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怒りの理由
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「学園に戻ります。急いでちょうだい。」
エステルダは、馬車に乗り込むなり、そう支持を出した。急いでいた理由はこれなのだ。この時間ならば、もしかしたら学園に残っているヴィスタかアリッサに会えるかもしれない。いや、会ってどうこうできる程、親睦は深まっていない。だが、見たいのだ。桃色頭と緑の瞳の姉弟を、ただ、この目に映したい。
馬車に揺られるエステルダは、高ぶった気持ちを抑えようと、外の景色を見た。しかし、頭に浮かぶのは、どうしても桃色頭の姉弟のことばかりだ。気持ちが落ち着くどころが、逆にどんどん高揚していくのがわかる。しかも、あえて頭の隅に追いやって考えないようにしていたアリッサの言葉をつい思い出してしまった。
「数年後には没落する」
雷に会話を中断される前、アリッサは確かにそう言った。そして、アリッサはそれを全て受け入れているように悲しく笑っていた。下心丸出しの貴族令息を利用してまで、貪欲に勉学に励んでいたのも、平民に成り下がった後、自立して生きて行くためのものだったのだ。
王家に嫁ぐことしか考えていなかったエステルダにとって、「身分差」という言葉の重みを人生で初めて身近に感じるものであった。
エステルダは、学園に着くなり息を切らせてアリッサとヴィスタを探し回った。しかし、残念なことに、どこを探しても二人の姿は見つからなかった。代わりに見つけたのは、腕を組んで、どっかりと椅子に腰かけたレナートの姿だった。眩しい金髪を短く整えたレナートは、その高貴な金髪に似合わぬ皺を眉間に深く刻み、ギラギラとした怒りをその青い瞳に宿していた。近づくだけでビリビリと周囲の空気が緊張しているのが分かるほど、レナートは怒りの感情を強く放っていた。
(レナートが、あんなに怒っているなんて、一体何があったのかしら・・・。)
基本的に温厚なレナートは、余程のことがない限り怒りの感情を表に出すことはない。そのレナートが、誰が見ても分かるほど怒っているのだから、絶対に何か嫌なことが起こったのだろう。ゴクリと喉を鳴らしたエステルダは、野生の王国にひとり立ち向かう気持ちで、レナートに話しかけた。
「どうしましたか?レナート。 随分と機嫌を悪くしているようですわね。」
すると、レナートは視線だけをエステルダの方へ向け、「なにも。」と、ぶっきら棒に言った。しかし、レナートがその言葉に、放っておいてくれという意味を込めていたとしても、残念ながら、そんな繊細な気持ちはエステルダには通じない。
「レナート、なにも、ではありません。明らかにいつもの貴方とは違います。何かあったのですね。これでも貴方の姉です。貴方の気持ちなどお見通しですわ。さあ、わたくしに相談なさい。」
「・・・・・・。」
機嫌の悪いレナートは、面倒くさいという顔を隠しもしないで無言でエステルダを見ていた。しかし、「さあ!さあ!!」と、ぐいぐい迫ってくるエステルダに、これ以上無言を貫いたところで解放されることがないことも、自分の長年の経験から分かっていた。いつだって、弟のレナートの気持ちなど、強すぎる姉によって丸裸にされてしまうのだ。だが、弟の隠し事を許さないエステルダだったが、同時に自分の気持ちも隠すことはなかった。いや、本人は隠しているつもりなのかもしれないが、レナートには筒抜けだったのだ。貴族社会での高貴な一族に生まれ、たくさんの利害関係に巻き込まれながらも姉弟の仲を良好に保てているのは、こうして姉弟間だけでも信頼できる関係性を築いて来たからかもしれない。
「・・・アリッサ様と視線が合いません。」
「え!?」
「あの雷の日以来、彼女と目が合わないのです。前までは、私に気付くなり頬を赤くして確実に意識していたはずなのに。今は、まるで私など見えていないかのように、顔色一つ変わりません。」
「えーと・・・。あー・・・、そうでしたか。」
ゴリラのような大男の、あまりにも純情な悩みを受けたエステルダは、まず何処から突っ込めばよいのか悩むのだった。
「レナート、あれから・・・アリッサ様と一度でも会話を?」
「していません。」
