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それぞれの言い分
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互いの体に触れながら、熱く見つめ合う私とライナーの周りには、まるで甘い空気が漂っているかのようでした。
「なあ、ユニ。 俺達、性格も合うし、一緒に居ても苦痛じゃないよな。」
「は!? なんで? ライナー!?・・・やだ、やめて!! 嘘でしょ?」
「そうね。きっと私達なら、夫婦としてもうまくやっていけるでしょうね。」
「そうだ!!結婚後はリヴェル辺境地で一緒に暮らすってのはどうだ?俺はアーレン閣下の下で働くけど、ユニはどうする?」
「えっ!?本当!? 行く!!行くわ!! 私もアーレン閣下のお傍で働く! 行こう、ライナー!!本当!?本当に連れて行ってくれる? 私、嬉しいわ!
大好きよ、ライナー!」
「ユニーナから離れろっ!!!」
バーン!と、大きな音を立てたアレイド様は、ついに我慢の限界に達したようで、机を力任せに叩くと、店中に響き渡る声で叫んだのでした。
周囲の目にさらされて、冗談が過ぎたと反省した私とライナーは、取りあえずこの場を収めようと、お店と周りのお客様に謝り、怒り狂って訳の分からないことを大声で喚いているアレイド様をなだめ、真っ青な顔で今にも泣きだしそうなキャメロンさんを慰めながら、すごすごと店を後にしたのでした。
しかしこの後、私達四人が揉めに揉めたことは、言うまでもないでしょう。
「咄嗟の演技だとっ!? あんなに息の合った演技を、即席で出来る訳がないだろう!!人を疑う前に自分達の関係がおかしいことを気にしろ!!」
「私とライナーは、学園でいつも一緒ですもの。仲の良い演技くらい、いくらでもできますわ。」
「だから、そもそも、それがおかしいって言ってるんだ!!」
「うるさい!お前のせいだろ!! お前が全部悪いんだから偉そうに言うな!」
「ですから! 信用しろと言われましても、毎日私に向かって、好きだの愛してるだの言っておきながら、それと同じ口で、他の女性を褒めちぎるのですから、信用なんてできません。結局私への言葉など全部嘘で、今さっき、新しい恋に落ちたってことですよね? これがあの有名な「真実の愛」とか言うやつですか?物語の話と思っていましたが、そんなの本当にあるんですね!!」
「あんなに顔を赤らめて素敵な人とか言われてしまったら、俺が振られたと思っても仕方のないことだろう?せっかく四人でケーキでも食べようと、楽しみに来てみればこれだもんな。はぁー・・・なんだよ、これ、気分悪い!」
「どうしてそうなるのよ!?ユニと彼が婚約していることも、彼がユニのこと大好きなのも話に聞いて知っていたわ。なのに平民の私が貴族の貴方達の間に入れるなんて考えると思う?結局はなんだかんだ言って、ライナーがユニと一緒になりたいだけなんじゃないの?二人の仲を深めるために私を利用しようとしただけでしょう!?」
「ははは、ほら!大丈夫だよ、ユニ。彼女がいくら美人で素敵な女性だからと言っても、平民だから僕の正妻にはなれないんだよ。愛人にしかできないから安心して? ね?」
アレイド様の言葉に、それまで人の話に耳を傾けることなく、自分の言いたいことを言い合っていた三人がピタリと動きを止めたのでした。
「は!? 愛人って・・・なに? やだ、なにこの人、最低。」
「ユニ、やっぱりロステル侯爵に従弟を紹介してもらった方がいいと思うぞ。友人として言わせてもらうが、アレイドだけはやめとけ・・・。」
「もう・・・やだ。 貴方は、なぜそのような事を平気で口にするのですか・・・。もう、今すぐ私の目の前から消えてください。」
こうして私とアレイド様は、またもや仲を拗らせてしまい、後日、怒ったスワルス様に、またもや迷惑をかけながら修復することになるのでした。
ちなみに、ライナーとキャメロンさんは、もちろん誰の世話にもならず、その日のうちに元の仲に戻りました。
(羨ましいです・・・私も普通の恋人同士になりたいものです・・・。)
「なあ、ユニ。 俺達、性格も合うし、一緒に居ても苦痛じゃないよな。」
「は!? なんで? ライナー!?・・・やだ、やめて!! 嘘でしょ?」
「そうね。きっと私達なら、夫婦としてもうまくやっていけるでしょうね。」
「そうだ!!結婚後はリヴェル辺境地で一緒に暮らすってのはどうだ?俺はアーレン閣下の下で働くけど、ユニはどうする?」
「えっ!?本当!? 行く!!行くわ!! 私もアーレン閣下のお傍で働く! 行こう、ライナー!!本当!?本当に連れて行ってくれる? 私、嬉しいわ!
