしばらく待っていただいていただこうと思いまして。」
な、なるほど、と頷き、しばらくの沈黙が走る。
ど、どうしよう…間が持たない…なんとか話をつなげねば…!
「きょ、今日は、いい天気ですね!」
殿下は、ん?と困ったような表情を浮かべる。
「今日は曇り空の筈ですが…?」
その言葉を聞いて私は窓の外を見る。
や、やってしまった――――!
そのまま私は固まってしまう。
プッ!
殿下の吹き出す音が聞こえる。
アハハハハ!
声をあげて笑う殿下を見て私は唖然とする。
王子様でもこんなに笑うことあるんだ、と。
はーっと笑い過ぎて出た涙をぬぐいながら殿下は言った。
「曇りなのにいい天気って…wあなたは面白い方ですね。」
ニコッと笑顔を私に向けて。
なるほど、こんな美形でこんな嘘偽りのない性格だから乙女ゲームの中のリズリ嬢はコロッといっちゃったわけね。
でも記憶を取り戻した私はそう簡単におちないわよ!
「そうかしら。あまり意識したことは無いのだけど。」
「あ、失礼しました。面白い人、なんて言われていい気はしませんよね。」
少しツンとして返すとすぐに謝罪の言葉が返って来る。
ヤバい、記憶取り戻したからってあんまりもたないかも…。
「謝らないでください。少しきつい物言いをしてしまいました。気にしてませんよ。」
そうですか?とまた美形スマイルが返って来る。
「もう殿下は講師を付けておられるのですか?」
これ以上ニコニコ笑われると乙女ゲーム版リズリ嬢の二の舞のなりそうなので話題を切り替えてみる。
「はい。1年ほど前からですね。」
去年から始めてるということは、年齢上は同い年でももう先輩という訳ね。
「もし分からないことなどあれば、遠慮せずに聞いて下さいね。」
もうそれ中学や高校の入学式に上級生あいさつで絶対言われるセリフですよね?などと心の中で突っ込みを入れながらもええ、と返事をする。
コンコン
ドアが叩かれた。
どうぞ、と殿下が言うと、側近であろう男性が入って来た。
「第二王子殿下の準備が整った様です。」
分かった、と殿下は立ち上がり、それにつられて私も立ち上がる。
「では、行きましょうか。」
殿下は私に笑顔を向けて、先を歩く。私も続いて歩く。
実をいうと、第二王子殿下は二人目の攻略対象。
だから私はこれから敵となるかもしれない人と初めましてするわけだ。
まずは第一印象を全力で良くせねば。
リズリは小さくガッツポーズをして気合を入れるのだった。
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