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67.自薦の妃殿下候補
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孔雀は、藍晶とその恋人に茶を出した。
やはり見られる商売であった彼女は心構えが違うのだろう、自分を演出する術を心得ている。
八代理沙というこの女性は、なんとすてきなのだろう、と孔雀はいつも思う。
生成りに近い白いスーツに、計算されたショートカット。幾何学柄のスカーフ、白いハイヒール。石を使わないシンプルでシャープな金属のアクセサリー。
家令の内でも鷂はファッショナブルで一番今風の女だが、それに負けずとも劣らない。
元は俳優業としてのスタートだったそうだが、現在は、文化人として活躍している。
間違いなく、今をときめく女性の一人ではないだろうか。
彼女からは、毛織物の漆黒の家令服に、結った髪、孔雀の羽の模様のカメオの髪飾りの自分等、まるで時代劇の登場人物のように見えているのかもしれない。
それは藍晶にしても同じ事。
特殊な世界で生きてきた孔雀の世界は狭く偏っていると彼は孔雀を旧弊の犠牲者だと思っているのだ。
会話や所作や思考の随所に分かる白鷹が施した偏った教育と思想。
若き皇太子にはこの総家令の姿はそう映っていた。
そして彼は正しい。
家令とは旧時代のシステム。
城に仕える官吏や武官や女官が、公務員という名前で総括されつつある今、藍晶の中で家令は、化石のような徒弟制度の残る団体職員あたりだろうか。
しかし、この時代劇の演目の中心人物のひとりもまた彼である。
彼等の為に自分達は用意されたのに、と孔雀は少し悲しく思う。
ギルド出の総家令等、議員から見たらまたこれも目の上のタンコブだろう。
現在の皇帝の継室は議会派だが、とはいえやはり宮廷では元老院の意見が重用されるし、総家令がギルド出とあっては、議会派が主流とは言えない。
「・・・何度も意見しているけれど、どうして紅小百合様が正室にはなれないの?」
理沙が眉を寄せた。
「三妃様は継室候補群のご出身ですし、三妃様というお立場で入宮されておりますので・・・」
孔雀は申し訳なさそうに言った。
彼女にも三妃にも何度もそう伝えてはいるのだが。
「現在、正室も継室も他にいらっしゃらないのに。実質、紅小百合様が本妻じゃないの」
孔雀としては、序列があるという事で、本妻に対する内縁の妻とか、そういうものでは無いのだと言いたいのだが。
そもそも彼女は継室という慣習に反対なのだ。
確かに、三妃はマスコミ受けするのだ。よくそのファッションが取り上げられている。
事実上のファーストレディーとして国際的にも知られている。
「他に継室もいないのに、いつまでも三番手の呼び方なの?」
孔雀がううん、と小さく唸った。
「昔。大昔ですよ。昔は、継室はその序列が入れ替わったりしたそうなんです。貴妃とか妃媛とかいうんですが・・・」
「じゃあ、それでいいじゃないの?正室が不在ならば、継室がそうなればいいだけだわ」
「・・・序列が変化する、というのが問題なんです」
「ならば紅小百合様が一番じゃないの。他にいないんだし」
その序列の変化というのは、政治的な思惑と、寵愛度、つまり皇帝のご気分次第とは言い出せない雰囲気に孔雀は押し黙った。
「あのね、今時、女性の人権侵害よ。貴女は都合が悪いかもしれないけれど」
この総家令は皇帝の寵姫でもある。
三妃が正室ではお前が困るのだろうと言いたいのだ。
「・・・階級があった、というのは、当時のご継室方に各々役割があったということです。いわゆる社会的地位ですね」
「紅小百合様は立派に務めを果たしてらっしゃると思うけれど」
孔雀は困ってしまって微笑んだ。
藍晶は恋人にそこまでにしてあげて、と言った。
「・・・だけど・・・!?」
