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31.高嶺の花
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桃はりんごの果実をハーブティーに入れたお茶をポットいっぱいに用意してテーブルに出した。
友人が会いにきてくれたのだ。
「今、本当に、半導体無いのよ。・・・エアコンと給湯機、死守して」
大手メーカーに勤務している雛がそう言った。
「・・・まだまだ寒いのにさ、お湯使えないと辛いじゃない?・・・今手配しても、多分、半年後だからね」
桃が悲鳴を上げた。
昔、雛の祖父が、地元の小学校の元校長先生で、桃が夏と冬の帰国時に学校に通えるように教育委員会に掛け合ってくれたのだ。
今は教育長を務めているらしい。
「両親のどちらかが外国人とかさ、海外育ちの子供って、さすがにちらほらいるようになったのよ。じいちゃん、桃の実績もあるしね。その子達が困らないで学校に通えるようにって、学校で授業で困らない日本語の補修とかさ、保護者と一緒に通える場所作りとかやってるね」
「助かるわー、そういうの・・・」
自分の事を思い出しても、学校という場がどれだけ大切な経験になったかよく分かる。
同じ年頃の子供達を見て接して、学ぶ事は多かった。
勿論、良いことばかりではなく、嫌なことも、悪い事もあったけれど。
けれどそれでも、楽しかった。
「そうよね。最初の頃の桃、何言ってるかわからなかったもの。絵とか書いて、やりとりしていたじゃない?」
そうそう、と二人は笑った。
ところが子供であるし、大して絵心もなくて、通じる方が少なかった。
最初は面白がっていたクラスメイト達も、要領を得ない桃を持て余して離れて行く子もいたが、雛は諦めなかった。
諦めずに、桃と意思疎通してくれたのだ。
それが子供にとってどれだけ大変な事か今はよく分かる。
なので、雛は今でも大切な親友。
「・・・初めて出来た彼氏と結婚するって聞いた時も、やっぱり結婚無くなったって聞いたのもびっくりしたけど。・・・元気で良かった」
「ごめんね」
「本当よ!私、服も買って、美容院も予約してたんだから!」
「・・・本当にごめん・・・」
「いいって。ほら、食べなって」
雛は持参の地元の銘菓の箱を開けた。
雛としては、桃が今現在、昔からの付き合いの男と付き合いだして、まあまあ順調と言う事柄の方が大事。
それに、破局した場合、相手に非があれば、放っておいても説明はあるはずだ。
何の非難も無いとしたら、自分が悪いか、よっぽどの事があったと言う事。
それを、今、桃にほじくり返して聞き出すなんてしたく無い。
「・・・まとまらなかった話より、今の方が大事よね」
雛のそう言うサバけたところが桃にとってはありがたいし好ましい。
「まとまった方の今の彼氏はどんな人?」
「ちょっと前に、大きな工場で雷落ちて火事があったじゃない?屋根のソーラーに燃え移って、なかなか消火出来なくて、結局一晩中燃えてたって言う・・・」
「あったあった。ニュース見た!・・・怖いわよねー」
「近隣一帯も結構もらい火したのよね。で、近くのマンションの住人で、最後まで連絡つかなくて死んだと思われてた人なの」
ええ?と雛が声をあげた。
「・・・テレビで呼びかけられてた人?!・・・こんな事あるんだってあれは驚いたわ」
また変わった物件を捕まえたのか、捕まえられたのか・・・と雛は呆れた。
まあ、でも。
初めて付き合ったと言う男はどこかのボンボンらしいが、それよりは面白そうでいいではないか。
「いいんじゃない?桃に日本語教えてくれて、おじいちゃんの教え子なんでしょ?どこが問題あるの?年齢?」
確かに、十も離れていたら、だいぶオジサンに感じるけれど、付き合いが長いのだからそれだけ気心が知れているとも言える。
桃はちょっとだけ小声になった。
「・・・あのね、ママの彼氏だったの・・・」
「エンマさんの?」
それは、とさすがの雛も絶句した。
「・・・いやでも、アンタがあのエンマさんから略奪愛できるほどのスキルはあるように思えないけれど・・・」
「いやいや、まさか。・・・リユース・・・?」
「・・・アンタ、リユースって・・・」
「ママが振ったの。まあ、年に一日くらいしか会ってなかったけど、あの二人。で、別れて。その話聞いた日に、火事で。マンションに帰れなくなっちゃったし。仕方ないからここにビバークしてて・・・」
