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第2章 仮面と商業の街
2-8 ミカゲの用事(2)
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度々小さな声で独り言を呟いてしまっていたのでついに注意されるのだろうか。
「すみませんうるさくしてしまって~。」
「うるさいとかではなくて、困ってるみたいだったから声掛けたの。何について調べたいの?私、魔法薬学には少し詳しいの。」
「えっと~。ちょっと特殊な薬なのですが・・・」
ミカゲは自分が探している魔法薬と使いたい症状について手短に女性に話した。他人に話すには不確実な情報に溢れたものだったが一縷の望みにかけたいという思いが女性に事情を話すことを後押しした。笑い飛ばされればそれまでだ。
「すみません~。絵空事のような話ですよね~。私も手探りというかあればいいな~くらいの気持ちで探しているのです~。全然流してもらって構わないですから~。」
「いいえ。興味深いわ。既存の薬では無理かもしれないけど色々掛け合わせていじれば何とかできるかもしれない。できる可能性は1パーセントにも満たないかもしれないけれど。ねえ、時間がかかるかもしれないけど良ければ私と調べてみない?でもそれ程の薬だと並の魔法使いじゃ作れないから知識だけあっても無駄になるかもしれないけど・・・」
「いいん・・・ですか~?あ、でも、私旅の途中で~」
女性はミカゲの想像した態度とは違い思慮深い表情でじっくり考えてくれている様子だった。笑うどころか一緒に調べてくれるとまで言ってくれている。しかし時間の問題がある。
「あなた旅人さんなのね。どのくらい滞在する予定なの?」
「仮面祭が終わるまで・・・です~。」
「待って仮面祭は今日から始まって・・・明後日までじゃないの!!」
ミカゲは申し訳なさそうにはにかみながらそう告げる。
女性は小声でミカゲにツッコミを入れるとふぅーとため息を漏らした。
「すみません~。せっかく提案して頂いたのに~。」
「まぁいいわ。それなら、それまで時間があるだけ一緒に調べてみましょうよ。もし貴方が良ければね。」
「あ・・・ありがとうございます~!」
「しー!声がでかい!」
女性は大きな黒い瞳を真っ直ぐミカゲに向け右手を差し出しながらそう言った。ミカゲは思わずその手を両手で握り感謝の念を声に出す。少々大きめの声が出てしまい女性に小声で怒られた。
「すみません~。あの失礼ですがお名前を聞いても~?あ、私はミカゲと言う者です~。」
「ん?あぁ、そうね。私は・・・ベル・・・ベルピオージャ。この街で薬師をやってるの。よろしくねミカゲちゃん!」
べルピオージャは夕暮れ時まで真剣にミカゲの調べ物に付き合うとそろそろ家族でご飯を食べなければと謝りながら帰って行った。ミカゲは彼女にお礼を言い明日も約束を取り付けるとリルがとってくれた宿へと帰路へついた。
「すみませんうるさくしてしまって~。」
「うるさいとかではなくて、困ってるみたいだったから声掛けたの。何について調べたいの?私、魔法薬学には少し詳しいの。」
「えっと~。ちょっと特殊な薬なのですが・・・」
ミカゲは自分が探している魔法薬と使いたい症状について手短に女性に話した。他人に話すには不確実な情報に溢れたものだったが一縷の望みにかけたいという思いが女性に事情を話すことを後押しした。笑い飛ばされればそれまでだ。
「すみません~。絵空事のような話ですよね~。私も手探りというかあればいいな~くらいの気持ちで探しているのです~。全然流してもらって構わないですから~。」
「いいえ。興味深いわ。既存の薬では無理かもしれないけど色々掛け合わせていじれば何とかできるかもしれない。できる可能性は1パーセントにも満たないかもしれないけれど。ねえ、時間がかかるかもしれないけど良ければ私と調べてみない?でもそれ程の薬だと並の魔法使いじゃ作れないから知識だけあっても無駄になるかもしれないけど・・・」
「いいん・・・ですか~?あ、でも、私旅の途中で~」
女性はミカゲの想像した態度とは違い思慮深い表情でじっくり考えてくれている様子だった。笑うどころか一緒に調べてくれるとまで言ってくれている。しかし時間の問題がある。
「あなた旅人さんなのね。どのくらい滞在する予定なの?」
「仮面祭が終わるまで・・・です~。」
「待って仮面祭は今日から始まって・・・明後日までじゃないの!!」
ミカゲは申し訳なさそうにはにかみながらそう告げる。
女性は小声でミカゲにツッコミを入れるとふぅーとため息を漏らした。
「すみません~。せっかく提案して頂いたのに~。」
「まぁいいわ。それなら、それまで時間があるだけ一緒に調べてみましょうよ。もし貴方が良ければね。」
「あ・・・ありがとうございます~!」
「しー!声がでかい!」
女性は大きな黒い瞳を真っ直ぐミカゲに向け右手を差し出しながらそう言った。ミカゲは思わずその手を両手で握り感謝の念を声に出す。少々大きめの声が出てしまい女性に小声で怒られた。
「すみません~。あの失礼ですがお名前を聞いても~?あ、私はミカゲと言う者です~。」
「ん?あぁ、そうね。私は・・・ベル・・・ベルピオージャ。この街で薬師をやってるの。よろしくねミカゲちゃん!」
べルピオージャは夕暮れ時まで真剣にミカゲの調べ物に付き合うとそろそろ家族でご飯を食べなければと謝りながら帰って行った。ミカゲは彼女にお礼を言い明日も約束を取り付けるとリルがとってくれた宿へと帰路へついた。
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