「どちらにしても今、孔雀が決めれる事ではないんだ。・・・それより、そろそろ時間だろう?」
「ああ、そうね」
理沙は立ち上がった。
藍晶を迎えて若手議員の食事会があるのだ。
ホテルのバンケットを貸し切って食事会と、討論会が行われるらしい。
理沙の古巣のマスコミ関係者も集まるらしい。
「お車を用意しておりますので。何か御用命ありましたら随員の燕にお申し付け下さい」
藍晶が頷いた。
理沙は満足したように孔雀を見た。
どうしても人の目を奪う緋連雀でも雉鳩でも無く、若手議員達どころか自分や皇太子より才智に長けた金糸雀でもなく、まだ瑞々しい若さの燕という人選は孔雀が心得ているのだろうから。
孔雀は行ってらっしゃいませ、と礼をした。
そんな事が何度かあり、元老院はそろそろ本気で焦っていた。
マスコミに取り上げられる度に、皇太子は若手議員の支持者として持て囃される。
それが広く国民には歓迎されているのだ。
「このままでは、あの元ニュースキャスターが后か妃になるのでは、と元老院長に遠回しに言われたよ」
翡翠が言った。
「まあ、そんな。ご正室は、元老院のお姫様方からでなければそれこそ元老院の皆様が黙っていないでしょう」
「議会が主力になれば、決まりを変えられるからね」
孔雀がため息をついた。
「議会では度々、三妃様を正室にという案件が議題に挙がっております。お父様の副議長様は乗り気ではないのですけれど、周りが推進派ばかりですから、どうもご自分が反対出来ない雰囲気であるようですね」
ふうん、と翡翠が頷いた。
「そんなになりたいなら、なればいいんじゃないかな」
「・・・なるなれないが問題ではなく。その先が問題なのは翡翠様も御存じでしょう。いけません、そんな意地悪仰っては」
孔雀が悲しそうに呟いた。
議会出の正室等、誰からも守れないのは歴然だ。その気が皇帝にないなら、なおさら。
「それを副議長も心得ているだろうにね」
彼は内密に孔雀に常に念を押しているのだ。自分の娘である三妃を絶対に二妃の序列上がりや、ましてや正室になどしてくれるな。そしてこの件は総家令の一存で、と言うダメ押し付きで。
結局、人々に責められるのは孔雀《くじゃく》というわけだ。
相思相愛だとか寵姫宰相等と人々の口に登るのは好ましいが、実害として、孔雀が総家令と公式寵姫、どちらのスケープゴート役もやらなければならないのが、翡翠には不満。
「雉鳩お兄様は、お前はコスパがいい、大安売りだと褒めてくれますよ」
孔雀が笑った。二人分が一人で済むなら安上がりだ、とあの兄弟子は評価している。
「雉鳩は藍晶のスポンサー事業が金がかかるとおカンムリだろう」
議員の交流会や社交費は藍晶《らんしょう》が出資しているのだ。
「私的な政治的交際費はよろしくありませんからね。・・・ところが問題は八代様の個人名義の非営利団体への出資となっておりまして」
チャリティーのパーティは、妃殿下候補の触れ込みで毎回大盛況だ。
「やれやれ。・・・彼女と付き合っているうちは金は出るということだね。・・・正室も妃も無理となれば公式寵姫しかないわけだ。そんなに今風の女性がなってくれるとも考えづらいけど」
心配そうに翡翠が言ったのに孔雀も頷いた。
「お子様がお産まれになった場合、公式寵姫ですと王夫人のお立場になりますけれど、そのお子様は王族には列せられませんから。それも納得して頂けるとは思えませんし・・・」
「その、彼女の所属するのは、なんて思想の団体だい?」
「女性の社会的地位を保護・支援するというのが目的ですね」
翡翠が首を傾げた。
「我が国の女性の立場が男性より下とはひっくり返っても思えないけど・・・」
そもそも女皇帝が存在する時点で、女性の立場が男性より下であるなんて思想こそ、不敬罪だ。
記憶にある母親の琥珀帝も、群れの雌ライオンのようであった。
「ええとですね。過剰に戦ったり過度な労働がなくとも、女性の権利や主張が認められる社会を目指しているというものですね。つまり、男性並みでなくとも、女性が保護される社会」