大好きよ、ライナー!」
「ユニーナから離れろっ!!!」
バーン!と、大きな音を立てたアレイド様は、ついに我慢の限界に達したようで、机を力任せに叩くと、店中に響き渡る声で叫んだのでした。
周囲の目にさらされて、冗談が過ぎたと反省した私とライナーは、取りあえずこの場を収めようと、お店と周りのお客様に謝り、怒り狂って訳の分からないことを大声で喚いているアレイド様をなだめ、真っ青な顔で今にも泣きだしそうなキャメロンさんを慰めながら、すごすごと店を後にしたのでした。
しかしこの後、私達四人が揉めに揉めたことは、言うまでもないでしょう。
「咄嗟の演技だとっ!? あんなに息の合った演技を、即席で出来る訳がないだろう!!人を疑う前に自分達の関係がおかしいことを気にしろ!!」
「私とライナーは、学園でいつも一緒ですもの。仲の良い演技くらい、いくらでもできますわ。」
「だから、そもそも、それがおかしいって言ってるんだ!!」
「うるさい!お前のせいだろ!! お前が全部悪いんだから偉そうに言うな!」
「ですから! 信用しろと言われましても、毎日私に向かって、好きだの愛してるだの言っておきながら、それと同じ口で、他の女性を褒めちぎるのですから、信用なんてできません。結局私への言葉など全部嘘で、今さっき、新しい恋に落ちたってことですよね? これがあの有名な「真実の愛」とか言うやつですか?物語の話と思っていましたが、そんなの本当にあるんですね!!」
「あんなに顔を赤らめて素敵な人とか言われてしまったら、俺が振られたと思っても仕方のないことだろう?せっかく四人でケーキでも食べようと、楽しみに来てみればこれだもんな。はぁー・・・なんだよ、これ、気分悪い!」
「どうしてそうなるのよ!?ユニと彼が婚約していることも、彼がユニのこと大好きなのも話に聞いて知っていたわ。なのに平民の私が貴族の貴方達の間に入れるなんて考えると思う?結局はなんだかんだ言って、ライナーがユニと一緒になりたいだけなんじゃないの?二人の仲を深めるために私を利用しようとしただけでしょう!?」
「ははは、ほら!大丈夫だよ、ユニ。彼女がいくら美人で素敵な女性だからと言っても、平民だから僕の正妻にはなれないんだよ。愛人にしかできないから安心して? ね?」
アレイド様の言葉に、それまで人の話に耳を傾けることなく、自分の言いたいことを言い合っていた三人がピタリと動きを止めたのでした。
「は!? 愛人って・・・なに? やだ、なにこの人、最低。」
「ユニ、やっぱりロステル侯爵に従弟を紹介してもらった方がいいと思うぞ。友人として言わせてもらうが、アレイドだけはやめとけ・・・。」
「もう・・・やだ。 貴方は、なぜそのような事を平気で口にするのですか・・・。もう、今すぐ私の目の前から消えてください。」
こうして私とアレイド様は、またもや仲を拗らせてしまい、後日、怒ったスワルス様に、またもや迷惑をかけながら修復することになるのでした。
ちなみに、ライナーとキャメロンさんは、もちろん誰の世話にもならず、その日のうちに元の仲に戻りました。
(羨ましいです・・・私も普通の恋人同士になりたいものです・・・。)
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