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128.熱帯魚の群れ
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皇帝がQ国を訪問するという歴史的事業は華々しく報道された。
特に、ファーストレディとして、妃の紅小百合は国際的にも大きく取り上げられた。
小柄ではありながら写真映えがして、皇帝の横で笑顔で親しく手を振る様子は、継室の出ながらさすが議会筋というリベラルな出身の女性である、とメディアで評された。
Q国から用意された城の離れの賓館の一室で、孔雀は毎日ご機嫌で新聞からタブロイド紙やネットの記事まで集めていた。
すべて紅小百合が載っている。
「やっぱり、このスーツにして正解。見て。すごくすてき」
空色と白がグラデーションになっているスーツに、プラチナとダイヤのカサブランカのブローチがとても似合っていた。
「ほらね。これが一番のベストファッションだって書いてある」
孔雀がファッション誌のブログを見せると、金糸雀が肩をすくめた。
「最初はパープル着るって聞かなかったじゃないの。・・・紫色なんてあれこれあるのにさ、ラベンダーとか、フクシアやらライラックならまだしも、ヴァイオレット指定と来たもんだ。あの紫は皇后の色だもの」
敢えて強調するような禁忌、更にQ国でも皇后は紫を好むと聞いたので、孔雀がなんとか三妃を説得した。
「・・・あんたも強引よねえ。"こちらの空の青色は翡翠様とお揃いです"だもん」
隣りの翡翠も濃紺と白のグラデーションのジャケットを着ているのだ。
紅小百合《べにさゆり》もならばと、納得したようで。
翡翠は「ペアルックなんて恥ずかしい」と最後までダダをこねていたが「お似合いです、とってもすてき」という孔雀の賞賛にその気になって、とてもいい笑顔で報道陣の前に立っていた。
「この、百合のピンはやりすぎじゃない?翡翠《ひすい》様とピンまでお揃いだなんて」
「だって。もともとイヤリングで作ったんだもの。仕上げてお持ちしてみたら、やっぱりイヤリングなんていらないって三妃様が仰るから、ブローチにしたのよ」
結局ブローチが二個できてしまったので、一つは四妃の所有、もう一つは保管していたのだ。
孔雀が、皇帝夫妻が並んで手を振る様子の写真をまじまじと眺めた。
「・・・なんか、ちょっと・・・選挙っぽい・・・?」
と妹弟子が呟いたのに、金糸雀も、やっぱり自分でもちょっと演出過多だったと思っているんだな、と笑った。
「しかもこの画像じゃ、妻が立候補で夫は応援になってない応援演説に来た感じよねぇ。・・・もはや夫婦ってとこ?・・・全く、一日何回も着替えるだけでも大変」
持ち込んだ衣装だけでも相当の数で、女官と共に準備をした金糸雀も頭を抱えそうになったものだ。
「その度に、お化粧もヘアセットも変えるじゃない?四妃様は嫌がらないでくださるから本当に助かるわよね」
「ノリノリよ。自分をどうすればより相応しく美しく見えるのか心得ている方よね」
その都度、美しく装うのも妃の権利であり義務と思っている彼女の姿勢はストイックだとも言える。
「それを考えると、私たちは楽チン。ズボラで不真面目よねえ」
姉妹は自分達の着たきり雀の家令服を摘んで笑いあった。
それにしても、と金糸雀は周囲を見回した。
通された賓館は、まるで最新設備を投入したホテルのようだった。
贅を凝らしてはあるが、全く無駄のない機能的な構造。
孔雀がよく言う、すてきとか、かわいらしいとか、そういう心地良いではない。
「鷂お姉様もこういうの好きよね」
孔雀も頷いた。
スタイリッシュだとか、モダンとか、そういうもの。
「意外よね。もっと、キンキラキンでゴテゴテしてんだと思ってたわ」
「この厚い絨毯すごい。こんなにいいもの床にも壁にも全部よ。贅沢だわ」
手織りのみっしりと厚い絨毯が、宮殿にも賓館にも敷き詰められているのだ。
なるほど、厳しい冬もこれなら過ごせるだろう。
この国の宮殿の女達は皆、普段室内ではスリッパのような底の薄い靴を履いているが、これだけ厚手の絨毯の上なら、痛くもないし、足音もしない。
「自分達の靴の裏でなんとかしようなんて思ってる我々なんかより、贅沢よねえ」
