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第142話 試す価値
しおりを挟む隣の部屋の前について扉を開けようとした時、翔が短パンがずり落ちないように押さえながら歩いているのにお兄さんが気づいた。
お兄さんがしゃがんで、翔のズボンのゴムを引っ張って中を見る。
パンツを履いていないのですぐにペニスが見えてしまう。お兄さんはそのズボンの中に手を突っ込み、内側に垂れ下がった紐を取ると、ぎゅっと引っ張って蝶々結びをした。
翔はなされるまま、ちょっとくすぐったいのに耐えながら立っていた。
「これでよし」
そう言ってからお兄さんが部屋の扉を開ける。
昨日の夜、この部屋の隣、つまり、いつも使ってる部屋から一個あけて隣の部屋に入った時は、キャンパスや物が沢山あって、夜だったから暗い雰囲気だった。
今度は時間帯が昼ということもあって、打って変わって明るい雰囲気だ。
部屋の中を見ると、入ってすぐのところには洗濯機、部屋の奥の方には干された洗濯物が明るい日に照らされてゆらゆらと揺れている。
その下には、こちらの部屋にもまた扇風機が置かれていた。
「入っていーよ」
そう言われて翔はさっきの部屋から履いてきたサンダルを脱いで、部屋に上がった。
奥に進むと、部屋の右側には廊下からは見えなかった収納ボックスが端正に積まれている。
お兄さんはその収納ボックスのひとつからガサゴソと、シーツを一枚とりだした。
「さっき汚しちゃったからな~」
それを聞いて翔は自分が吐いて汚したシーツのことを考えて、少し罪悪感を感じた。
しかし一方で、お兄さんがあんなことをするから悪い、とも思った。
翔が洗濯物の干されている下に行くと、扇風機から少しだけ生暖かい風が吹いてきて、翔の前髪をさらさらと浮かせる。
「ほら、ここに昨日の翔の服干してあるけど、まだ乾いてないから」
翔が上を見ると、他の衣服の一回り小さいサイズの自分の服がそこに干されていた。
「昨日翔が寝てる間に洗濯しておいたんだ。
…翔には今俺の服着せてるけど、ちゃんとサイズが合うやつのほうがよかったりする?」
翔はなんでもいいと思ったが、ふとお兄さんが今まで翔に着せてきた服たちを思い浮かべると、ふわふわのかわいい服だとか、メイド服だとか、気に食わないものばかりだったと思い出す。
今の状態が一番マシだと分かった。
「いい、や!今のがいい!!」
「俺の服がいいんだ?」
「いや、そういう意味じゃーないけど…」
お兄さんは、ふーん、という表情で翔を見る。
「やっぱりつまんねーから、違う服着て」
またお兄さんはゴソゴソと収納ケースを漁り始めた。
「これは俺が作ったのじゃないけど、これ着てよ」
そう言って出てきたのは見覚えのある服だった。
「こ、これでいいの?」
「いいね、似合ってる。やっぱり本物の小学生はこれが一番似合うな…」
紺色のラインが入った白い半袖と紺色の半ズボン。いつも体育の授業で着ているのとほぼ同じ体操着だ。
お兄さんがしゃがみながら体操服を着た翔を色んな角度から観察し始めた。
翔はこれで満足するお兄さんの気持ちがよく分からなかった。小学校でも、女子が男子にスカートを履かせて面白がったりすることはあるから、女装させて面白がられるのはまあ、一応は理解出来る。
しかし、なんにも珍しくない体操着を着て何が楽しいんだか、それはよく分からなかった。
急にお兄さんが上の体操着をめくって翔のお腹を見た。そしてお腹と背中を撫でる。
翔はくすぐったかった。
「まだ他にもあるんだ」
「えっ」
この後、翔は5着、6着ほど、お兄さんの趣味の悪い服を着せられては脱がせられ、を繰り返した……。
お兄さんがしゃがんで、翔のズボンのゴムを引っ張って中を見る。
パンツを履いていないのですぐにペニスが見えてしまう。お兄さんはそのズボンの中に手を突っ込み、内側に垂れ下がった紐を取ると、ぎゅっと引っ張って蝶々結びをした。
翔はなされるまま、ちょっとくすぐったいのに耐えながら立っていた。
「これでよし」
そう言ってからお兄さんが部屋の扉を開ける。
昨日の夜、この部屋の隣、つまり、いつも使ってる部屋から一個あけて隣の部屋に入った時は、キャンパスや物が沢山あって、夜だったから暗い雰囲気だった。
今度は時間帯が昼ということもあって、打って変わって明るい雰囲気だ。
部屋の中を見ると、入ってすぐのところには洗濯機、部屋の奥の方には干された洗濯物が明るい日に照らされてゆらゆらと揺れている。
その下には、こちらの部屋にもまた扇風機が置かれていた。
「入っていーよ」
そう言われて翔はさっきの部屋から履いてきたサンダルを脱いで、部屋に上がった。
奥に進むと、部屋の右側には廊下からは見えなかった収納ボックスが端正に積まれている。
お兄さんはその収納ボックスのひとつからガサゴソと、シーツを一枚とりだした。
「さっき汚しちゃったからな~」
それを聞いて翔は自分が吐いて汚したシーツのことを考えて、少し罪悪感を感じた。
しかし一方で、お兄さんがあんなことをするから悪い、とも思った。
翔が洗濯物の干されている下に行くと、扇風機から少しだけ生暖かい風が吹いてきて、翔の前髪をさらさらと浮かせる。
「ほら、ここに昨日の翔の服干してあるけど、まだ乾いてないから」
翔が上を見ると、他の衣服の一回り小さいサイズの自分の服がそこに干されていた。
「昨日翔が寝てる間に洗濯しておいたんだ。
…翔には今俺の服着せてるけど、ちゃんとサイズが合うやつのほうがよかったりする?」
翔はなんでもいいと思ったが、ふとお兄さんが今まで翔に着せてきた服たちを思い浮かべると、ふわふわのかわいい服だとか、メイド服だとか、気に食わないものばかりだったと思い出す。
今の状態が一番マシだと分かった。
「いい、や!今のがいい!!」
「俺の服がいいんだ?」
「いや、そういう意味じゃーないけど…」
お兄さんは、ふーん、という表情で翔を見る。
「やっぱりつまんねーから、違う服着て」
またお兄さんはゴソゴソと収納ケースを漁り始めた。
「これは俺が作ったのじゃないけど、これ着てよ」
そう言って出てきたのは見覚えのある服だった。
「こ、これでいいの?」
「いいね、似合ってる。やっぱり本物の小学生はこれが一番似合うな…」
紺色のラインが入った白い半袖と紺色の半ズボン。いつも体育の授業で着ているのとほぼ同じ体操着だ。
お兄さんがしゃがみながら体操服を着た翔を色んな角度から観察し始めた。
翔はこれで満足するお兄さんの気持ちがよく分からなかった。小学校でも、女子が男子にスカートを履かせて面白がったりすることはあるから、女装させて面白がられるのはまあ、一応は理解出来る。
しかし、なんにも珍しくない体操着を着て何が楽しいんだか、それはよく分からなかった。
急にお兄さんが上の体操着をめくって翔のお腹を見た。そしてお腹と背中を撫でる。
翔はくすぐったかった。
「まだ他にもあるんだ」
「えっ」
この後、翔は5着、6着ほど、お兄さんの趣味の悪い服を着せられては脱がせられ、を繰り返した……。
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