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友人の助け
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(もう疲れたので、そろそろ自分の世界に入っていいでしょうか?)
それは、5号までいたゾンビ達に散々文句を言われ続けた私が、いよいよ辛くなってきたので、そろそろ現実逃避を始めようかと思った時でした。
「おい、なぁ、そこまで言う必要ないんじゃないのか?」
なんと、一人の男子生徒があまりにも哀れな私を見かねて助け船をだしてくれたようです。
(まあまあ、どこのどなたかは存じませんが、なんと心優しいお言葉。あなた様の愛!わたくし生涯忘れることはないでしょう。傷物予定ではございますが、どうか、私の新しい婚約者様になってくださいませんか!?)
両手を胸の前で組み、目をうるうるさせながら、最大限の感謝を表現いたしましょう。もちろん、誤解を招いてはいけないので、口には出しませんわ。
(心優しいあなた!助けてくれて、ありがとう!)
(おや?もしかして、私の心の声が届きました?)
なぜか、私と目が合うと、その男子生徒が顔を真っ赤にして俯いてしまいました。私が不思議に思って首を傾げていると―――突然の殺気を感じました。
「はっ!?」
(こわっ!! つい、声が出てしまいましたが、ちょっと、婚約者様!?この正義感みなぎる男子生徒にどれだけ腹を立てているのですか! 怖すぎます! その顔、怖すぎますって!少しは瞬きするべきです、睨み過ぎて目が充血してますってば! 血が出ますわよ。)
ゾンビ五人組はというと、揃って目を吊り上げています。可愛い顔が台無しです。そして、なぜか私が凄い睨まれています。
「そうよ、一人をよってたかって・・・。そもそも貴族の婚約なんて親が決めることでしょう? それを周りがとやかく言ったところでどうにもならないと思うわ。」
(なんと!こちらの女生徒様も、私を助けてくださるの?なんと嬉しい・・・。ぜひ、私とお友達になってくださいませんか?)
「まあ、一体なんですの?皆さま、私達が悪いとでもおっしゃるのかしら?わたくし達は貴族としての最低限のルールを教えて差し上げていますのよ?こんな一般常識も身につけていらっしゃらない方がアレイド様の婚約者などと吹聴してらっしゃるんですもの。感謝されこそすれ文句を言われる筋合いはございませんわ!」
(なぜ見ず知らずのあなた様が、他人のわたくしめに貴族の教育を・・・。)
「そうですぅーー!! 現にアレイド様だってぇ、嫌いな相手との婚約ですもの。毎日、迷惑そうにしていますわ。ねぇー、アレイド様ー!」
(ゾンビ2号と3号の反撃です・・・。でも、こんな大勢の前で、嫌いな婚約者が迷惑とか、常識がないとか、少し失礼すぎではありませんかね。あの・・・こんなに傷つけられたら、さすがの私も立ち直りに時間がかかると思うのですけれど・・・。もう勘弁していただけませんか・・・。)
「なあ、アレイドも、もう大概にしといたほうがいいぞ?いくら相手が不満だからって、これはないわ。見ているこっちの気分が悪くなる。」
「なっ!! 俺は・・・。」
婚約者様のご友人らしき人の言葉に、慌てたような様子の婚約者様は、何か弁解しようと口を開きましたが、うまく言葉がでてこなかったようで、血走った目だけが落ち着きなく泳いでいました。
(きっと弁解の余地もないのでしょうね。私が婚約者様に相手にされてないことなど周知の事実ですものね。)
「ユニ!! なんだ、ちょっと退いてくれ!ユニ!!どうなってる!!おい、大丈夫か!?」
そこに、私の名を呼びながら、人込みを掻き分けて現れたのは、私の唯一の友人ライナーでした。
(ああ、友よ!助けにきてくれたのね。いつもありがとう。)
「ユニ!大丈夫か? おい、なんだこの騒ぎは!?」
ライナーは、周りから守るように自分の腕の中に私を閉じ込めました。よほど気持ちを張り詰めていたのでしょうか、こんな状況にもかかわらずライナーの体温に癒され、私は、ほっと安堵の息を吐いてしまいました。
「なんだか知らないが、もういいだろう?本人もこんなに怯えているし、可哀想だろう!! どうせ婚約を破棄しろとか、いつものやつだろう!?馬鹿馬鹿しい。悪いが俺たちは失礼するぞ。」
ライナーは、私を腕に抱いたまま、直ぐにその場を去ろうとしましたが、なぜか婚約者様が目を吊り上げて妨害してきたのでした。
それは、5号までいたゾンビ達に散々文句を言われ続けた私が、いよいよ辛くなってきたので、そろそろ現実逃避を始めようかと思った時でした。
「おい、なぁ、そこまで言う必要ないんじゃないのか?」
なんと、一人の男子生徒があまりにも哀れな私を見かねて助け船をだしてくれたようです。
(まあまあ、どこのどなたかは存じませんが、なんと心優しいお言葉。あなた様の愛!わたくし生涯忘れることはないでしょう。傷物予定ではございますが、どうか、私の新しい婚約者様になってくださいませんか!?)
