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41話 7日目 南東の村へ

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日が登り目覚めた俊は、ベットから起き上がると隣を見る。

「一緒に寝ただけですが、寝付けずに苦労しましたね・・・。 刺激が強すぎる。」

目の先には寝具に包まったノベールの姿がある。

先に起きてしまったと頭を抱えた俊だった。

しまった・・・。先に起きてしまうと、起こすかどうかで口論になる漫画もありましたね・・・。 中世の世界観がある作品って寝具剥ぐと下着姿だった! とかお約束ですけど、僕がするかどうか・・・。 ふふ、そんな度胸なんてあるわけないじゃないですか。

「トオル起きてるかにゃぁぁ!」

そこへノックをせずに部屋に入ってくるカニャンの姿が映る。

「起きてますよ。 ノベールさんはまだ寝てますけど。」

「ニョベール起きるにゃぁぁ!」

カニャンが寝具をはぎ取った。

そこにはネグリジェを来たノベールの姿があった。

いや、予想はしてましたが、いつ着替えるんですかね。 こういった場合って・・・。

「朝ですの? う~ん・・・。 寒いですわ。」

「トオルがニョベールと寝てたにゃ! おみゃいらそういう関係だったにゃ?」

「あら、カニャン様。 おはようございます。」

「いえ、違いますよ。 迫られてはいますけど・・・。」

「そうにゃのかにゃ? それよりにゃ! 今日はオーク領行きの馬車に乗るにゃ!」

酔い潰れていたカニャンにはまだ説明をしていなかったと、昨日の夜に調べた事象について説明する。

「んにゃ? 南東の村にゃ? 近くに墓地があるところかにゃ?」

「そうですね。 死人が蘇る。 これは不思議な状態だなと調査しようかと。」

「ですわね。 ただトオル様?蘇った場合はどうなりますの? 心当たりがあるような事をおっしゃってましたけれど。」

「それは見て確信すれば共有はしますよ。」

「よくわからにゃいけど、一緒に行くにゃ! アンティコーヌに見つからないうちに出発したいにゃ!」

話がまとまり、三人は食堂へ行き食事を楽しんだ。

「南東の村の名前を聞き忘れましたが、カニャンさんわかりますか?」

「南東の村はセイザルの村にゃ。 今から向かうと日の影が南を示す頃にはつくのにゃ。」

北を示す・・・12時くらいって事ですかね? なんか本で見た覚えがありますね。

「わかりました。 では向かいましょうか。」

南東の城門から出ようとした時、立札に手配者と書かれた紙が、張り出されていた。

「やっぱり脱獄してるにゃぁぁぁ! トオルたち早く出発するにゃぁぁ!」

「檻を破壊してましたからね。 まぁ予想は出来てた事ですが・・・。」

「罪が重くなりますのね。 仲の良い方だけモフモフしていればよろしいですのに。」

アンティコーヌの脱走を知った三人は、セイザルの村へと足を進めた。

小一時間ほど歩いた俊達の前に、何かが木から落ちてきた。

落ちてきたのはスライムだった。

「人肌に似てる色のスライムですね。 あれ、何のスライムなんでしょう?」

「見たことない色にゃ。」

「似た色のスライムで同化するスライムは見たことありますわ。 でもこんな色じゃなかったと思いますの。」

謎のスライムと出会った俊達は少し離れ、周りを移動する。

「分からないスライムは避けた方が無難ですね。 刺激しないように離れましょうか。」

避けて移動した俊達にスライムは飛び掛かった。

「にぎゃぁぁぁぁ! しっぽについたにゃぁぁ!?」

「剥がします!」

俊がカニャンのしっぽを掴んだ。

「握るにゃぁぁぁ!? しっぽ弱いにゃぁぁぁん!?」

涙目で走り出すカニャンの力に、引きずられる俊だった。

「わぷっ! ちょ、ちょっと!落ち着いてください!」

「トオル様ぁぁ!」

カニャンはパニックになった。

「離すにゃぁぁぁ! あっ」

大木に激突して倒れたカニャンに同じく勢いに負け衝突した俊はカニャンの上に落ちる。

「うげっ・・・。」

「お二人とも大丈夫ですの!?」

俊は起き上がろうと手を付いた。

ムニュ。

「トオル様、わざとですの? この光景少し前にも見た覚えありますわよ?」

青筋を浮かべるノベールに慌てて手を離す俊だった。

「どうみても事故ですよ!? カニャンさん、すいません。 胸を・・・。」

「・・・・・・。」

「気を失ってますわね。」

「それより、スライムは?」

スライムはカニャンの全身を包み込んだ。

「仕方ありませんわ! 雷衣体エレキボディ!」

「みゃみゃにゃにゃにゃにゃにゃ」

カニャンは感電し、スライムは溶けていった。

「「!?」」

カニャンの姿に変化があった。





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-----バグ?不明-----

-----調査-----
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