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第2章 仮面と商業の街
2-10メリの路地裏散策(2)
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「・・・なんだお前。いきなり」
「い・・・痛いっ!めっちゃ痛い!」
メリは自分の頬を抑え涙目で拳を放った男を睨みつける。男は突然飛び出してきたメリに困惑したもののすぐに体制を立て直しまた拳を振り上げる。
「ガレッドウォール!フュウスパック!」
メリは男の振り下ろした拳を光の壁で弾きその後空中で火花を散らし牽制した。喧嘩は苦手だが魔法ならまだ立ち向かえる。
「・・・チッ。面倒な奴が出てきたな。」
男はメリの放った魔法を見ると舌打ちをして去っていった。執拗いやつではなかったのが幸いだ。男が去るとメリはため息をついてその場に崩れ落ちた。
「いたっ・・・いたい。殴られたことなんて・・・うぅ姉ちゃんくらいにしか・・・」
メリは殴られた頬を涙目で抑えてぶつくさと呟いた。
「もし、坊ちゃん。ありがとうな」
庇った初老の男がメリに後ろから声をかけた。
「ひっ!あ・・・あぁ。ふぅ、怖かったな。おじちゃん大丈夫か?」
突然の声にびっくりしたが庇った相手だと思い出し安堵する。
「おぉ、いきなり声をかけてごめんよ。助かったよ。娘に贈るこの髪飾りが無事で。本当にありがとう。それと頬が腫れてしまいそうだな、ちょっと待ってな。」
そう言うとおじちゃんは背負っていた木箱を空けゴソゴソと何かを取り出し始めた。
「あったあった。これを・・・こうして・・・よし。ちょっと我慢してな。」
「う・・・いっ・・・つ」
「よし、出来た。いい子だ。」
おじちゃんはメリの頬にペタペタと何かを塗るとその上から布を貼りつけた。
メリがまた少し涙ぐむとおじちゃんは頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「って俺子供じゃねーし!これはその、俺は魔法特化系だから痛みにちょっと弱いだけだ!」
「おお、すまんすまん。ついな。」
恥ずかしくなり顔を赤くしておじちゃんを睨む。おじちゃんは笑いながら手をよける
とハハっと朗らかに笑った。
「わたしはリオネロ・アルベルティ。アルベルティ薬屋の店主だ。ちゃんとした薬師だから頬に塗った薬については安心してくれな。」
「へえ、おじちゃん薬師なんだ。俺はメリ。一応旅人なんだ。」
「旅人なのか!じゃあ色々と大変だろう。助けてくれたお礼に色々役立つものをあげよう。時間があればお店においで。」
「いいの?助かるけど。」
「もちろんだ。じゃあ一緒に来ておくれ。」
メリはおじちゃんのお店についていくことにした。何かと旅に物資は必要だ。くれるというなら貰っておいた方がいいだろう。
道中おじちゃんは今日から始まる仮面祭のことについてや可愛い娘のことについて話をしてくれた。
「そのキラキラの髪飾り娘さんにあげるんだよな?仮面祭でつけるのか?」
「そうなんだよ。娘はべっぴんさんで街でもちょっとした有名人だからね、仮面祭の最終日にこの街の金持ち達が集まる仮面舞踏会に今回お呼ばれしてね。わたしも鼻が高いよ。・・・そこでつけるように知り合いの鍛冶に金塊から作って貰ったんだ。特注品さ。」
おじちゃんは髪飾りを嬉しそうに見つめながらそう教えてくれた。
「そっか。それは本当に盗られなくてよかったな。それにもしてもおじちゃんの話聞いてたら娘さんに会ってみたくなっちゃうぜ。」
「言っておくが娘はやらんからな。」
「別に狙ってないって。」
そこからまた仮面舞踏会についての話などを聞いているとあっという間にお店についたようだった。
「い・・・痛いっ!めっちゃ痛い!」
メリは自分の頬を抑え涙目で拳を放った男を睨みつける。男は突然飛び出してきたメリに困惑したもののすぐに体制を立て直しまた拳を振り上げる。
「ガレッドウォール!フュウスパック!」
メリは男の振り下ろした拳を光の壁で弾きその後空中で火花を散らし牽制した。喧嘩は苦手だが魔法ならまだ立ち向かえる。
「・・・チッ。面倒な奴が出てきたな。」
男はメリの放った魔法を見ると舌打ちをして去っていった。執拗いやつではなかったのが幸いだ。男が去るとメリはため息をついてその場に崩れ落ちた。
「いたっ・・・いたい。殴られたことなんて・・・うぅ姉ちゃんくらいにしか・・・」
メリは殴られた頬を涙目で抑えてぶつくさと呟いた。
「もし、坊ちゃん。ありがとうな」
庇った初老の男がメリに後ろから声をかけた。
「ひっ!あ・・・あぁ。ふぅ、怖かったな。おじちゃん大丈夫か?」
突然の声にびっくりしたが庇った相手だと思い出し安堵する。
「おぉ、いきなり声をかけてごめんよ。助かったよ。娘に贈るこの髪飾りが無事で。本当にありがとう。それと頬が腫れてしまいそうだな、ちょっと待ってな。」
そう言うとおじちゃんは背負っていた木箱を空けゴソゴソと何かを取り出し始めた。
「あったあった。これを・・・こうして・・・よし。ちょっと我慢してな。」
「う・・・いっ・・・つ」
「よし、出来た。いい子だ。」
おじちゃんはメリの頬にペタペタと何かを塗るとその上から布を貼りつけた。
メリがまた少し涙ぐむとおじちゃんは頭をぽんぽんと撫でてくれた。
「って俺子供じゃねーし!これはその、俺は魔法特化系だから痛みにちょっと弱いだけだ!」
「おお、すまんすまん。ついな。」
恥ずかしくなり顔を赤くしておじちゃんを睨む。おじちゃんは笑いながら手をよける
とハハっと朗らかに笑った。
「わたしはリオネロ・アルベルティ。アルベルティ薬屋の店主だ。ちゃんとした薬師だから頬に塗った薬については安心してくれな。」
「へえ、おじちゃん薬師なんだ。俺はメリ。一応旅人なんだ。」
「旅人なのか!じゃあ色々と大変だろう。助けてくれたお礼に色々役立つものをあげよう。時間があればお店においで。」
「いいの?助かるけど。」
「もちろんだ。じゃあ一緒に来ておくれ。」
メリはおじちゃんのお店についていくことにした。何かと旅に物資は必要だ。くれるというなら貰っておいた方がいいだろう。
道中おじちゃんは今日から始まる仮面祭のことについてや可愛い娘のことについて話をしてくれた。
「そのキラキラの髪飾り娘さんにあげるんだよな?仮面祭でつけるのか?」
「そうなんだよ。娘はべっぴんさんで街でもちょっとした有名人だからね、仮面祭の最終日にこの街の金持ち達が集まる仮面舞踏会に今回お呼ばれしてね。わたしも鼻が高いよ。・・・そこでつけるように知り合いの鍛冶に金塊から作って貰ったんだ。特注品さ。」
おじちゃんは髪飾りを嬉しそうに見つめながらそう教えてくれた。
「そっか。それは本当に盗られなくてよかったな。それにもしてもおじちゃんの話聞いてたら娘さんに会ってみたくなっちゃうぜ。」
「言っておくが娘はやらんからな。」
「別に狙ってないって。」
そこからまた仮面舞踏会についての話などを聞いているとあっという間にお店についたようだった。
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