金糸雀が家令靴の底を示した。
ウールやコルク張りで、足音がしないように工夫されているのだ。
「・・・皇太后様のおなりでございます」
そう先触れがあって、孔雀と金糸雀は立ち上がった。
漆黒の衣装を着込んだ高齢の女性が現れた。
自分の仕えた皇帝が亡くなってからは、遺された后妃は喪服として黒の衣装を身につけるのが伝統らしい。
その背後に、華やかに着飾った若い女達。
皆、目を伏せているが、これまで正式に国交のなかった異国の若い女高官に興味津々なのがわかる。
「・・・ほんと、真っ黒。カラスみたい」
「女が高官って、殿方はあまりいないのかしら」
「さっきのきっつい女もとびきりきれいだったけど、こっちもすてき」
「皇帝の恋人というのはほんとうなの?」
「・・・どっちよ?」
などという会話を、割に大きな声で交わしているのだ。
孔雀はQ国の言葉をある程度習得していたのでなんとなくわかったし、金糸雀は完璧に理解しているはずだ。
皇太后は振り返って、女達に向かって扇を振った。
「さあ、もういいだろ。お前達がどうしても見たいというから連れてきたんだから。私は話がしたいんだよ。あっちで待ってなさい。全く静かにできないんだから」
叱られて、女達がしゅんとした。
孔雀が目配せすると、金糸雀が口を開いた。
「皇太后様。まずは、この度はお寿ぎとお礼を申し上げます。・・・私共の総家令のご発言をお許しいただけますか」
自分達の言葉を喋った、と女達が驚いて金糸雀を見た。
「おやおや、上手に囀ること。金糸雀と言う名前がぴったりと言うところね、面白い事。・・・総家令殿の発言を許します」
鷹揚に言い、孔雀を促した。
「皇太后様、宮廷の鳥が謹んで申し上げます。よろしければお姫様方には、お菓子を召し上がって頂きたく存じます。私、お菓子屋の娘なんです。いろいろ持ってきましたの。ぜひお味見して頂きたくて」
「こっちも私達の言葉を喋ったわよ!」
「お姫様だって!」
「お菓子って何?」
と遠慮なく大きな声が上がる。
「ああもう・・・。お淑やかにしている約束だったのに。・・・いいわ。お前達、頂いてきなさい。頼むから私に静かにお話させて頂戴」
皇太后の許しが出ると、女達が歓声を上げた。
燕と仏法僧が現れて、こちらへどうぞと先導すると、女達ため息が漏れる。
「すてき。私、あっち」
「あら、私はこっちが好み」
とやはりなかなか喧しい。
その華やかさと色鮮やかな服装、ダンスを踊っているかのような動作。
まるで南の海の熱帯魚みたい、と孔雀は微笑んだ。
女達の姿が隣室に消えて、燕が扉を閉めたのを確認すると、孔雀と金糸雀が皇太后に向き直り女家令の礼をした。
「・・・戴勝お姉様。お会いできてとても嬉しく思います。孔雀と金糸雀と申します」
皇太后は満足そうに微笑むと、彼女もまた女家令の礼を返して孔雀に声をかけた。
「・・・あんたはなんて優雅に礼をするんだろう。きっと素地がいいのね」
「いいえ。白鷹お姉様にものさしでひっぱたかれた結果ですよ」
孔雀がおかしそうに言うのに、皇太后は眉を寄せた。
「・・・あの子、昔っから乱暴者なのよ。あの子の母親はそれなりに暴れん坊の郭公お姉様というそりゃ恐ろしい女家令だったけれど。父親は貴族筋でね、優しい方だったのに」
確か、この姉弟子もとっても凶暴だけれど父親はとっても優しくて繊細だった、とかなんとか聞いたが。
同じようなことを言うものだ。
「・・・ああ。やっと会えたこと。今時、十で家令に召し上げられて、十五で総家令にされてしまった子がいると鷂がとっても心配していたのよ。皇帝陛下に突きつけたあの脅迫状、役目が全う出来たのですってね」
彼女は、にやりと笑った。
「では、鷂お姉様の持ってきたあのたたき台は、戴勝お姉様がお書きになったものですか?」
金糸雀が驚いて目を見開いた。
鷂と二人で仕上げたあの法律と体裁を盾に取ったあの文書の草案を作成したのが目の前の人物だったのか。
「あんたが梟と青鷺の子だね。あの化け物登用試験の殿試を二番手で受かったって?ああ、なんて因業娘共だろう。・・・そうだよ。正しくは、私と目白お兄様とね。契約書だ約款だなんて最後の弁護士の仕事だったよねえ。昔取った杵柄ってやつだね」
その昔、戴勝は兄の目白と共に宮廷の為に弁護士としても活躍していたらしい。
