百花繚乱 〜国の姫から極秘任務を受けた俺のスキルの行くところ〜

幻月日

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第219話 仲間の見分け方

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森の中を進むにつれて明らかに気温が下がって来ている。
場所も場所、長居も禁物、まずはセシルたちと合流を。

「メア! 速度を上げるぞ!」

「ええ!」

俺たちの速技について来ていたのは猫の魔獣、キャスパリーグが3体。
虎ほどの巨体を持ち、俺たちを執拗に追って来ていた。

メアが置き土産に地面を凍らせる。
キャスパリーグは足を滑らせて大木に激突。


ややあって、巨木が何本か倒されている場所に来た。

「まだ新しいな」

戦いの跡が其処にはあった。
巨木には斬られた跡や地面には爆発したような跡も見られる。

「セシルたちかな?」

「どうだろうな」

巨木が斬られた跡は剣で斬られたようにも見える。
だが、俺とメア以外に剣を持っているセシルがこれをやったのかは考えにくい。
可能性はなくはないが、セシルの主な戦闘は打撃技。
カサルの地で貰ったという紅赤模様の長剣は、必要な時にだけ使うように一応セシルに言っている。
ただ、その必要な時が来たからこういう跡になったとも考えられるが。

また、森の中を進む。

「止まれメア」

地面を滑るように止まる。

「今度は何!?」

「遠くで戦闘音が聞こえる」

そう言うとメアが自身の両耳を手で外側から囲う。

「ほんとだわ。ここからだとそう遠くない。ーーまた」

魔物が現れた。


ギガース
LV.114
ATK.168
DEF.136


「シュヴヴヴヴ」


巨人型の魔物。肩にでかい目が1つ付いている鎧を纏っており、勇者ランク8以下の斬撃ではまるで歯が立たないとされる魔物。
勇者ランク9でも厳しいところだが、その辺りは平均して技能で戦えるといったところ。

「ヴヴァアアアアアアアア!!!!!」

ギガースの強力なパンチが炸裂。
避けた地面が減り込んで凹む。

「俺が片付ける」

斬撃をギガ-スに向けて放つ。
斬撃が当たり、ギガースが後退り。
その隙にギガースの懐に瞬時に移動して至近距離で破砕の斬撃。

「硬い鎧だな」

全身鎧のギガースは元々の防御力に加えて鎧の強度の分防御力も上がる。

鎧の肩についている1つ目玉がぎょろぎょろ動く。鎧の色が赤くなった。
破砕の斬撃で鎧に若干ヒビが入って怒ったか?

再びギガースのパンチが飛んで来る。
それを交わすのは造作もない。

魔物が着るには勿体ないほどに丈夫な鎧だ。
赤くなった鎧は兵団が使う大砲すら凌ぎそうな硬さ。
最もこんな鎧付けたくはないが。

「シン! 危ない!」

メアが叫ぶ。
どれほどの鎧の硬さだろうかと感心していたらギガースが頭上からパンチをして来た。
後1秒待っていたら俺に直撃してただろう。

「ヴォラ!?」

ギガ-スが辺りを見渡す。

「こっちだ」

俺の声に気づいたギガースが反応的に攻撃。
ただそれは俺にはひとかすりもせず。

直後、ギガースは突っ立ったまま攻斬波の的になった。
回り抜けを発動し、至近距離での攻斬波を6撃。僅か3秒足らずの攻撃。
ギガース自慢の鎧は砕かれ、攻斬波は本体にも当たる。
巨体が地面に倒れ、ギガースの目の生が消えた。

「す、凄いわね、相変わらず」

「感心してる場合じゃない、行くぞ」

昔の俺では倒せなかった魔物も、今では問題なく倒せる。
勇者という職業は倒せる相手がいて初めて己の強さを自覚し、次への成長の糧とする。
俺は常にそうやって今まで勇者をして来た。

その後も止んでいた戦闘音が聞こえた方角を目指して森の中を進む。





「無事だったか!」

森を進んで行った先、崖を越えると仲間がいた。

「シンさん! メアさん! ーーどうして、離れるんですか?」

ラピスが駆け寄ってくるが、少し間を空ける。

「少し色々あってな」

ラピス本人だとは思うが、この前のことがある。
すると、アルンも来てラピスに寄って行く。

「どうやらラピス本人のようね」

「そのようだな」

精霊獣は魔物に対して敏感に反応するらしく、ラピスとアルンの様子を見る限りあの魔人が化けているわけではなさそうだ。

ラピスに事情を説明した。

「そうだったんですか。あの魔人がそんなことを……」

ラピスに事情を説明すると、彼女からも離れ離れになった後のことを聞いた。

俺たちが離れ離れになった後、ラピスとテールとはアルンの力を借り、敵から姿を隠しつつ移動していた。
そんな時、セシルと思われる姿を別次元から確認し出て来て直ぐに化ける魔人に遭遇。
そのせいでセシルの行方を見失ってしまい、魔人の相手をすることに。
だが、魔人はテールの弓を翼で打ち、アルンの攻撃も受け流す防御力。

これは敵わないと判断してアルンの力で逃れたという。

「そうだ。だから、もしもの時の為にーー」

魔人がメアの姉やラピスに化けることが出来た理由。
メアの話によると、姉は魔人に触れられ、ラピスも同様に近づかれて触れられたという。

2人に化ける魔人が現れた時の対処法を話した。

「それならあの魔人には無理ね」

「だけど、もう一つのは……」

ラピスが言う。
化ける魔人が現れた時の対処法を二つ話した。
が、その内一つは俺たちが倒されていないか、武器を盗られていないことが前提。持つ武器を確かめて本人かどうか見極める方法。

「ラピス、確かにもう一つのは確実性がない。だからその上で話す」

持つ武器で確かめる方法には、その上で本人の記憶を確認する。
化ける魔人が記憶まで持ってしまうならお手上げだが、ラピスの話や俺とメアが遭遇した時を思い返せば可能な方法だと推測した。

「それなら大丈夫そうです」

ラピスが納得した。

「……ところラピス、さっきからテールと一緒に戦ってるあいつは誰なんだ?」

俺とメアがラピスたちと合流した時、テールは誰かと複数の魔物と戦っていた。
一緒に戦っているところを見ると敵ではないように見えるが……

「あの人は私たちが魔物と戦っていたら加戦して来た人。誰かは知らない」

長剣から繰り出される斬撃が鞭のように魔物を打っている。

魔物の数は15、16ほど。当たり前のようにレベル100越えばかり。

「メア、俺たちも加戦するぞ」

「そんな無理して戦わなくても……わかった、行けばいいんでしょ! 行けば!」

俺が何も言わずジッと見ていたらメアはそう言った。

「援護します!」

「頼む」

ラピスが上昇魔法を俺とメアにかける。
あいつが誰なのか、俺たちと同じように魔王の城へ?
そのことを確かめる為にも戦いの場へ!

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