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第2章 仮面と商業の街
2-11メリの路地裏散策(3)
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おじちゃんにつづいてお店の中に入ると心地よい薬草の匂いに包まれた。お店の中はこじんまりとしているがどこか暖かみのある雰囲気だ。棚に瓶や箱が沢山並んでいてカウンターでは店員さんが調合している様子を目の前で見ることが出来る。
「雰囲気あるお店だな!」
「だろう。妻と・・・最近は娘もで3人でやっているんだ。小さい店だが割と評判はいいんだよ。今そこで調合しているのが妻だ。」
「あらお客さん?ふふ、元気ね。こんにちは。ゆっくりしていってね。」
白衣をきて薬を調合しているのはおじちゃんの奥さんらしい。ほんわかした雰囲気で優しそうな人だ。メリの方をみてにっこりと挨拶をしてくれた。
「この子は絡まれてたわたしを助けてくれたんだ。旅人らしくて、丁度この前色々貰ったものがあるだろう、それをお礼に渡そうと思ってね。」
「まぁ!そうだったの。本当にありがとうございます。そうだ、大したお礼にはならないけどもし良ければ奥でおやつでも食べていきませんか?丁度お茶の準備もしていたの。」
「いやいや、偶然通りかかっただけだからさ。お礼言われるようなことはしてないぜ。・・・おやつ・・・それは食べたいかも・・・」
おじちゃんはメリを奥さんに紹介して出会った経緯を軽く説明していた。奥さんは深々とメリに礼をしたあと思い出したように手を叩くとおやつのお誘いをしてくれたのだった。小腹が空いていたメリはおやつの3文字にに少し顔が綻ぶ。
「それじゃあ奥へどうぞ。ゆっくりしていってね。」
お店の奥には休憩室のような場所があり大きな机が置いてあった。敷かれた綺麗な植物柄のテーブルクロスの上には透明なポッドにハーブが入れられたものが置いてあり、奥さんがそれに沸かした湯をゆっくり注ぎ入れるとフワッと周りにハーブの爽やかな香りが広がった。
お茶をクッキーと一緒に頂き、メリはあまりの美味しさに無言でそれらを頬張った。
そんな様子をアルベルティ夫婦が微笑ましげに見つめる。
お茶が終わるとおじちゃんは薬草や回復薬、魔法道具などがひとまとめになった袋をメリに渡してくれた。旅にはとても役立ちそうだ。
「もう行くのかいメリくん。」
「そうよ晩御飯も食べていったらいいのに。」
夕方にはメリはアルベルティ夫婦とすっかり打ち解けていた。少しお邪魔させて貰っただけだが帰るのが名残惜しいくらいに。
「うん。姉ちゃん達が待ってると思うから。おじちゃん、おばちゃん色々ありがとな!おじちゃんはもう人気のない路地あんま通るなよ。」
「はは。くれぐれも気をつけるよ。メリくんも病気や怪我に気をつけるんだよ。また、この街に来ることがあればいつでも寄っていいからね。」
おじちゃんと奥さんと握手を交わし手を振りあって別れを惜しむとメリはリル達のいる宿へと帰り始めた。
「雰囲気あるお店だな!」
「だろう。妻と・・・最近は娘もで3人でやっているんだ。小さい店だが割と評判はいいんだよ。今そこで調合しているのが妻だ。」
「あらお客さん?ふふ、元気ね。こんにちは。ゆっくりしていってね。」
白衣をきて薬を調合しているのはおじちゃんの奥さんらしい。ほんわかした雰囲気で優しそうな人だ。メリの方をみてにっこりと挨拶をしてくれた。
「この子は絡まれてたわたしを助けてくれたんだ。旅人らしくて、丁度この前色々貰ったものがあるだろう、それをお礼に渡そうと思ってね。」
「まぁ!そうだったの。本当にありがとうございます。そうだ、大したお礼にはならないけどもし良ければ奥でおやつでも食べていきませんか?丁度お茶の準備もしていたの。」
「いやいや、偶然通りかかっただけだからさ。お礼言われるようなことはしてないぜ。・・・おやつ・・・それは食べたいかも・・・」
おじちゃんはメリを奥さんに紹介して出会った経緯を軽く説明していた。奥さんは深々とメリに礼をしたあと思い出したように手を叩くとおやつのお誘いをしてくれたのだった。小腹が空いていたメリはおやつの3文字にに少し顔が綻ぶ。
「それじゃあ奥へどうぞ。ゆっくりしていってね。」
お店の奥には休憩室のような場所があり大きな机が置いてあった。敷かれた綺麗な植物柄のテーブルクロスの上には透明なポッドにハーブが入れられたものが置いてあり、奥さんがそれに沸かした湯をゆっくり注ぎ入れるとフワッと周りにハーブの爽やかな香りが広がった。
お茶をクッキーと一緒に頂き、メリはあまりの美味しさに無言でそれらを頬張った。
そんな様子をアルベルティ夫婦が微笑ましげに見つめる。
お茶が終わるとおじちゃんは薬草や回復薬、魔法道具などがひとまとめになった袋をメリに渡してくれた。旅にはとても役立ちそうだ。
「もう行くのかいメリくん。」
「そうよ晩御飯も食べていったらいいのに。」
夕方にはメリはアルベルティ夫婦とすっかり打ち解けていた。少しお邪魔させて貰っただけだが帰るのが名残惜しいくらいに。
「うん。姉ちゃん達が待ってると思うから。おじちゃん、おばちゃん色々ありがとな!おじちゃんはもう人気のない路地あんま通るなよ。」
「はは。くれぐれも気をつけるよ。メリくんも病気や怪我に気をつけるんだよ。また、この街に来ることがあればいつでも寄っていいからね。」
おじちゃんと奥さんと握手を交わし手を振りあって別れを惜しむとメリはリル達のいる宿へと帰り始めた。
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