翡翠が妙な顔をした。
「・・・・それこそ不敬だろう」
この国の今日の女性の立場というのは、彼女たちが戦った末の獲得権だ。
「そもそもきっかけは都度都度の戦争ですからね。女性が戦場で戦ったという事。皇女様どころか女皇帝も戦場に出たのですもの。亡くなった方も多い。結果、女がいなかったら負けたろうと思うような戦争が何度かあって、女性の社会的立場が上昇したのですもの。ただただ社会が放っておいたら平和になり成熟したとかそういう事で今があるわけではない・・・」
孔雀はそっとため息をついた。
その先兵を担った、つまり、命を掛けて体を張ったのが女家令だ。
そのまま、命を落とした者も多い。
孔雀としては、理沙の主張もわかる。
しかし、彼女は知らなすぎるのだ。
「男性と女性が何から何まで全く同じとは思わないけれど。男性並みでなくとも女性が保護される社会、というのがそもそも矛盾してるような気がするのは私が意地悪だからでしょうか・・・」
「いや、ぱっと見、口当たりもいいし勇ましいけど、守られたい、愛されたい感が出てる、むしろ古風な感じだよね」
ああ、と孔雀は頷いた。
「・・・・そこが藍晶様のツボですかね・・・。ああ、もしかしたらあの方、そういう方がタイプなのかも・・・」
感慨深そうに孔雀《くじゃく》が呟いた。
「・・・・この際、入宮して頂いたら結構うまくいくかも・・・」
「いやいや、その趣旨を藍晶自身が理解してるのかな。でなければ思想団体どころかクラブ活動だもの。そんなふんわりしたもの、余計始末が悪い」
「藍晶様は、もちろん我が国の女性がどのようにして今現在の立場を獲得して来たのかはご存知です。けれど、それを良しとは思ってらっしゃいませんから。女性を戦場に送り出して、戦果を上げたから地位を獲得したなんて野蛮だとお好みではありませんでしょう。確かに本来、そのような事がないのが一番なのですけれど。なかなか難しかったでしょうね」
孔雀がまた小さく息を吐いた。
やはり見られる商売であった彼女は心構えが違うのだろう、自分を演出する術を心得ている。
八代理沙というこの女性は、なんとすてきなのだろう、と孔雀はいつも思う。
生成りに近い白いスーツに、計算されたショートカット。幾何学柄のスカーフ、白いハイヒール。石を使わないシンプルでシャープな金属のアクセサリー。
家令の内でも鷂はファッショナブルで一番今風の女だが、それに負けずとも劣らない。
元は俳優業としてのスタートだったそうだが、現在は、文化人として活躍している。
間違いなく、今をときめく女性の一人ではないだろうか。
彼女からは、毛織物の漆黒の家令服に、結った髪、孔雀の羽の模様のカメオの髪飾りの自分等、まるで時代劇の登場人物のように見えているのかもしれない。
それは藍晶にしても同じ事。
特殊な世界で生きてきた孔雀の世界は狭く偏っていると彼は孔雀を旧弊の犠牲者だと思っているのだ。
会話や所作や思考の随所に分かる白鷹が施した偏った教育と思想。
若き皇太子にはこの総家令の姿はそう映っていた。
そして彼は正しい。
家令とは旧時代のシステム。
城に仕える官吏や武官や女官が、公務員という名前で総括されつつある今、藍晶の中で家令は、化石のような徒弟制度の残る団体職員あたりだろうか。
しかし、この時代劇の演目の中心人物のひとりもまた彼である。
彼等の為に自分達は用意されたのに、と孔雀は少し悲しく思う。
ギルド出の総家令等、議員から見たらまたこれも目の上のタンコブだろう。
現在の皇帝の継室は議会派だが、とはいえやはり宮廷では元老院の意見が重用されるし、総家令がギルド出とあっては、議会派が主流とは言えない。
「・・・何度も意見しているけれど、どうして紅小百合様が正室にはなれないの?」
理沙が眉を寄せた。
「三妃様は継室候補群のご出身ですし、三妃様というお立場で入宮されておりますので・・・」
