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一章・ごみ拾い
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私の手首には古い傷のあと。
無数に残る傷跡は、私が、もがき苦しんだあかし。
まるで傷ついた心の模様。
その中に、六芒星の傷がある。
六辺……ひとつひとつ
辛いことがあったとき、描くように作り上げた。
あと六回でこんな辛いことが終わりになったら…。
そんな想いを込めてカッターをひいたけれど
小さな世界で、日常的に繰り返されたそれは、終わりを知らなかった。その頃の苦しみは、今も突然起き上がり、私を鬱々とした世界へといざなう。
完全なる立ち直りはいまだ見えない。
なんとか入った高校も今は休学中。いわゆる不登校というやつだ。アルバイトもずいぶん前に、クビになってしまった。
それでも誰か……ううん。
何かの役に立ちたくて、私は掃除をする。
せっせ、せっせと
生まれ育った町の砂浜の掃除を。唯一の友だちの助言を受けてはじめたそれは、今や私の日課になっていた。
裸足で砂を踏むと、夏だというのに、朝の早い時間だからだろう。ひんやりとわずかに冷たい。
ざらついた冷たい砂の中に、足が埋まっていくこの感覚が好きだ。だから私の砂浜掃除は、この時間と決まっている。
1日の始まりに、へんぴな浜で何かしようなんて奇特な人もいない。
人と関わりたくない私にとっては好都合だった。
無数に残る傷跡は、私が、もがき苦しんだあかし。
まるで傷ついた心の模様。
その中に、六芒星の傷がある。
六辺……ひとつひとつ
辛いことがあったとき、描くように作り上げた。
あと六回でこんな辛いことが終わりになったら…。
そんな想いを込めてカッターをひいたけれど
小さな世界で、日常的に繰り返されたそれは、終わりを知らなかった。その頃の苦しみは、今も突然起き上がり、私を鬱々とした世界へといざなう。
完全なる立ち直りはいまだ見えない。
なんとか入った高校も今は休学中。いわゆる不登校というやつだ。アルバイトもずいぶん前に、クビになってしまった。
それでも誰か……ううん。
何かの役に立ちたくて、私は掃除をする。
せっせ、せっせと
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裸足で砂を踏むと、夏だというのに、朝の早い時間だからだろう。ひんやりとわずかに冷たい。
ざらついた冷たい砂の中に、足が埋まっていくこの感覚が好きだ。だから私の砂浜掃除は、この時間と決まっている。
1日の始まりに、へんぴな浜で何かしようなんて奇特な人もいない。
人と関わりたくない私にとっては好都合だった。
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