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最終章
第90話 事件を繋ぐ糸
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宮坂竜一からLINEで誘いが来たのはその一週間後のことだった。
今週日曜日、ご飯でもどうかという内容だった。
真桜のこともあり気が滅入っていた舞にとって、嬉しいお誘いだった。
久しぶりに気分転換もしたい。
何より、久しぶりに竜一と会えるということが舞の心を浮かれさせた。
待ち合わせのファミレスに着いたのは、約束の十二時半より十五分前だった。
少し早すぎたか…と思ったが、すでに店内には竜一の姿があった。
早いね、と言いながら小走りで近づくと、竜一は「つい緊張しちゃって」と照れくさそうに後頭部を掻きながら答えた。
楽しみにしてくれていたんだと思うと嬉しくて、顔が火照っていく。
にやついた顔を見られたくなくて顔を伏せながら、舞は竜一の向かいの席に座った。
店員にハンバーグランチを二人分頼み、店員が去ったのを見送った後、舞は改めて目の前にいる竜一を見つめた。
インナーのシャツの上にグリーンのニットカーディガンを羽織っている。
爽やかな竜一の雰囲気に、とてもよく似合っていた。
「ひ、久しぶりだね。」
「そうだね。元気してた?」
久しぶりに会ったというのに我ながらくだらない質問だったなと思い恥ずかしくなったが、竜一は笑顔で「元気だったよ」と答えた。
ただ、前に会った時よりも心なしか頬がやつれているように見えた。
顔色もなんとなく悪い。
そのことを指摘したが、竜一は何もないよと笑って言ったので、それ以上は追及することはなかった。
「それより舞はどうなのよ?舞こそなんだか痩せたみたいだけど。」
「……そうかな。」
「何かあったのか?」
少し逡巡した後、舞は拓海のことも含め最近あった出来事を竜一に話した。
話している間、竜一は口を挟まず黙って聞いていてくれた。
ところどころ、相槌を打ちながら。
しばらく眉を寄せて険しい表情をした後、ゆっくりと竜一が口を開いた。
「じゃあ、高校であったあの出来事も、誰かに仕組まれたことだっていうのか?自殺ではなかった?」
竜一も陽菜子のことを思い出したのだろう、その唇は怒りで細かく震えていた。
「警察じゃないからそこまでは分からない。これまでの出来事が同一人物によって起こされたという確証もない。だけど、その不可解な出来事すべてにある人物が関わってる。私の友達は、その人が犯人じゃないかって疑っているの。」
犯人は、今回拓海の件で動き始めた舞たちを牽制してきた。
おそらく犯人は今回も自殺だと思わせたかったはずだ。
それを舞達が(性格には千早がだが)、あれは自殺ではないと言い出し犯人捜しを始めたために、警告してきたのだ。
それが拓海の件だけを指しているのか、それともこれまでの出来事も関連しているのかは分からない。
でも拓海が殺された手口といい、自殺に見せかけて殺されたと考えれば最初の新谷友樹の件も、陽菜子の件も、一つの線で繋がるような気がした。
「それで?舞の友達がいう、すべてに関わっているその人物っていうのは、誰のことなんだ?」
竜一は組んだ両手をテーブルに乗せて、体を乗り出してくる。
「……河野瑞穂って人、竜一くんも知ってるよね?その人が犯人じゃないかって。」
そう答えた瞬間、竜一の眉がぴくりと小さく反応した。
「あ、ああ……河野ね。覚えてるよ。」
どうしてだろう、途端に返事が上の空になったような感じがした。
その瞳にどこか暗澹(あんたん)たるものを帯びているのは、気のせいだろうか。
「竜一くん?どうかしたの?」
舞が話しかけるが、竜一はどこか虚ろな表情で窓の外を眺めている。その瞳は焦点が合っていない。
明らかな拒絶反応だった。
もうこの話はやめてくれ、と暗に訴えているような感じがした。