法廷では負け知らずの悪名高い梟が、あの二人にはとても敵わないとよく言っていた。
特に、ファーストレディとして、妃の紅小百合は国際的にも大きく取り上げられた。
小柄ではありながら写真映えがして、皇帝の横で笑顔で親しく手を振る様子は、継室の出ながらさすが議会筋というリベラルな出身の女性である、とメディアで評された。
Q国から用意された城の離れの賓館の一室で、孔雀は毎日ご機嫌で新聞からタブロイド紙やネットの記事まで集めていた。
すべて紅小百合が載っている。
「やっぱり、このスーツにして正解。見て。すごくすてき」
空色と白がグラデーションになっているスーツに、プラチナとダイヤのカサブランカのブローチがとても似合っていた。
「ほらね。これが一番のベストファッションだって書いてある」
孔雀がファッション誌のブログを見せると、金糸雀が肩をすくめた。
「最初はパープル着るって聞かなかったじゃないの。・・・紫色なんてあれこれあるのにさ、ラベンダーとか、フクシアやらライラックならまだしも、ヴァイオレット指定と来たもんだ。あの紫は皇后の色だもの」
敢えて強調するような禁忌、更にQ国でも皇后は紫を好むと聞いたので、孔雀がなんとか三妃を説得した。
「・・・あんたも強引よねえ。"こちらの空の青色は翡翠様とお揃いです"だもん」
隣りの翡翠も濃紺と白のグラデーションのジャケットを着ているのだ。
紅小百合《べにさゆり》もならばと、納得したようで。
翡翠は「ペアルックなんて恥ずかしい」と最後までダダをこねていたが「お似合いです、とってもすてき」という孔雀の賞賛にその気になって、とてもいい笑顔で報道陣の前に立っていた。
「この、百合のピンはやりすぎじゃない?翡翠《ひすい》様とピンまでお揃いだなんて」
「だって。もともとイヤリングで作ったんだもの。仕上げてお持ちしてみたら、やっぱりイヤリングなんていらないって三妃様が仰るから、ブローチにしたのよ」
結局ブローチが二個できてしまったので、一つは四妃の所有、もう一つは保管していたのだ。
孔雀が、皇帝夫妻が並んで手を振る様子の写真をまじまじと眺めた。
「・・・なんか、ちょっと・・・選挙っぽい・・・?」
と妹弟子が呟いたのに、金糸雀も、やっぱり自分でもちょっと演出過多だったと思っているんだな、と笑った。
「しかもこの画像じゃ、妻が立候補で夫は応援になってない応援演説に来た感じよねぇ。・・・もはや夫婦ってとこ?・・・全く、一日何回も着替えるだけでも大変」
持ち込んだ衣装だけでも相当の数で、女官と共に準備をした金糸雀も頭を抱えそうになったものだ。
「その度に、お化粧もヘアセットも変えるじゃない?四妃様は嫌がらないでくださるから本当に助かるわよね」
「ノリノリよ。自分をどうすればより相応しく美しく見えるのか心得ている方よね」
その都度、美しく装うのも妃の権利であり義務と思っている彼女の姿勢はストイックだとも言える。
「それを考えると、私たちは楽チン。ズボラで不真面目よねえ」
姉妹は自分達の着たきり雀の家令服を摘んで笑いあった。
それにしても、と金糸雀は周囲を見回した。
通された賓館は、まるで最新設備を投入したホテルのようだった。
贅を凝らしてはあるが、全く無駄のない機能的な構造。
孔雀がよく言う、すてきとか、かわいらしいとか、そういう心地良いではない。
「鷂お姉様もこういうの好きよね」
孔雀も頷いた。
スタイリッシュだとか、モダンとか、そういうもの。
「意外よね。もっと、キンキラキンでゴテゴテしてんだと思ってたわ」
「この厚い絨毯すごい。こんなにいいもの床にも壁にも全部よ。贅沢だわ」
手織りのみっしりと厚い絨毯が、宮殿にも賓館にも敷き詰められているのだ。
なるほど、厳しい冬もこれなら過ごせるだろう。
この国の宮殿の女達は皆、普段室内ではスリッパのような底の薄い靴を履いているが、これだけ厚手の絨毯の上なら、痛くもないし、足音もしない。
「自分達の靴の裏でなんとかしようなんて思ってる我々なんかより、贅沢よねえ」
金糸雀が家令靴の底を示した。
ウールやコルク張りで、足音がしないように工夫されているのだ。
「・・・皇太后様のおなりでございます」
そう先触れがあって、孔雀と金糸雀は立ち上がった。
