六芒星の奇跡

あおい たまき

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最終章・夢

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  ***
「はるかちゃーん、先行っちゃうよ」
「ちょっと待って」
 暖かい風の吹く春。桜並木の道を高校生が歩んでく。

 靴ひもを結び直した私は、手を振る油井さくら(ゆい さくら)のもとへ駆け寄った。


 私は一年遅れで高校に復学した。たくさんとは言えないけれど、さくらのような友達も出来た。

「はるかちゃん、古文の宿題してきた?」
 さくらに追い付いて、私たちは肩を並べて歩きながら一生懸命おしゃべりする。

「うんやってきたよ」
「問五わかった?私、わからなくて」
「ああ、わかりにくいよね。あそこはね」

 ピロン、ピロン
 私のスマホがふたつ音を立てる。心臓が急いて、内側から私をトントンと叩いた。

「ごめんねちょっと」
と、立ち止まって画面を見る。


『今日も晴天。空は繋がってる。』
『頑張ろう、一緒に』
 私が天を仰ぎ見ると、なるほど。空は高く、透くように青く、そして雲はひとつもない。

『空、私の心みたい!』
 メッセージの送り主にそんな一言を返し、私はまたさくらと一緒に、高校への道を歩んでいく。

 六芒星は、一生消えない私の傷。
だけど、私と海斗をもう一度繋げてくれた大切な宝。


 もう……大丈夫。


 夢が出来た。私は将来スクールカウンセラーになるつもりだ。了。
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