嫌な空気が二人を包んだところで、店員がハンバーグ定食を持ってきて、そこで会話が遮られた。
今週日曜日、ご飯でもどうかという内容だった。
真桜のこともあり気が滅入っていた舞にとって、嬉しいお誘いだった。
久しぶりに気分転換もしたい。
何より、久しぶりに竜一と会えるということが舞の心を浮かれさせた。
待ち合わせのファミレスに着いたのは、約束の十二時半より十五分前だった。
少し早すぎたか…と思ったが、すでに店内には竜一の姿があった。
早いね、と言いながら小走りで近づくと、竜一は「つい緊張しちゃって」と照れくさそうに後頭部を掻きながら答えた。
楽しみにしてくれていたんだと思うと嬉しくて、顔が火照っていく。
にやついた顔を見られたくなくて顔を伏せながら、舞は竜一の向かいの席に座った。
店員にハンバーグランチを二人分頼み、店員が去ったのを見送った後、舞は改めて目の前にいる竜一を見つめた。
インナーのシャツの上にグリーンのニットカーディガンを羽織っている。
爽やかな竜一の雰囲気に、とてもよく似合っていた。
「ひ、久しぶりだね。」
「そうだね。元気してた?」
久しぶりに会ったというのに我ながらくだらない質問だったなと思い恥ずかしくなったが、竜一は笑顔で「元気だったよ」と答えた。
ただ、前に会った時よりも心なしか頬がやつれているように見えた。
顔色もなんとなく悪い。
そのことを指摘したが、竜一は何もないよと笑って言ったので、それ以上は追及することはなかった。
「それより舞はどうなのよ?舞こそなんだか痩せたみたいだけど。」
「……そうかな。」
「何かあったのか?」
少し逡巡した後、舞は拓海のことも含め最近あった出来事を竜一に話した。
話している間、竜一は口を挟まず黙って聞いていてくれた。
ところどころ、相槌を打ちながら。
しばらく眉を寄せて険しい表情をした後、ゆっくりと竜一が口を開いた。
「じゃあ、高校であったあの出来事も、誰かに仕組まれたことだっていうのか?自殺ではなかった?」
竜一も陽菜子のことを思い出したのだろう、その唇は怒りで細かく震えていた。
「警察じゃないからそこまでは分からない。これまでの出来事が同一人物によって起こされたという確証もない。だけど、その不可解な出来事すべてにある人物が関わってる。私の友達は、その人が犯人じゃないかって疑っているの。」
犯人は、今回拓海の件で動き始めた舞たちを牽制してきた。
おそらく犯人は今回も自殺だと思わせたかったはずだ。
それを舞達が(性格には千早がだが)、あれは自殺ではないと言い出し犯人捜しを始めたために、警告してきたのだ。
それが拓海の件だけを指しているのか、それともこれまでの出来事も関連しているのかは分からない。
でも拓海が殺された手口といい、自殺に見せかけて殺されたと考えれば最初の新谷友樹の件も、陽菜子の件も、一つの線で繋がるような気がした。
「それで?舞の友達がいう、すべてに関わっているその人物っていうのは、誰のことなんだ?」
竜一は組んだ両手をテーブルに乗せて、体を乗り出してくる。
「……河野瑞穂って人、竜一くんも知ってるよね?その人が犯人じゃないかって。」
そう答えた瞬間、竜一の眉がぴくりと小さく反応した。
「あ、ああ……河野ね。覚えてるよ。」
どうしてだろう、途端に返事が上の空になったような感じがした。
その瞳にどこか暗澹(あんたん)たるものを帯びているのは、気のせいだろうか。
「竜一くん?どうかしたの?」
舞が話しかけるが、竜一はどこか虚ろな表情で窓の外を眺めている。その瞳は焦点が合っていない。
明らかな拒絶反応だった。
もうこの話はやめてくれ、と暗に訴えているような感じがした。
嫌な空気が二人を包んだところで、店員がハンバーグ定食を持ってきて、そこで会話が遮られた。
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