「・・・・なるほどねえ」
気まずいのか、桃は三つ目の饅頭に食いついている。
「・・・まあ、さ。そう言う、何だかわからないけどまとまっちゃったって方が案外、縁てやつなのかもよ。何をどうしてもまとまらなかったなんてよりさ」
遠回しに、励ました。
「・・・そうかな」
桃は自信なさそうに言ったが、そりゃそうでしょ、と雛が頷いた。
「・・・やっぱりさ、結婚するのに、それまでやんないって・・・そりゃ健全だけど、リスキーじゃない?お互いにさ?」
うーん、と桃は考え込んだ。
「・・・そう言うの、何が正しいかなんて、わからないもの・・・。でも、まあ、もう、ね」
保真智に、今まで経験がないから実力も無いのだと正直に白状したところ、彼はでは結婚するまでは現状維持で行こうと言い出したのだ。
彼なりに、責任を感じて誠意を見せたと言う事だろう。
以前、それを桃から聞き出した雛《ひな》は、戸惑ってしまったものだったけれど。
雛は苦笑した。
一般的に、世間的に。
クォーターですって言うキャラだけで、経験豊富だろうなと言う偏ったイメージがあるだろう。
そして何となく、北欧って、性的にも進んでるイメージ。
しかし、桃は実際は、ぼんやりしているところがある。
それに、桃と言うのは、何と言うか、目を引くのだ。
陽キャでもないのにそういう魅力のある男というのは結構いるが、女だとこれまたタチが悪いとも言えた。
その上、数カ国語を話し、抜群に高い知性であるが、世間には疎く、生真面目。
となると、どうしたものか。
高嶺の花というやつだ。
現代において、「高嶺の花」とは「高値の華」の方に表現が近いのではないか。
しかし、桃は、まさに「高嶺の花」の方。
しかも、どこか高山植物とか野生動物に近いのではないだろうかと思う。
いわゆる山ガールでトレッキングや登山が趣味の自分には分かる。
最初は山登りなんて嫌だ、なんで休みの日にわざわざ疲れる事するのよとバカにしていたが、同僚に連れて行かれて、開眼して、ハマってしまった。
平地ではついぞ見かけない小さな野草やきのこ、カモシカや雷鳥。
高山植物とか、希少性の高い動物。
姿を見たくて、ついあんな場所まで行ってしまうのだ。
きっと桃も、そんな感じ。
だから深く興味がある男、熱心な男しか近付かないのだろう。
そして、そういうタイプは、執念深い。
ハマるとそうなるよねえ、と雛はため息をついた。
「・・・でもさ、破談になって2ヶ月もしないで同棲だもの。知られたら、ビッチだと思われるわよねー・・・。今の彼氏が別れた理由でも無いんでしょ?」
「・・・そうだよねえ・・・。自分でもびっくりだもん。なんだか、バタバタっと・・・」
我ながら呆れた話、と桃は首を傾げている。
「・・・だからこそ縁なのかもよ?縁なんてさ、神様や仏様にお願いにするようなもんなんだよ?人間がどうこうできるものじゃ無いじゃない?そしたら、人間の都合なんてお構いなしだろうしさ」
雛はそう言うと、自分もまた饅頭を口に放り込んだ。
「そうだ、これ」
バッグから小ぶりの箱を取り出して桃に手渡した。
箱を開けると、桃は、可愛い!と歓声を上げた。
「ケセランパサラン、一つ目小僧もいるの?」
「そう。まつ毛もつけた」
趣味で作っているハンドメイド作品。
本当はガラス細工を作っているのだけど。
桃が好きそうと思って手持ちの材料でふざけて作ったら、すっかり気に入られて、嬉しくてまた作ったのだ。
今回は目玉を大きくして、ひとつだけにして、まつ毛をつけてみた。
「ありがとう!すごい嬉しい!」
桃はお礼にと、雛の好物のドライフルーツとナッツたっぷりのチョコレートケーキを手渡した。
「これこれ!おいしいのよね!・・・あいかわらず、ずしっと来るわね」
「うん。驚異の4000キロカロリーだからね」
「・・・え?そんなに・・・?私、3日くらいで食べちゃうんだけど・・・」
「登山!山に行く時の携行食にしたら?」
「あー、そりゃ名案。山走ってる人、山で食べる羊羹は最高にうまいって1本食いしてるもん」
「遭難しても1日くらいは大丈夫かも!」
「遭難してても食い過ぎなくらいよ?」
2人はそれからあれこれ話をして楽しく過ごした。
夜までには帰ると言っていたのに、結局夕食まで食べ、結局、雛は泊まって行った。