孔雀は申し訳なさそうに言った。
彼女にも三妃にも何度もそう伝えてはいるのだが。
「現在、正室も継室も他にいらっしゃらないのに。実質、紅小百合様が本妻じゃないの」
孔雀としては、序列があるという事で、本妻に対する内縁の妻とか、そういうものでは無いのだと言いたいのだが。
そもそも彼女は継室という慣習に反対なのだ。
確かに、三妃はマスコミ受けするのだ。よくそのファッションが取り上げられている。
事実上のファーストレディーとして国際的にも知られている。
「他に継室もいないのに、いつまでも三番手の呼び方なの?」
孔雀がううん、と小さく唸った。
「昔。大昔ですよ。昔は、継室はその序列が入れ替わったりしたそうなんです。貴妃とか妃媛とかいうんですが・・・」
「じゃあ、それでいいじゃないの?正室が不在ならば、継室がそうなればいいだけだわ」
「・・・序列が変化する、というのが問題なんです」
「ならば紅小百合様が一番じゃないの。他にいないんだし」
その序列の変化というのは、政治的な思惑と、寵愛度、つまり皇帝のご気分次第とは言い出せない雰囲気に孔雀は押し黙った。
「あのね、今時、女性の人権侵害よ。貴女は都合が悪いかもしれないけれど」
この総家令は皇帝の寵姫でもある。
三妃が正室ではお前が困るのだろうと言いたいのだ。
「・・・階級があった、というのは、当時のご継室方に各々役割があったということです。いわゆる社会的地位ですね」
「紅小百合様は立派に務めを果たしてらっしゃると思うけれど」
孔雀は困ってしまって微笑んだ。
藍晶は恋人にそこまでにしてあげて、と言った。
「・・・だけど・・・!?」
「どちらにしても今、孔雀が決めれる事ではないんだ。・・・それより、そろそろ時間だろう?」
「ああ、そうね」
理沙は立ち上がった。
藍晶を迎えて若手議員の食事会があるのだ。
ホテルのバンケットを貸し切って食事会と、討論会が行われるらしい。
理沙の古巣のマスコミ関係者も集まるらしい。
「お車を用意しておりますので。何か御用命ありましたら随員の燕にお申し付け下さい」
藍晶が頷いた。
理沙は満足したように孔雀を見た。
どうしても人の目を奪う緋連雀でも雉鳩でも無く、若手議員達どころか自分や皇太子より才智に長けた金糸雀でもなく、まだ瑞々しい若さの燕という人選は孔雀が心得ているのだろうから。
孔雀は行ってらっしゃいませ、と礼をした。
そんな事が何度かあり、元老院はそろそろ本気で焦っていた。
マスコミに取り上げられる度に、皇太子は若手議員の支持者として持て囃される。
それが広く国民には歓迎されているのだ。
「このままでは、あの元ニュースキャスターが后か妃になるのでは、と元老院長に遠回しに言われたよ」
翡翠が言った。
「まあ、そんな。ご正室は、元老院のお姫様方からでなければそれこそ元老院の皆様が黙っていないでしょう」
「議会が主力になれば、決まりを変えられるからね」
孔雀がため息をついた。
「議会では度々、三妃様を正室にという案件が議題に挙がっております。お父様の副議長様は乗り気ではないのですけれど、周りが推進派ばかりですから、どうもご自分が反対出来ない雰囲気であるようですね」
ふうん、と翡翠が頷いた。
「そんなになりたいなら、なればいいんじゃないかな」
「・・・なるなれないが問題ではなく。その先が問題なのは翡翠様も御存じでしょう。いけません、そんな意地悪仰っては」
孔雀が悲しそうに呟いた。
議会出の正室等、誰からも守れないのは歴然だ。その気が皇帝にないなら、なおさら。
「それを副議長も心得ているだろうにね」
彼は内密に孔雀に常に念を押しているのだ。自分の娘である三妃を絶対に二妃の序列上がりや、ましてや正室になどしてくれるな。そしてこの件は総家令の一存で、と言うダメ押し付きで。
結局、人々に責められるのは孔雀《くじゃく》というわけだ。
