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第1章 結成!臨時パーティ!
1-21 臨時パーティと臨時バディの戦場(1)
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霧と瘴気が晴れた事で森は随分と歩きやすい、普通の森へと姿を変えた。もう「陰りの森」なんてネーミングは似合わない。
さて、皐月の身に起きた現象だが結局、とりあえず「すごい」の一言で片付けられてしまった。森を抜けようと歩を進める中その事について考えているのは皐月くらいだろう。嫌でも頭からその疑問は離れない。
腑に落ちない表情で歩く皐月に対し他3人は清々しい顔をして歩いていた。
「サツキまだ悩んでるの?その内きっと分かるから。今悩んだって仕方ないわ。」
「とはいっても突然のことで理解出来ないんだよ。何が起こったのか。考えたくもなるよ。」
首を傾げて歩く皐月に振り返りながらリルが声をかける。
「手を使わないで体全体から魔法出せるなんて凄いじゃん!別に隠すことなかったのにさ」
後ろからメリが会話に参加してきた。森に入った時と違い随分とお気楽そうに歩いている。
「隠してた訳じゃない。魔法が使いこなせてるなら、あんな無差別攻撃しないよ。」
「それはごもっともですね~。あの流れで私達に攻撃してきたなら魔族のなかまかな~って思われちゃいますよ。サツキさんがもし私達を騙していたとしてもそんな馬鹿なことはしませんよね~。」
「・・・あぁ」
先頭を歩いていたミカゲが少し顔をこちらに向けながら柔らかい笑顔を作り、ね?と同意を求めてきた。
正直少し棘のある言い方のように感じた。もしかしたらミカゲは先のことで疑っているのかもしれない。
「なんて、すみません。少し失礼でしたね~。私もみなさんの信頼を得ているとは言えない状況なので、少し神経質になっていました~。」
先程の少々冷たい表情とは一変、すまなさそうにはにかんでミカゲは前をむく。皐月が初めに感じていた不安を彼女も感じていたのだろう。助けて貰ったとは言えお互い素性のわからないもの同士、手放しで信用は出来ない。
「大丈夫よ。サツキもミカゲももうとっくに仲間だもの。信頼してるわ!」
その様子を見ていたリルはミカゲを追い越し一行の一番前に出ると腰に手を当て片方の手をこちらに向けて差し出し微笑む。
「リルちゃんは少し人を警戒した方がいいですよ~?」
「ほんとにな。」
「あら私、人を見極める力は持ってるつもりよ?」
「どうですかね~?」
リルはおちょくるミカゲの頬をほんとだって!と軽くつねる。
「ひゃめてくだひゃい~!」
どこか嬉しそうにそう言うとミカゲもまたリルの頬を優しくつねる。
年齢にしては少し幼い行動かもしれないが普通の女の子らしい無邪気な姿に皐月は少しほっとした。
「とにかく!暫くはこの4人で一蓮托生、旅を続けましょう。次の街レブリックへ向けて臨時パーティの結成ね!」
リルはミカゲとのわちゃわちゃをやめて改めて全員に向き直ると天に人差し指を向け、盛大に宣言する。3人は顔を見合わせ笑い合うと元気に片腕を空に掲げ「おー!」と気合を入れた。
少しの困難を抜けて次の土地へと臨時パーティは旅を始める。
さて、皐月の身に起きた現象だが結局、とりあえず「すごい」の一言で片付けられてしまった。森を抜けようと歩を進める中その事について考えているのは皐月くらいだろう。嫌でも頭からその疑問は離れない。
腑に落ちない表情で歩く皐月に対し他3人は清々しい顔をして歩いていた。
「サツキまだ悩んでるの?その内きっと分かるから。今悩んだって仕方ないわ。」
「とはいっても突然のことで理解出来ないんだよ。何が起こったのか。考えたくもなるよ。」
首を傾げて歩く皐月に振り返りながらリルが声をかける。
「手を使わないで体全体から魔法出せるなんて凄いじゃん!別に隠すことなかったのにさ」
後ろからメリが会話に参加してきた。森に入った時と違い随分とお気楽そうに歩いている。
「隠してた訳じゃない。魔法が使いこなせてるなら、あんな無差別攻撃しないよ。」
「それはごもっともですね~。あの流れで私達に攻撃してきたなら魔族のなかまかな~って思われちゃいますよ。サツキさんがもし私達を騙していたとしてもそんな馬鹿なことはしませんよね~。」
「・・・あぁ」
先頭を歩いていたミカゲが少し顔をこちらに向けながら柔らかい笑顔を作り、ね?と同意を求めてきた。
正直少し棘のある言い方のように感じた。もしかしたらミカゲは先のことで疑っているのかもしれない。
「なんて、すみません。少し失礼でしたね~。私もみなさんの信頼を得ているとは言えない状況なので、少し神経質になっていました~。」
先程の少々冷たい表情とは一変、すまなさそうにはにかんでミカゲは前をむく。皐月が初めに感じていた不安を彼女も感じていたのだろう。助けて貰ったとは言えお互い素性のわからないもの同士、手放しで信用は出来ない。
「大丈夫よ。サツキもミカゲももうとっくに仲間だもの。信頼してるわ!」
その様子を見ていたリルはミカゲを追い越し一行の一番前に出ると腰に手を当て片方の手をこちらに向けて差し出し微笑む。
「リルちゃんは少し人を警戒した方がいいですよ~?」
「ほんとにな。」
「あら私、人を見極める力は持ってるつもりよ?」
「どうですかね~?」
リルはおちょくるミカゲの頬をほんとだって!と軽くつねる。
「ひゃめてくだひゃい~!」
どこか嬉しそうにそう言うとミカゲもまたリルの頬を優しくつねる。
年齢にしては少し幼い行動かもしれないが普通の女の子らしい無邪気な姿に皐月は少しほっとした。
「とにかく!暫くはこの4人で一蓮托生、旅を続けましょう。次の街レブリックへ向けて臨時パーティの結成ね!」
リルはミカゲとのわちゃわちゃをやめて改めて全員に向き直ると天に人差し指を向け、盛大に宣言する。3人は顔を見合わせ笑い合うと元気に片腕を空に掲げ「おー!」と気合を入れた。
少しの困難を抜けて次の土地へと臨時パーティは旅を始める。
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