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最終章・夢
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「はるかちゃーん、先行っちゃうよ」
「ちょっと待って」
暖かい風の吹く春。桜並木の道を高校生が歩んでく。
靴ひもを結び直した私は、手を振る油井さくら(ゆい さくら)のもとへ駆け寄った。
私は一年遅れで高校に復学した。たくさんとは言えないけれど、さくらのような友達も出来た。
「はるかちゃん、古文の宿題してきた?」
さくらに追い付いて、私たちは肩を並べて歩きながら一生懸命おしゃべりする。
「うんやってきたよ」
「問五わかった?私、わからなくて」
「ああ、わかりにくいよね。あそこはね」
ピロン、ピロン
私のスマホがふたつ音を立てる。心臓が急いて、内側から私をトントンと叩いた。
「ごめんねちょっと」
と、立ち止まって画面を見る。
『今日も晴天。空は繋がってる。』
『頑張ろう、一緒に』
私が天を仰ぎ見ると、なるほど。空は高く、透くように青く、そして雲はひとつもない。
『空、私の心みたい!』
メッセージの送り主にそんな一言を返し、私はまたさくらと一緒に、高校への道を歩んでいく。
六芒星は、一生消えない私の傷。
だけど、私と海斗をもう一度繋げてくれた大切な宝。
もう……大丈夫。
夢が出来た。私は将来スクールカウンセラーになるつもりだ。了。
「はるかちゃーん、先行っちゃうよ」
「ちょっと待って」
暖かい風の吹く春。桜並木の道を高校生が歩んでく。
靴ひもを結び直した私は、手を振る油井さくら(ゆい さくら)のもとへ駆け寄った。
私は一年遅れで高校に復学した。たくさんとは言えないけれど、さくらのような友達も出来た。
「はるかちゃん、古文の宿題してきた?」
さくらに追い付いて、私たちは肩を並べて歩きながら一生懸命おしゃべりする。
「うんやってきたよ」
「問五わかった?私、わからなくて」
「ああ、わかりにくいよね。あそこはね」
ピロン、ピロン
私のスマホがふたつ音を立てる。心臓が急いて、内側から私をトントンと叩いた。
「ごめんねちょっと」
と、立ち止まって画面を見る。
『今日も晴天。空は繋がってる。』
『頑張ろう、一緒に』
私が天を仰ぎ見ると、なるほど。空は高く、透くように青く、そして雲はひとつもない。
『空、私の心みたい!』
メッセージの送り主にそんな一言を返し、私はまたさくらと一緒に、高校への道を歩んでいく。
六芒星は、一生消えない私の傷。
だけど、私と海斗をもう一度繋げてくれた大切な宝。
もう……大丈夫。
夢が出来た。私は将来スクールカウンセラーになるつもりだ。了。
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