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72話 9日目 流れに任せて
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宿につき、透が借りている部屋に戻った。
部屋にはカニャンの姿はなく、一匹の黒猫がベットの上で眠っていた。
「おや?カニャンさんは一体・・・?」
カニャンの姿がない事に疑問を抱く。
部屋を出る時に置き手紙を目立つ所に置いていた。
その置き手紙には移動した形跡はなかった。
予想から出る答えは、目立つ場所にあった置き手紙に気づかずに出かけた事が濃厚であった。
「すいません、カニャンさんが宿を出たか女将さんに聞いてきます。」
「お待ちください。 トオル様、カニャンさんならベットで寝てますわよ?」
振り返るもベットの上には、黒猫が寝ているだけだった。
まさか、黒猫がカニャンさんだと?
何が言いたいか察したノベールは透に言った。
「その、まさかですわね。」
「獣人族は獣化するとこうなるんですか?」
「違いますわ。 何と言いましょうか? 男性は滅多にありませんけれど、獣人族の女性はストレスが溜まると獣化ではなく退化をする場合がありますわ。」
退化の条件がストレスと聞いた透はアンティコーヌを思い浮かべた。
触れるぐらいなら大丈夫でしょうけど、アンティコーヌさんのは度がすぎてましたね。
理由に納得した透はこのまま抱えて馬車に乗るかも考えたが、旅の経路からするとオーク領まではここから二日かかる。
一日は野宿となると、退化が解除されてからの方が安全だと考えた。
「仕方ありませんね。 移動中にカニャンさんに何かあっては困りますし、一泊して行きますか。」
気になったのか、ウィドリィが話かけて来た。
「オーク領に何か用事でもあるのか? 助けてもらった礼に送ってもよいぞ?」
「またお空飛びたいの」
チィナはどうやら空の旅が気に入ったようだ。
普段は地面に足をつけてるように見えるが、チィナは浮いている。
チィナに聞いたところ、浮く事は出来ても1mくらいらしい。
ウィドリィに乗って移動すれば恐らく一日も掛からずにオーク領には着くが、悩む。
「む?どうしたのだ?」
「いえ、カニャンさんがとある人物に会うとこうなりかねないので、お願いはしたいんですが、ウィドリィさんの背中で持つかどうか・・・?」
「なら私が抱えて行けば大丈夫ですわよ? 不安でしたら風の束縛で私に縛りますわ。」
どうやら、大丈夫らしい。
ただ、気になったのがバインド系統はゲームだと蔦などで縛る魔法だったような? 風で縛るってどうなんでしょう?
触れる事が出来ない風で縛るとは一体的・・・? そういった魔法の可能性もありますし、バグの可能性もあるような? 一旦は風の束縛を使った移動をお願いして、相談が無難ですかね?
「ウィドリィさん、ここからオーク領の王都に今から出たらどれくらいで到着します?」
「ここからだと飛ばせば、日没には着くと思うが風の束縛があるからな。 普通ならみなが寝静まる頃だな。」
「と、なると明日朝からの移動ですかね? 宿の問題もあるでしょうし」
移動時間を把握した透は今日の移動を辞めた。
今からの時間が空いてしまった。
どうするか悩んでいるとノベールが買い物に誘ってきた。
どうやら二人っきりを希望のようで、デートのようだ。
「時間もありますし、行きましょうか。」
透の返事にノベールは嬉しそうに微笑んだ。
ノベールと宿を出て、飯屋に来た。
夕食を気にして二人で頼んだのは菓子の盛り合わせに紅茶だ。
菓子は見た限りクッキーだった。
「このお菓子は美味しいですわね。 トオル様もどうぞ?」
ノベールが透の口にクッキーを手で運ぶ。
これ、あーんですよね。 さすがに僕も恥ずかしいんですが、ここは・・・。
サクッとして味はほんのりした甘さがして、紅茶に合う味だった。
「まさか、食べて頂けるとは思いませんでしたの・・・」
そう言うノベールは顔が赤く染まっていた。
貴女も恥ずかしかったんですね・・・。
どうやらあーんは共通らしく、少し離れた所に座っている別の客も「あらあら、まぁまぁ」と微笑んでいた。
「こちらもどうぞ、お食べください。 あ、あーんですわ。」
「ノベールさん、無理してないです? 顔赤いですよ・・・?」
「わ、分かってますわ。 こういった経験はありませんの。」
恋愛経験は一度だけ透はしていた。
その時はまだ学生で今のような経験はない。
新鮮な気持ちに今を楽しんだ。
----現在のバグ一覧-----
-----バグ?不明-----
-----調査-----
魔法の威力について
部屋にはカニャンの姿はなく、一匹の黒猫がベットの上で眠っていた。
「おや?カニャンさんは一体・・・?」
カニャンの姿がない事に疑問を抱く。
部屋を出る時に置き手紙を目立つ所に置いていた。
その置き手紙には移動した形跡はなかった。
予想から出る答えは、目立つ場所にあった置き手紙に気づかずに出かけた事が濃厚であった。
「すいません、カニャンさんが宿を出たか女将さんに聞いてきます。」
「お待ちください。 トオル様、カニャンさんならベットで寝てますわよ?」
振り返るもベットの上には、黒猫が寝ているだけだった。
まさか、黒猫がカニャンさんだと?