公太郎が帰宅して、桃にも地元にこんなに親しい幼馴染みが居たのかと妙に感心、感激して居たのがおかしかった。
友人が会いにきてくれたのだ。
「今、本当に、半導体無いのよ。・・・エアコンと給湯機、死守して」
大手メーカーに勤務している雛がそう言った。
「・・・まだまだ寒いのにさ、お湯使えないと辛いじゃない?・・・今手配しても、多分、半年後だからね」
桃が悲鳴を上げた。
昔、雛の祖父が、地元の小学校の元校長先生で、桃が夏と冬の帰国時に学校に通えるように教育委員会に掛け合ってくれたのだ。
今は教育長を務めているらしい。
「両親のどちらかが外国人とかさ、海外育ちの子供って、さすがにちらほらいるようになったのよ。じいちゃん、桃の実績もあるしね。その子達が困らないで学校に通えるようにって、学校で授業で困らない日本語の補修とかさ、保護者と一緒に通える場所作りとかやってるね」
「助かるわー、そういうの・・・」
自分の事を思い出しても、学校という場がどれだけ大切な経験になったかよく分かる。
同じ年頃の子供達を見て接して、学ぶ事は多かった。
勿論、良いことばかりではなく、嫌なことも、悪い事もあったけれど。
けれどそれでも、楽しかった。
「そうよね。最初の頃の桃、何言ってるかわからなかったもの。絵とか書いて、やりとりしていたじゃない?」
そうそう、と二人は笑った。
ところが子供であるし、大して絵心もなくて、通じる方が少なかった。
最初は面白がっていたクラスメイト達も、要領を得ない桃を持て余して離れて行く子もいたが、雛は諦めなかった。
諦めずに、桃と意思疎通してくれたのだ。
それが子供にとってどれだけ大変な事か今はよく分かる。
なので、雛は今でも大切な親友。
「・・・初めて出来た彼氏と結婚するって聞いた時も、やっぱり結婚無くなったって聞いたのもびっくりしたけど。・・・元気で良かった」
「ごめんね」
「本当よ!私、服も買って、美容院も予約してたんだから!」
「・・・本当にごめん・・・」
「いいって。ほら、食べなって」
雛は持参の地元の銘菓の箱を開けた。
雛としては、桃が今現在、昔からの付き合いの男と付き合いだして、まあまあ順調と言う事柄の方が大事。
それに、破局した場合、相手に非があれば、放っておいても説明はあるはずだ。
何の非難も無いとしたら、自分が悪いか、よっぽどの事があったと言う事。
それを、今、桃にほじくり返して聞き出すなんてしたく無い。
「・・・まとまらなかった話より、今の方が大事よね」
雛のそう言うサバけたところが桃にとってはありがたいし好ましい。
「まとまった方の今の彼氏はどんな人?」
「ちょっと前に、大きな工場で雷落ちて火事があったじゃない?屋根のソーラーに燃え移って、なかなか消火出来なくて、結局一晩中燃えてたって言う・・・」
「あったあった。ニュース見た!・・・怖いわよねー」
「近隣一帯も結構もらい火したのよね。で、近くのマンションの住人で、最後まで連絡つかなくて死んだと思われてた人なの」
ええ?と雛が声をあげた。
「・・・テレビで呼びかけられてた人?!・・・こんな事あるんだってあれは驚いたわ」
また変わった物件を捕まえたのか、捕まえられたのか・・・と雛は呆れた。
まあ、でも。
初めて付き合ったと言う男はどこかのボンボンらしいが、それよりは面白そうでいいではないか。
「いいんじゃない?桃に日本語教えてくれて、おじいちゃんの教え子なんでしょ?どこが問題あるの?年齢?」
確かに、十も離れていたら、だいぶオジサンに感じるけれど、付き合いが長いのだからそれだけ気心が知れているとも言える。
桃はちょっとだけ小声になった。
「・・・あのね、ママの彼氏だったの・・・」
「エンマさんの?」
それは、とさすがの雛も絶句した。
「・・・いやでも、アンタがあのエンマさんから略奪愛できるほどのスキルはあるように思えないけれど・・・」
「いやいや、まさか。・・・リユース・・・?」
「・・・アンタ、リユースって・・・」
「ママが振ったの。まあ、年に一日くらいしか会ってなかったけど、あの二人。で、別れて。その話聞いた日に、火事で。マンションに帰れなくなっちゃったし。仕方ないからここにビバークしてて・・・」
「・・・・なるほどねえ」
気まずいのか、桃は三つ目の饅頭に食いついている。