両手を胸の前で組み、目をうるうるさせながら、最大限の感謝を表現いたしましょう。もちろん、誤解を招いてはいけないので、口には出しませんわ。
(心優しいあなた!助けてくれて、ありがとう!)
(おや?もしかして、私の心の声が届きました?)
なぜか、私と目が合うと、その男子生徒が顔を真っ赤にして俯いてしまいました。私が不思議に思って首を傾げていると―――突然の殺気を感じました。
「はっ!?」
(こわっ!! つい、声が出てしまいましたが、ちょっと、婚約者様!?この正義感みなぎる男子生徒にどれだけ腹を立てているのですか! 怖すぎます! その顔、怖すぎますって!少しは瞬きするべきです、睨み過ぎて目が充血してますってば! 血が出ますわよ。)
ゾンビ五人組はというと、揃って目を吊り上げています。可愛い顔が台無しです。そして、なぜか私が凄い睨まれています。
「そうよ、一人をよってたかって・・・。そもそも貴族の婚約なんて親が決めることでしょう? それを周りがとやかく言ったところでどうにもならないと思うわ。」
(なんと!こちらの女生徒様も、私を助けてくださるの?なんと嬉しい・・・。ぜひ、私とお友達になってくださいませんか?)
「まあ、一体なんですの?皆さま、私達が悪いとでもおっしゃるのかしら?わたくし達は貴族としての最低限のルールを教えて差し上げていますのよ?こんな一般常識も身につけていらっしゃらない方がアレイド様の婚約者などと吹聴してらっしゃるんですもの。感謝されこそすれ文句を言われる筋合いはございませんわ!」
(なぜ見ず知らずのあなた様が、他人のわたくしめに貴族の教育を・・・。)
「そうですぅーー!! 現にアレイド様だってぇ、嫌いな相手との婚約ですもの。毎日、迷惑そうにしていますわ。ねぇー、アレイド様ー!」
(ゾンビ2号と3号の反撃です・・・。でも、こんな大勢の前で、嫌いな婚約者が迷惑とか、常識がないとか、少し失礼すぎではありませんかね。あの・・・こんなに傷つけられたら、さすがの私も立ち直りに時間がかかると思うのですけれど・・・。もう勘弁していただけませんか・・・。)
「なあ、アレイドも、もう大概にしといたほうがいいぞ?いくら相手が不満だからって、これはないわ。見ているこっちの気分が悪くなる。」
「なっ!! 俺は・・・。」
婚約者様のご友人らしき人の言葉に、慌てたような様子の婚約者様は、何か弁解しようと口を開きましたが、うまく言葉がでてこなかったようで、血走った目だけが落ち着きなく泳いでいました。
(きっと弁解の余地もないのでしょうね。私が婚約者様に相手にされてないことなど周知の事実ですものね。)
「ユニ!! なんだ、ちょっと退いてくれ!ユニ!!どうなってる!!おい、大丈夫か!?」
そこに、私の名を呼びながら、人込みを掻き分けて現れたのは、私の唯一の友人ライナーでした。
(ああ、友よ!助けにきてくれたのね。いつもありがとう。)
「ユニ!大丈夫か? おい、なんだこの騒ぎは!?」
ライナーは、周りから守るように自分の腕の中に私を閉じ込めました。よほど気持ちを張り詰めていたのでしょうか、こんな状況にもかかわらずライナーの体温に癒され、私は、ほっと安堵の息を吐いてしまいました。
「なんだか知らないが、もういいだろう?本人もこんなに怯えているし、可哀想だろう!! どうせ婚約を破棄しろとか、いつものやつだろう!?馬鹿馬鹿しい。悪いが俺たちは失礼するぞ。」
ライナーは、私を腕に抱いたまま、直ぐにその場を去ろうとしましたが、なぜか婚約者様が目を吊り上げて妨害してきたのでした。
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