何が言いたいか察したノベールは透に言った。
「その、まさかですわね。」
「獣人族は獣化するとこうなるんですか?」
「違いますわ。 何と言いましょうか? 男性は滅多にありませんけれど、獣人族の女性はストレスが溜まると獣化ではなく退化をする場合がありますわ。」
退化の条件がストレスと聞いた透はアンティコーヌを思い浮かべた。
触れるぐらいなら大丈夫でしょうけど、アンティコーヌさんのは度がすぎてましたね。
理由に納得した透はこのまま抱えて馬車に乗るかも考えたが、旅の経路からするとオーク領まではここから二日かかる。
一日は野宿となると、退化が解除されてからの方が安全だと考えた。
「仕方ありませんね。 移動中にカニャンさんに何かあっては困りますし、一泊して行きますか。」
気になったのか、ウィドリィが話かけて来た。
「オーク領に何か用事でもあるのか? 助けてもらった礼に送ってもよいぞ?」
「またお空飛びたいの」
チィナはどうやら空の旅が気に入ったようだ。
普段は地面に足をつけてるように見えるが、チィナは浮いている。
チィナに聞いたところ、浮く事は出来ても1mくらいらしい。
ウィドリィに乗って移動すれば恐らく一日も掛からずにオーク領には着くが、悩む。
「む?どうしたのだ?」
「いえ、カニャンさんがとある人物に会うとこうなりかねないので、お願いはしたいんですが、ウィドリィさんの背中で持つかどうか・・・?」
「なら私が抱えて行けば大丈夫ですわよ? 不安でしたら風の束縛で私に縛りますわ。」
どうやら、大丈夫らしい。
ただ、気になったのがバインド系統はゲームだと蔦などで縛る魔法だったような? 風で縛るってどうなんでしょう?
触れる事が出来ない風で縛るとは一体的・・・? そういった魔法の可能性もありますし、バグの可能性もあるような? 一旦は風の束縛を使った移動をお願いして、相談が無難ですかね?
「ウィドリィさん、ここからオーク領の王都に今から出たらどれくらいで到着します?」
「ここからだと飛ばせば、日没には着くと思うが風の束縛があるからな。 普通ならみなが寝静まる頃だな。」
「と、なると明日朝からの移動ですかね? 宿の問題もあるでしょうし」
移動時間を把握した透は今日の移動を辞めた。
今からの時間が空いてしまった。
どうするか悩んでいるとノベールが買い物に誘ってきた。
どうやら二人っきりを希望のようで、デートのようだ。
「時間もありますし、行きましょうか。」
透の返事にノベールは嬉しそうに微笑んだ。
ノベールと宿を出て、飯屋に来た。
夕食を気にして二人で頼んだのは菓子の盛り合わせに紅茶だ。
菓子は見た限りクッキーだった。
「このお菓子は美味しいですわね。 トオル様もどうぞ?」
ノベールが透の口にクッキーを手で運ぶ。
これ、あーんですよね。 さすがに僕も恥ずかしいんですが、ここは・・・。
サクッとして味はほんのりした甘さがして、紅茶に合う味だった。
「まさか、食べて頂けるとは思いませんでしたの・・・」
そう言うノベールは顔が赤く染まっていた。
貴女も恥ずかしかったんですね・・・。
どうやらあーんは共通らしく、少し離れた所に座っている別の客も「あらあら、まぁまぁ」と微笑んでいた。
「こちらもどうぞ、お食べください。 あ、あーんですわ。」
「ノベールさん、無理してないです? 顔赤いですよ・・・?」
「わ、分かってますわ。 こういった経験はありませんの。」
恋愛経験は一度だけ透はしていた。
その時はまだ学生で今のような経験はない。
新鮮な気持ちに今を楽しんだ。
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