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60話 8日目 ヤツが来た。

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食事を終えた俊達は、待合所へと向う。

待合所には数人が既に待っている状態だった。

「どうにか乗れそうですね。 ノベールさん、ここからオーク領は大体、三日で良かったですよね?」

「そうですわね。 二日間は間に村がありますから良いのですけれど、一日は野宿になりますわ。」

野宿を経験した事がない俊にとっては新鮮な一日となりそうだと、楽しみにする事にした。

予定の時間となり、馬車に乗り込んだ。

「じゃ、お客さん。 オーク領行き馬車、出発するよ!」

御者の男性が合図を告げた。

「思ったにゃけど、この馬車は護衛がいにゃいにゃ。」

「それは、大丈夫だよ。 でてもスライムくらいだからね。 私でも倒せるさ。」

俊には御者の発言がフラグにしか聞こえなかった。

「にゃら良いにゃ~。 でもスライムは触りたくないにゃ。」

馬車が進み、どれくらいかの時間がたった頃、白銀猫ニャンリルのにゃんちゃんが何かを感じたのか逆毛を立てている。

「何カ嫌ナ視線ヲ感ジルノダガ。」

「みゃ?特には感じにゃいにゃ?」

獣人族より第六感は優れているのだろうか? これと言ってカニャンも感じ取れるものがないらしい。

「隣ノ馬車ノヨウダゾ?」

「隣ですか。 少し前にも似た状況ありましたね。 アンティコーヌさんか。」

「思い出させるにゃ! 来たらあちしは逃げるにゃ!」

それほど嫌いな人物にいれるほどなのかと疑問に思った俊だった。

「まぁ、休憩の時にでも覗いてみれば良いのでは?」

「独特な方でしたものね。」

ノベールはそれほど嫌悪感はないようだ。

「それはみんにゃがもみくちゃにされてないからにゃ。 チィナもにゃんもきっと同じ気持ちになるにゃ。」

「チィナは触る事が出来ないから安全なの~」

「ムゥ、我ハ何トモ言エヌ」

みんなで雑談を楽しんでいた所、御者が話しかけてきた。

「もう少し進んだ場所で、馬の休憩を取りますので、自由時間です。 あまり離れますと、魔物の生息エリアになりますので、奥には行き過ぎないように」

ほかの客も含め頷いた。

そろそろお昼ごろになるのだろう。 時間が経つのは早いなと思った。

少しして、休憩へと入った。

休憩中に隣の馬車を覗きにいったカニャンの叫びが聞こえた。

「ぎにゃぁぁぁぁぁ!? にゃんでおまみゃいがいるにゃぁぁぁ!?」

叫びに駆け付けた俊達はお前という言葉から誰か想像がついた。

「なんでアンティコーヌさんがいるんですか? 牢屋の中では・・・。」

「釈放であります!」

檻を破壊する力があると考えると脱走のほうが濃厚だと疑いの眼を向ける俊だった。

「コノ人種族カラ不ノ何トイウカ、オーラを感じるな。」

どうやらにゃんちゃんが感じた目線は、やはりアンティコーヌだったようだ。

「その見た目・・・白銀猫ニャンリルでありますか!」

うひょーっと声をあげ、白銀猫ニャンリルこと、にゃんちゃんへと飛び掛かったアンティコーヌだったが、避けられてしまった。

勢い良く地面とキスをした。

「へぶぅ!? なんで避けるでありますかぁぁぁぁぁ!」

「身ノ危険ヲ感ジタノデナ。 許セ。」

「面白いお姉ちゃんなの~」

騒ぎを聞きつけ、ほかの客も集まってきてしまった。







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