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第1章 結成!臨時パーティ!

1-24 それはアリキタリな勇者のこと(2)

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「リガステルさんならもしかしたらこの結界も解いてどうにか出来ましたですかね?アンヌはそう思いますです。」

リガステルはメイダリア王国が抱える有能な大魔法使いだ。勇者達のパーティにノリノリで着いてきた1人だ。実力はもちろん本物で、持ちうる魔力は魔王にも匹敵する。その力をもってしても巧妙な魔王側の罠に悪戦苦闘したのだが。全員が捕まる直前になんとか1人変身魔法で鳥となり逃げ出した。

「っスね~。とりあえず捕まる前に抜け出せたリガステルが応援連れてくるのを待つしかないっスかね。」

「でもでも。そこまで私達無事だと思えないよぅ?」

強気な少女と勇者以外の3人がそう会話してため息をつく。

「もう!なんで皆そんな雰囲気にすんのよ!」

皆の落ち込む様子にミラウィスが怒り全員でそれを宥めた。この一連の流れを何度か繰り返している。

 実際フレアストや他の面々が落ち込み不安になるのも仕方ない事だった。今生かされてるのが不思議なことなのだ。その場で殺されてもおかしくなかったのだが、人質としての価値を見出されたのだろう。
しかし勇者達が捕まったことで事態はすこぶる絶望的だった。
彼らはメイダリア王国の持ちうる最高の戦力の全て。魔王や手下たちよりも勇者達の実力は明らかに上だったのだ。一人一人の戦力にしても格が違う。本来なら絶対に負けるはずがないと言いきれるほどに。しかし負けた。魔王にお目通り叶うこともなく。数々の巧みな罠と手下たちのタイミングの良い攻撃によって。言葉は悪いが雑魚に負けた。

「なんかなんか。おかしいよぅ。魔王達なんて魔法でゴリ押しタイプだったのになんで今更あんなに頭使うのよぅ。」

「しかもおいら達の攻撃や行動のパターンを読んでいたかのような絶妙な罠だったっス。」


確かに予告状を出したからにはそれ相応の準備はしていたはずだ。何もおかしいことではない。しかしこちらもまた同様に相手の性質や攻撃パターンを予測して計画を立てて来ていた。向こうの方が予測の立て方がうまかったからといって一挙一動把握することは不可能だ。自分たちの実力を過信してはいないが全く歯が立たないというのは可笑しなはなしだ。


「こういう時リル様なら、『悩んでたって仕方が無いわ!』って色々頑張ったり元気づけたりしてくれたんだろうけど。あたしには無理よ。」

「そのミラウィスの大好きなリル様が今1番危ないんだから頑張ろうですよ!アンヌも頑張りますですから。」

「そうだ。向こうにも戦力は残してあるとはいえ今の状態ではリル・・・様が危険だ。オレがしっかりしていれば・・・」

城の守備は対魔族にも対人間にも優れているがこの様子だとそちらも充分に破る準備は出来ていそうだ。リル姫の安全も時間の問題だろう。

「リル様が城から離れて安全な場所に逃げてくれいるのを祈るしかないっスね。外に逃げるのもまた賭けっスけど・・・」

全員がため息をつきどうしたらいいかを思い悩む。その中でハッとした顔をしたものがひとり。

占い師のマーフィだ。

「あのあの。根本的な・・・根本的な問題なのだけどねぇ、そもそも姫様の存在って城と王族に関わる1部の人しか知らないんじゃないのよぅ?」

「おいら全然気づかなかったっスけど。それって・・・大問題じゃないスかあああ!おいら達こっちに来てる場合じゃないじゃないスかあ!!」

武闘家のレベトールが青ざめた顔で大袈裟に声を上げてマーフィの発言に反応する。

「はぁ・・・貴方達ほんとに話聞いてなかったのね。だからこそ内部で少人数で動いたり大々的に私達がこちらに先手を打って向かったりしたんじゃない。それに城には優秀な私のお姉ちゃん、ラーチェお姉ちゃんがいるんだから大丈夫に決まってんでしょ。」

ミラウィスが呆れた様子でそれに反応しつつも最後にはへへんと腕を組んで得意気に話す。
 そう別棟メイド長兼教育係のラーチェはミラウィスの姉で、さらに守備の戦略や魔法に長けた王国の騎士でもある。むしろ本業は騎士だ。永らく平和が続いていたため城の雑用や王族の世話に回っていたのだ。
王国騎士団は戦力に関してはそれほど強くはないが守りに関してはピカイチだ。
だからこそ勇者達は安心して特攻を仕掛けることが出来た。今はその守りに縋るしかない。

「そうだな。情けないが今は、城の騎士団を信じるしかない。オレ達はここから出る方法を引き続き考えようか。」


「そうそう。きっと突破校はあるはずよぅ。」


「あ!おいら、いい事思いついたんっスけど・・・」


「それ何回も聞きましたです。アンヌは覚えてますです。」


「とりあえず聞いてみようよ!」


魔王城の牢の中では勇者フレアスト、騎士ミラウィス、武闘家レベトール、占い師マーフィ、戦士アンヌはこの状況を打破するためまた頭を捻らせるのだった。
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