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三章・テリトリー侵入者
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朝の砂浜は、いわば私のテリトリーだ 。プライベートゾーンを侵されたら誰だって警戒するだろう。
今、30歩ほど先に……背丈の大きな男が立っている。華奢な体格だが、タンクトップからのびる腕はよく、締まっていた。
男は、ただ海原を見つめていた。よくよく見ると、端正な顔だちをしている。私はわずかに、見とれてしまっていたのかもしれない。
海猫の声で、はたと我にかえり、話しかけられたら厄介だと思い立つ。身をひるがえして、家へ戻ろうとした時だった。
「おはよう」
波の音とともに、男の低い声が私の耳に届く。
おずおずと振り返れば、海を見ていたはずの男の目は、いつの間にか私をとらえていた。
声が出ない。私は小さな会釈だけを返す。すると男はちょこんと頭をさげて笑った。
「ゴミ拾い朝から
御苦労様ですね」
朝のゴミ拾いは、労われるものなのだ。この時、はじめて……私は、知った。
ふいに嬉しさが込み上げた。全身の血が沸騰するような錯覚を覚えて、男が何か言いかけたのも構わずに、私は家へと逃げ帰ってしまった。
今、30歩ほど先に……背丈の大きな男が立っている。華奢な体格だが、タンクトップからのびる腕はよく、締まっていた。
男は、ただ海原を見つめていた。よくよく見ると、端正な顔だちをしている。私はわずかに、見とれてしまっていたのかもしれない。
海猫の声で、はたと我にかえり、話しかけられたら厄介だと思い立つ。身をひるがえして、家へ戻ろうとした時だった。
「おはよう」
波の音とともに、男の低い声が私の耳に届く。
おずおずと振り返れば、海を見ていたはずの男の目は、いつの間にか私をとらえていた。
声が出ない。私は小さな会釈だけを返す。すると男はちょこんと頭をさげて笑った。
「ゴミ拾い朝から
御苦労様ですね」
朝のゴミ拾いは、労われるものなのだ。この時、はじめて……私は、知った。
ふいに嬉しさが込み上げた。全身の血が沸騰するような錯覚を覚えて、男が何か言いかけたのも構わずに、私は家へと逃げ帰ってしまった。
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