相思相愛だとか寵姫宰相等と人々の口に登るのは好ましいが、実害として、孔雀が総家令と公式寵姫、どちらのスケープゴート役もやらなければならないのが、翡翠には不満。
「雉鳩お兄様は、お前はコスパがいい、大安売りだと褒めてくれますよ」
孔雀が笑った。二人分が一人で済むなら安上がりだ、とあの兄弟子は評価している。
「雉鳩は藍晶のスポンサー事業が金がかかるとおカンムリだろう」
議員の交流会や社交費は藍晶《らんしょう》が出資しているのだ。
「私的な政治的交際費はよろしくありませんからね。・・・ところが問題は八代様の個人名義の非営利団体への出資となっておりまして」
チャリティーのパーティは、妃殿下候補の触れ込みで毎回大盛況だ。
「やれやれ。・・・彼女と付き合っているうちは金は出るということだね。・・・正室も妃も無理となれば公式寵姫しかないわけだ。そんなに今風の女性がなってくれるとも考えづらいけど」
心配そうに翡翠が言ったのに孔雀も頷いた。
「お子様がお産まれになった場合、公式寵姫ですと王夫人のお立場になりますけれど、そのお子様は王族には列せられませんから。それも納得して頂けるとは思えませんし・・・」
「その、彼女の所属するのは、なんて思想の団体だい?」
「女性の社会的地位を保護・支援するというのが目的ですね」
翡翠が首を傾げた。
「我が国の女性の立場が男性より下とはひっくり返っても思えないけど・・・」
そもそも女皇帝が存在する時点で、女性の立場が男性より下であるなんて思想こそ、不敬罪だ。
記憶にある母親の琥珀帝も、群れの雌ライオンのようであった。
「ええとですね。過剰に戦ったり過度な労働がなくとも、女性の権利や主張が認められる社会を目指しているというものですね。つまり、男性並みでなくとも、女性が保護される社会」
翡翠が妙な顔をした。
「・・・・それこそ不敬だろう」
この国の今日の女性の立場というのは、彼女たちが戦った末の獲得権だ。
「そもそもきっかけは都度都度の戦争ですからね。女性が戦場で戦ったという事。皇女様どころか女皇帝も戦場に出たのですもの。亡くなった方も多い。結果、女がいなかったら負けたろうと思うような戦争が何度かあって、女性の社会的立場が上昇したのですもの。ただただ社会が放っておいたら平和になり成熟したとかそういう事で今があるわけではない・・・」
孔雀はそっとため息をついた。
その先兵を担った、つまり、命を掛けて体を張ったのが女家令だ。
そのまま、命を落とした者も多い。
孔雀としては、理沙の主張もわかる。
しかし、彼女は知らなすぎるのだ。
「男性と女性が何から何まで全く同じとは思わないけれど。男性並みでなくとも女性が保護される社会、というのがそもそも矛盾してるような気がするのは私が意地悪だからでしょうか・・・」
「いや、ぱっと見、口当たりもいいし勇ましいけど、守られたい、愛されたい感が出てる、むしろ古風な感じだよね」
ああ、と孔雀は頷いた。
「・・・・そこが藍晶様のツボですかね・・・。ああ、もしかしたらあの方、そういう方がタイプなのかも・・・」
感慨深そうに孔雀《くじゃく》が呟いた。
「・・・・この際、入宮して頂いたら結構うまくいくかも・・・」
「いやいや、その趣旨を藍晶自身が理解してるのかな。でなければ思想団体どころかクラブ活動だもの。そんなふんわりしたもの、余計始末が悪い」
「藍晶様は、もちろん我が国の女性がどのようにして今現在の立場を獲得して来たのかはご存知です。けれど、それを良しとは思ってらっしゃいませんから。女性を戦場に送り出して、戦果を上げたから地位を獲得したなんて野蛮だとお好みではありませんでしょう。確かに本来、そのような事がないのが一番なのですけれど。なかなか難しかったでしょうね」
孔雀がまた小さく息を吐いた。
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