(まず、アリッサ嬢から、勝手に「アリッサ様」と、呼び方を変えたところから突っ込むべきでしょうか・・・。)
「・・・それだけの理由であんなに怒っていたのですか?」
「・・・・・・。」
「レナート!? はっきり!!」
「さっき・・・他の男子生徒に剣を教わっていました・・・。」
「は? 誰が?」
「アリッサ様・・・。」
「え?なぜですの?」
「知りませんっ!!ですが、二人はとても親密でした。アリッサ様は他の男にあんな笑顔を見せる人ではありません! なのに―――」
「どこのどなたです!!」
エステルダの青い瞳がキッと吊り上がった。
「スクナット男爵家のハーロン殿です。」
「ああ、あの黒髪の大きな男性ですね。わたくしの一つ上の方ですわね。」
「姉上、ご存知なのですか?」
「ええ、黒髪も黒い瞳も珍しいですし、なにより大きいので目立ちますしね・・・。それに、アリッサ様とご一緒のところを何度か見かけていましたから。」
「何度か?そんなにいつも・・・。アリッサ様は私のことが好きなのに・・・。」
そう呟いたレナートの目は据わり、再度怒りのオーラがビリビリと空気を震わせている。
(私のことが好きって・・・。レナート・・・。)
エステルダの脳内では、怒り狂った金色ゴリラと黒ゴリラの戦いが繰り広げられていた。そして、その後ろに佇む桃色ゴリラ・・・。
「くふふ・・・。」
「姉上?・・・ところで姉上は、こんな時間に何故ここにいるのですか?今日はアランド殿下とのお茶会の日ですよね?」
「え? ああ・・・。体調が良くないので途中でお暇致しましたの。」
「え?体調って、元気そうに見えますが・・・。それに、調子が悪いなら、なぜまた学園に戻ってきたのです?」
「え?・・・まあ・・・ね―――」
「ヴィスタ殿ならもう帰りましたよ。」
「え?そうなのですか?」
「はい。それこそ、そのハーロン殿の妹と腕を組んで―――」
「んなっ!?なんですって!?腕を組んでって・・・、レナート!!どういうことです!?詳しく話すのです!!」
そう言ったエステルダは、レナートの背中を両手で押すと、ヴィスタの居ない学園になど、もう用はないとばかりに「帰りますわよ!!」と、乱暴にレナートを連れて帰路につくのだった。
エステルダは、馬車に乗り込むなり、そう支持を出した。急いでいた理由はこれなのだ。この時間ならば、もしかしたら学園に残っているヴィスタかアリッサに会えるかもしれない。いや、会ってどうこうできる程、親睦は深まっていない。だが、見たいのだ。桃色頭と緑の瞳の姉弟を、ただ、この目に映したい。
馬車に揺られるエステルダは、高ぶった気持ちを抑えようと、外の景色を見た。しかし、頭に浮かぶのは、どうしても桃色頭の姉弟のことばかりだ。気持ちが落ち着くどころが、逆にどんどん高揚していくのがわかる。しかも、あえて頭の隅に追いやって考えないようにしていたアリッサの言葉をつい思い出してしまった。
「数年後には没落する」
雷に会話を中断される前、アリッサは確かにそう言った。そして、アリッサはそれを全て受け入れているように悲しく笑っていた。下心丸出しの貴族令息を利用してまで、貪欲に勉学に励んでいたのも、平民に成り下がった後、自立して生きて行くためのものだったのだ。
王家に嫁ぐことしか考えていなかったエステルダにとって、「身分差」という言葉の重みを人生で初めて身近に感じるものであった。
エステルダは、学園に着くなり息を切らせてアリッサとヴィスタを探し回った。しかし、残念なことに、どこを探しても二人の姿は見つからなかった。代わりに見つけたのは、腕を組んで、どっかりと椅子に腰かけたレナートの姿だった。眩しい金髪を短く整えたレナートは、その高貴な金髪に似合わぬ皺を眉間に深く刻み、ギラギラとした怒りをその青い瞳に宿していた。近づくだけでビリビリと周囲の空気が緊張しているのが分かるほど、レナートは怒りの感情を強く放っていた。
(レナートが、あんなに怒っているなんて、一体何があったのかしら・・・。)
基本的に温厚なレナートは、余程のことがない限り怒りの感情を表に出すことはない。そのレナートが、誰が見ても分かるほど怒っているのだから、絶対に何か嫌なことが起こったのだろう。ゴクリと喉を鳴らしたエステルダは、野生の王国にひとり立ち向かう気持ちで、レナートに話しかけた。