「・・・まあ、さ。そう言う、何だかわからないけどまとまっちゃったって方が案外、縁てやつなのかもよ。何をどうしてもまとまらなかったなんてよりさ」
遠回しに、励ました。
「・・・そうかな」
桃は自信なさそうに言ったが、そりゃそうでしょ、と雛が頷いた。
「・・・やっぱりさ、結婚するのに、それまでやんないって・・・そりゃ健全だけど、リスキーじゃない?お互いにさ?」
うーん、と桃は考え込んだ。
「・・・そう言うの、何が正しいかなんて、わからないもの・・・。でも、まあ、もう、ね」
保真智に、今まで経験がないから実力も無いのだと正直に白状したところ、彼はでは結婚するまでは現状維持で行こうと言い出したのだ。
彼なりに、責任を感じて誠意を見せたと言う事だろう。
以前、それを桃から聞き出した雛《ひな》は、戸惑ってしまったものだったけれど。
雛は苦笑した。
一般的に、世間的に。
クォーターですって言うキャラだけで、経験豊富だろうなと言う偏ったイメージがあるだろう。
そして何となく、北欧って、性的にも進んでるイメージ。
しかし、桃は実際は、ぼんやりしているところがある。
それに、桃と言うのは、何と言うか、目を引くのだ。
陽キャでもないのにそういう魅力のある男というのは結構いるが、女だとこれまたタチが悪いとも言えた。
その上、数カ国語を話し、抜群に高い知性であるが、世間には疎く、生真面目。
となると、どうしたものか。
高嶺の花というやつだ。
現代において、「高嶺の花」とは「高値の華」の方に表現が近いのではないか。
しかし、桃は、まさに「高嶺の花」の方。
しかも、どこか高山植物とか野生動物に近いのではないだろうかと思う。
いわゆる山ガールでトレッキングや登山が趣味の自分には分かる。
最初は山登りなんて嫌だ、なんで休みの日にわざわざ疲れる事するのよとバカにしていたが、同僚に連れて行かれて、開眼して、ハマってしまった。
平地ではついぞ見かけない小さな野草やきのこ、カモシカや雷鳥。
高山植物とか、希少性の高い動物。
姿を見たくて、ついあんな場所まで行ってしまうのだ。
きっと桃も、そんな感じ。
だから深く興味がある男、熱心な男しか近付かないのだろう。
そして、そういうタイプは、執念深い。
ハマるとそうなるよねえ、と雛はため息をついた。
「・・・でもさ、破談になって2ヶ月もしないで同棲だもの。知られたら、ビッチだと思われるわよねー・・・。今の彼氏が別れた理由でも無いんでしょ?」
「・・・そうだよねえ・・・。自分でもびっくりだもん。なんだか、バタバタっと・・・」
我ながら呆れた話、と桃は首を傾げている。
「・・・だからこそ縁なのかもよ?縁なんてさ、神様や仏様にお願いにするようなもんなんだよ?人間がどうこうできるものじゃ無いじゃない?そしたら、人間の都合なんてお構いなしだろうしさ」
雛はそう言うと、自分もまた饅頭を口に放り込んだ。
「そうだ、これ」
バッグから小ぶりの箱を取り出して桃に手渡した。
箱を開けると、桃は、可愛い!と歓声を上げた。
「ケセランパサラン、一つ目小僧もいるの?」
「そう。まつ毛もつけた」
趣味で作っているハンドメイド作品。
本当はガラス細工を作っているのだけど。
桃が好きそうと思って手持ちの材料でふざけて作ったら、すっかり気に入られて、嬉しくてまた作ったのだ。
今回は目玉を大きくして、ひとつだけにして、まつ毛をつけてみた。
「ありがとう!すごい嬉しい!」
桃はお礼にと、雛の好物のドライフルーツとナッツたっぷりのチョコレートケーキを手渡した。
「これこれ!おいしいのよね!・・・あいかわらず、ずしっと来るわね」
「うん。驚異の4000キロカロリーだからね」
「・・・え?そんなに・・・?私、3日くらいで食べちゃうんだけど・・・」
「登山!山に行く時の携行食にしたら?」
「あー、そりゃ名案。山走ってる人、山で食べる羊羹は最高にうまいって1本食いしてるもん」
「遭難しても1日くらいは大丈夫かも!」
「遭難してても食い過ぎなくらいよ?」
2人はそれからあれこれ話をして楽しく過ごした。
夜までには帰ると言っていたのに、結局夕食まで食べ、結局、雛は泊まって行った。
公太郎が帰宅して、桃にも地元にこんなに親しい幼馴染みが居たのかと妙に感心、感激して居たのがおかしかった。
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