漆黒の衣装を着込んだ高齢の女性が現れた。
自分の仕えた皇帝が亡くなってからは、遺された后妃は喪服として黒の衣装を身につけるのが伝統らしい。
その背後に、華やかに着飾った若い女達。
皆、目を伏せているが、これまで正式に国交のなかった異国の若い女高官に興味津々なのがわかる。
「・・・ほんと、真っ黒。カラスみたい」
「女が高官って、殿方はあまりいないのかしら」
「さっきのきっつい女もとびきりきれいだったけど、こっちもすてき」
「皇帝の恋人というのはほんとうなの?」
「・・・どっちよ?」
などという会話を、割に大きな声で交わしているのだ。
孔雀はQ国の言葉をある程度習得していたのでなんとなくわかったし、金糸雀は完璧に理解しているはずだ。
皇太后は振り返って、女達に向かって扇を振った。
「さあ、もういいだろ。お前達がどうしても見たいというから連れてきたんだから。私は話がしたいんだよ。あっちで待ってなさい。全く静かにできないんだから」
叱られて、女達がしゅんとした。
孔雀が目配せすると、金糸雀が口を開いた。
「皇太后様。まずは、この度はお寿ぎとお礼を申し上げます。・・・私共の総家令のご発言をお許しいただけますか」
自分達の言葉を喋った、と女達が驚いて金糸雀を見た。
「おやおや、上手に囀ること。金糸雀と言う名前がぴったりと言うところね、面白い事。・・・総家令殿の発言を許します」
鷹揚に言い、孔雀を促した。
「皇太后様、宮廷の鳥が謹んで申し上げます。よろしければお姫様方には、お菓子を召し上がって頂きたく存じます。私、お菓子屋の娘なんです。いろいろ持ってきましたの。ぜひお味見して頂きたくて」
「こっちも私達の言葉を喋ったわよ!」
「お姫様だって!」
「お菓子って何?」
と遠慮なく大きな声が上がる。
「ああもう・・・。お淑やかにしている約束だったのに。・・・いいわ。お前達、頂いてきなさい。頼むから私に静かにお話させて頂戴」
皇太后の許しが出ると、女達が歓声を上げた。
燕と仏法僧が現れて、こちらへどうぞと先導すると、女達ため息が漏れる。
「すてき。私、あっち」
「あら、私はこっちが好み」
とやはりなかなか喧しい。
その華やかさと色鮮やかな服装、ダンスを踊っているかのような動作。
まるで南の海の熱帯魚みたい、と孔雀は微笑んだ。
女達の姿が隣室に消えて、燕が扉を閉めたのを確認すると、孔雀と金糸雀が皇太后に向き直り女家令の礼をした。
「・・・戴勝お姉様。お会いできてとても嬉しく思います。孔雀と金糸雀と申します」
皇太后は満足そうに微笑むと、彼女もまた女家令の礼を返して孔雀に声をかけた。
「・・・あんたはなんて優雅に礼をするんだろう。きっと素地がいいのね」
「いいえ。白鷹お姉様にものさしでひっぱたかれた結果ですよ」
孔雀がおかしそうに言うのに、皇太后は眉を寄せた。
「・・・あの子、昔っから乱暴者なのよ。あの子の母親はそれなりに暴れん坊の郭公お姉様というそりゃ恐ろしい女家令だったけれど。父親は貴族筋でね、優しい方だったのに」
確か、この姉弟子もとっても凶暴だけれど父親はとっても優しくて繊細だった、とかなんとか聞いたが。
同じようなことを言うものだ。
「・・・ああ。やっと会えたこと。今時、十で家令に召し上げられて、十五で総家令にされてしまった子がいると鷂がとっても心配していたのよ。皇帝陛下に突きつけたあの脅迫状、役目が全う出来たのですってね」
彼女は、にやりと笑った。
「では、鷂お姉様の持ってきたあのたたき台は、戴勝お姉様がお書きになったものですか?」
金糸雀が驚いて目を見開いた。
鷂と二人で仕上げたあの法律と体裁を盾に取ったあの文書の草案を作成したのが目の前の人物だったのか。
「あんたが梟と青鷺の子だね。あの化け物登用試験の殿試を二番手で受かったって?ああ、なんて因業娘共だろう。・・・そうだよ。正しくは、私と目白お兄様とね。契約書だ約款だなんて最後の弁護士の仕事だったよねえ。昔取った杵柄ってやつだね」
その昔、戴勝は兄の目白と共に宮廷の為に弁護士としても活躍していたらしい。
法廷では負け知らずの悪名高い梟が、あの二人にはとても敵わないとよく言っていた。
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