「どうしましたか?レナート。 随分と機嫌を悪くしているようですわね。」
すると、レナートは視線だけをエステルダの方へ向け、「なにも。」と、ぶっきら棒に言った。しかし、レナートがその言葉に、放っておいてくれという意味を込めていたとしても、残念ながら、そんな繊細な気持ちはエステルダには通じない。
「レナート、なにも、ではありません。明らかにいつもの貴方とは違います。何かあったのですね。これでも貴方の姉です。貴方の気持ちなどお見通しですわ。さあ、わたくしに相談なさい。」
「・・・・・・。」
機嫌の悪いレナートは、面倒くさいという顔を隠しもしないで無言でエステルダを見ていた。しかし、「さあ!さあ!!」と、ぐいぐい迫ってくるエステルダに、これ以上無言を貫いたところで解放されることがないことも、自分の長年の経験から分かっていた。いつだって、弟のレナートの気持ちなど、強すぎる姉によって丸裸にされてしまうのだ。だが、弟の隠し事を許さないエステルダだったが、同時に自分の気持ちも隠すことはなかった。いや、本人は隠しているつもりなのかもしれないが、レナートには筒抜けだったのだ。貴族社会での高貴な一族に生まれ、たくさんの利害関係に巻き込まれながらも姉弟の仲を良好に保てているのは、こうして姉弟間だけでも信頼できる関係性を築いて来たからかもしれない。
「・・・アリッサ様と視線が合いません。」
「え!?」
「あの雷の日以来、彼女と目が合わないのです。前までは、私に気付くなり頬を赤くして確実に意識していたはずなのに。今は、まるで私など見えていないかのように、顔色一つ変わりません。」
「えーと・・・。あー・・・、そうでしたか。」
ゴリラのような大男の、あまりにも純情な悩みを受けたエステルダは、まず何処から突っ込めばよいのか悩むのだった。
「レナート、あれから・・・アリッサ様と一度でも会話を?」
「していません。」
(まず、アリッサ嬢から、勝手に「アリッサ様」と、呼び方を変えたところから突っ込むべきでしょうか・・・。)
「・・・それだけの理由であんなに怒っていたのですか?」
「・・・・・・。」
「レナート!? はっきり!!」
「さっき・・・他の男子生徒に剣を教わっていました・・・。」
「は? 誰が?」
「アリッサ様・・・。」
「え?なぜですの?」
「知りませんっ!!ですが、二人はとても親密でした。アリッサ様は他の男にあんな笑顔を見せる人ではありません! なのに―――」
「どこのどなたです!!」
エステルダの青い瞳がキッと吊り上がった。
「スクナット男爵家のハーロン殿です。」
「ああ、あの黒髪の大きな男性ですね。わたくしの一つ上の方ですわね。」
「姉上、ご存知なのですか?」
「ええ、黒髪も黒い瞳も珍しいですし、なにより大きいので目立ちますしね・・・。それに、アリッサ様とご一緒のところを何度か見かけていましたから。」
「何度か?そんなにいつも・・・。アリッサ様は私のことが好きなのに・・・。」
そう呟いたレナートの目は据わり、再度怒りのオーラがビリビリと空気を震わせている。
(私のことが好きって・・・。レナート・・・。)
エステルダの脳内では、怒り狂った金色ゴリラと黒ゴリラの戦いが繰り広げられていた。そして、その後ろに佇む桃色ゴリラ・・・。
「くふふ・・・。」
「姉上?・・・ところで姉上は、こんな時間に何故ここにいるのですか?今日はアランド殿下とのお茶会の日ですよね?」
「え? ああ・・・。体調が良くないので途中でお暇致しましたの。」
「え?体調って、元気そうに見えますが・・・。それに、調子が悪いなら、なぜまた学園に戻ってきたのです?」
「え?・・・まあ・・・ね―――」
「ヴィスタ殿ならもう帰りましたよ。」
「え?そうなのですか?」
「はい。それこそ、そのハーロン殿の妹と腕を組んで―――」
「んなっ!?なんですって!?腕を組んでって・・・、レナート!!どういうことです!?詳しく話すのです!!」
そう言ったエステルダは、レナートの背中を両手で押すと、ヴィスタの居ない学園になど、もう用はないとばかりに「帰りますわよ!!」と、乱暴にレナートを連れて帰路につくのだった。
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