異世界デバッグ物語 ~新たな世界はバグまみれ~

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38話 6日目 ヤツ、現る。

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馬車に乗り込んだ時、横を別の馬車が過ぎていく。

「出すでありますよー! まだ抱き足りないでありますー!!」

聞き覚えのある声が聞えた。

「にゃ!? この声はあいつにゃ!?」

「あら、アンティコーヌ様ですわね。 檻に入れられてますわ。」

同じ人族の行動に頭を抱えた俊は、カニャンを奥の席へ移動させた。

「助かるにゃ。 見つかったら大変にゃ!」

「濃ゆい人ですわね・・・。」

「出すでありま・・・ハッ! この匂いは!! そこの馬車でありますね! カニャンちゃぁぁぁぁん! ここでありますよー! カモォォォン!」

「バレましたね。」

「バレましたわね。」

「嫌にゃぁぁぁぁぁぁ! 絶対ここから出ないのにゃぁぁぁぁぁ!」

「ふん! であります!」

掛け声と共に檻を破壊したアンティコーヌは俊達の乗る馬車にかけていく。

「あ、こら!逃げるな!」

後ろから犬耳が生えた人型獣人がかけてくる。

「にぎゃぁぁぁぁぁぁ! 来るにゃぁぁぁぁ!」

カニャンの前に俊とノベールが立ちふさがるが、隙間を抜けてカニャンに抱き着いた。

「にぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

カニャンの叫びが響き渡る。

「僕たちの間を抜けるって・・・身体能力高いですね・・・。 カニャンさん?大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃにゃいにゃぁぁぁぁ!? にぎゃぁぁぁ!」

「はぁ!クンカクンカクンカクンカ!」

「こら!その子を離しなさい!」

「嫌であります! クンカクンカクンカ」

「ノベールさん、どうにかなります?」

「雷衣体《エレキボディ》を使って触れば多分・・・ですけれど。」

どうぞ。 と俊がノベールに視線を送りノベールが雷衣体《エレキボディ》でアンティコーヌに触れる。

「しびれるでありますー! はっ! これは運命でありますか!?」

「にぎゃぁぁぁぁぁぁ・・・・」

カニャンは気絶し、アンティコーヌはピンピンしていた。

「何ですの、この方・・・。 効いておりませんわ!?」

「カニャンちゃぁぁぁん!これも運命でありますよー! にょほほほ!」

「檻も破壊して雷衣体《エレキボディ》も効かない・・・存在がバグって可能性も・・・。」

俊はブツブツ言っている。

「アンティコーヌ! はやく離さないか!」

犬耳の警備隊らしき人は引きはがそうと手を引っ張る。

「き・た・で・あ・り・ま・す・ね?  犬耳も良いでありますよぉぉぉ! しっぽもぉぉぉ! おほぉ!」

犬耳警備隊はアンティコーヌにつかまってしまった。

「こら!離せ! あ!? そこ!?」

しっぽにしがみ付いて顔振っている。

「クンカクンカクンカクンカ!」

「とりあえず、カニャンさんは助かりましたね。 ではこのまま行きましょう。」

「まっ!はな・・・せ・・・」

警備隊の人は犠牲になったのだ。

カニャンを奥で横に寝かせ馬車は動き出した。

「賑やかですわね・・・。」

「このまま獣人族王都まで、我慢ですね・・・。」

二人は溜息をついた。

ふと気になった俊はノベールにメッセージを送った。

俊:ノベールさん。雷衣体《エレキボディ》はアンティコーヌさんに耐えれる威力なんですか?

ノベール:クラスがディフェンダーで慣れていれば可能ですわよ? ただ意外では御座いますの。

俊:なるほど・・・バグではなさそうですね。

馬車内は今だ警備隊にしがみ付くアンティコーヌがモフモフしていた。

「それで・・・アンティコーヌさんはどうしてここへ?檻にも入ってましたが。」

「モフモフゥ! 私でありますか! 王都に輸送されてたでありますよ!」

「あ、自覚はあったんですね・・・。 今の現状って脱走扱いでは?」

「ふふふ、獣人主義な私にとって問題ではないのでありますよ! クンカクンカ」

奥で横になってたカニャンが目を覚ました。

「にぎゃぁぁぁぁ!? にゃんでこいつがまだいるにゃぁぁぁ!?」

「カニャンちゃん 起きたでありますかぁぁぁ!」

アンティコーヌがカニャンに飛びつこうとすると警備隊が、アンティコーヌにしがみついた。

「犠牲は・・・俺だけで十分だ・・・。」

警備隊の行動に目を輝かせたカニャンだった。

しかし、俊は気づいていた。

警備隊のしっぽが左右に大きく揺れていた事に・・・・・。







-----現在のバグ一覧-----



-----バグ?不明-----

-----調査-----
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