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STEP3:一緒に帰りましょう
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ザッ、ザッ、ザリ。
コンクリートを踏む二人分の足音だけが響き渡る。
お喋りリーダーがいないと私たちの間に会話は生まれなかった。ほんのちょっと前とは打って変わって気まずい空気が流れる。
こういう時って一体何を喋ればいいんだろう。皐月ちゃんは何喋ってたっけ? 趣味とか特技とか聞いてみる? いや、なんかそれだとお見合いのテンプレってかんじじゃん!? ていうか男子と二人きりなんてシチュエーション、幼稚園以来だからマジでパニック状態なんだけど!!
「あっ」
「えっ?」
鳴海くんが突然ピタリと足を止めたので、つられて私も立ち止まる。彼の目線を辿ると、数メートル先にある駐車場の入り口に足を揃えてお座りしている猫がいた。白、茶色、焦げ茶色の三種類の色が混じった三毛猫だ。
「……猫?」
私がぽつりと呟くと、鳴海くんは猫の目線に合わせるようにその場にしゃがみこんだ。心なしかうきうきと楽しそうだ。
「どうした? そんなとこにいたら車に轢かれんぞ?」
優しい声で話かける。猫は警戒心が強いらしく、丸かった目を細めて睨むようにこちらを見ていた。
「おーい、こっちにおいでー?」
猫は残念ながら呼びかけに応じることはなく、姿勢を低くしてこちらの様子を伺っている。タイミングを見計らって、バッと勢いよく逃げて行った。
「あー……」
鳴海くんはがっくりと項垂れる。目に見えて落ち込んでいた。それを見た私の口は自然と動き出す。
「鳴海くんって猫好きなの?」
振り返った鳴海くんの驚いたようなつり目と目が合った。
「ああ。一応飼ってる」
「もしかしてアイコンの猫ちゃん?」
「そう。キジトラのオス。名前は虎徹」
「虎徹くんって言うんだ。かわいいね」
私は鳴海くんのSNSのアイコンを思い浮かべながら言った。
「アイツ元は野良猫なんだけど、捕まえる時暴れるわ引っ掻かれるわで苦労したんだ。それに俺、猫にすぐ逃げられるから」
確かに今の三毛猫にも逃げられていた。しかもかなり警戒されてたし。
「仲良くしたくても近付くとすぐ逃げられる。たまにシャー! って威嚇されることもあるしな」
「そうなんだ」
「……なんでだろうな。俺の顔が怖いからか? 目付きワリィから喧嘩売ってると思われんのか?」
そんなことを真剣に言うものだから思わず笑みが浮かんだ。意外と気にしてるんだなぁ。なんだかちょっと可愛い。
「ふふっ」
我慢出来ずに出てしまった笑い声に気付いて、私は慌てて謝罪する。
「き、急に笑ってごめん! 失礼だったよね、ごめんね!」
怒ってるかと思っておそるおそる視線を向けると、鳴海くんは何故かびっくりした顔で私を見ていた。
「……な、鳴海くん?」
「あっ、ワリィ。その、別に失礼でもなんでもないから。謝んなくていい。むしろ笑ってくれた方が……いや、なんでもない」
鳴海くんは照れたように頭をガシガシとかくと、スッと立ち上がる。
「途中で足止めて悪かったな」
「あ、全然平気だよ。私も猫好きだし、見れて嬉しかった」
「なら良かった。じゃあ……行くか」
私たちは再び歩き出した。だけど、さっきまでの気まずさは微塵も感じられない。猫ちゃん効果ってすごいと思いながら、私に合わせてゆっくり歩いてくれてる鳴海くんの隣りに並んだ。
コンクリートを踏む二人分の足音だけが響き渡る。
お喋りリーダーがいないと私たちの間に会話は生まれなかった。ほんのちょっと前とは打って変わって気まずい空気が流れる。
こういう時って一体何を喋ればいいんだろう。皐月ちゃんは何喋ってたっけ? 趣味とか特技とか聞いてみる? いや、なんかそれだとお見合いのテンプレってかんじじゃん!? ていうか男子と二人きりなんてシチュエーション、幼稚園以来だからマジでパニック状態なんだけど!!
「あっ」
「えっ?」
鳴海くんが突然ピタリと足を止めたので、つられて私も立ち止まる。彼の目線を辿ると、数メートル先にある駐車場の入り口に足を揃えてお座りしている猫がいた。白、茶色、焦げ茶色の三種類の色が混じった三毛猫だ。
「……猫?」
私がぽつりと呟くと、鳴海くんは猫の目線に合わせるようにその場にしゃがみこんだ。心なしかうきうきと楽しそうだ。
「どうした? そんなとこにいたら車に轢かれんぞ?」
優しい声で話かける。猫は警戒心が強いらしく、丸かった目を細めて睨むようにこちらを見ていた。
「おーい、こっちにおいでー?」
猫は残念ながら呼びかけに応じることはなく、姿勢を低くしてこちらの様子を伺っている。タイミングを見計らって、バッと勢いよく逃げて行った。
「あー……」
鳴海くんはがっくりと項垂れる。目に見えて落ち込んでいた。それを見た私の口は自然と動き出す。
「鳴海くんって猫好きなの?」
振り返った鳴海くんの驚いたようなつり目と目が合った。
「ああ。一応飼ってる」
「もしかしてアイコンの猫ちゃん?」
「そう。キジトラのオス。名前は虎徹」
「虎徹くんって言うんだ。かわいいね」
私は鳴海くんのSNSのアイコンを思い浮かべながら言った。
「アイツ元は野良猫なんだけど、捕まえる時暴れるわ引っ掻かれるわで苦労したんだ。それに俺、猫にすぐ逃げられるから」
確かに今の三毛猫にも逃げられていた。しかもかなり警戒されてたし。
「仲良くしたくても近付くとすぐ逃げられる。たまにシャー! って威嚇されることもあるしな」
「そうなんだ」
「……なんでだろうな。俺の顔が怖いからか? 目付きワリィから喧嘩売ってると思われんのか?」
そんなことを真剣に言うものだから思わず笑みが浮かんだ。意外と気にしてるんだなぁ。なんだかちょっと可愛い。
「ふふっ」
我慢出来ずに出てしまった笑い声に気付いて、私は慌てて謝罪する。
「き、急に笑ってごめん! 失礼だったよね、ごめんね!」
怒ってるかと思っておそるおそる視線を向けると、鳴海くんは何故かびっくりした顔で私を見ていた。
「……な、鳴海くん?」
「あっ、ワリィ。その、別に失礼でもなんでもないから。謝んなくていい。むしろ笑ってくれた方が……いや、なんでもない」
鳴海くんは照れたように頭をガシガシとかくと、スッと立ち上がる。
「途中で足止めて悪かったな」
「あ、全然平気だよ。私も猫好きだし、見れて嬉しかった」
「なら良かった。じゃあ……行くか」
私たちは再び歩き出した。だけど、さっきまでの気まずさは微塵も感じられない。猫ちゃん効果ってすごいと思いながら、私に合わせてゆっくり歩いてくれてる鳴海くんの隣りに並んだ。
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