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噂の女性騎士
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同じ第一騎士団に所属していたにも拘らず、きちんと彼女の存在を認識したのはジョナスとロステルの結婚を知った後のことだった。
人目もはばからずに一人泣いている彼女の視線の先には、仲睦まじいジョナスとロステルの姿があった。
ポロポロと声も出さずに涙を流している姿は、誰が見ても哀れに映るだろう。だが、ヤソックにだけは違って見えていた。
彼女の涙は決して悲しみだけではない。潤んだ瞳の奥に見えたものは、ロステルに対する強い執着心。
『せっかく努力して第一騎士団に配属になったのに、魔力も持たないあんなのに熱を上げてるから行き遅れになるんだろうな・・・。学生の頃からの片思いだってさ。重いよなぁ』
隣で一緒に見ていた同僚が呆れたように言う。
『・・・なんでそんなこと知ってるの?それって有名な話なのか?』
『いーや、ただ単に興味があって先輩に聞いただけ。数少ない女性騎士の情報はしっかり把握しとかないとな』
『ふーん、相手には気持ちを伝えたのかな』
『さあなぁ・・・だがさすがにもう諦めるしかないだろう?相手は結婚したんだし』
軽く笑って同僚は歩き出したが、未だ泣き続けている彼女の顔を見ながらヤソックは思った。
(ふーん・・・諦めて泣いてるようには見えないけどねぇ)
その日、自分と同じような人間を見つけたヤソックだったが、その後もその女性騎士と親しくなることはなかった。それどころか未だに一度も話したこともない。
ただ、以前は全く目に入らなかった彼女があの日以来、たびたびヤソックの視界に入るようにはなった。ヤソックが常に遠くからジョナスを見つめているように、彼女の瞳も常にロステルを追っていたからだ。
(狂おしいほどに恋しい男が自分と同じ第一騎士団に異動してきたんだ、きっと彼女は飛び上がるほど喜んだだろうな。ふっ・・・ははっ・・・やっぱり俺と同じだな)
その彼女が今、ジョナスとロステルの関係にヒビを入れようと動いている。
(もっとだ、もっと強く叩かないと駄目だよ。はは、俺も頑張るからさ、お互い一番欲しいものを手に入れような)
「さあ、みんなが待ってる。そろそろ行こう」
優しくジョナスの肩に手を置いたヤソックは、爽やかに微笑んだ。
人目もはばからずに一人泣いている彼女の視線の先には、仲睦まじいジョナスとロステルの姿があった。
ポロポロと声も出さずに涙を流している姿は、誰が見ても哀れに映るだろう。だが、ヤソックにだけは違って見えていた。
彼女の涙は決して悲しみだけではない。潤んだ瞳の奥に見えたものは、ロステルに対する強い執着心。
『せっかく努力して第一騎士団に配属になったのに、魔力も持たないあんなのに熱を上げてるから行き遅れになるんだろうな・・・。学生の頃からの片思いだってさ。重いよなぁ』
隣で一緒に見ていた同僚が呆れたように言う。
『・・・なんでそんなこと知ってるの?それって有名な話なのか?』
『いーや、ただ単に興味があって先輩に聞いただけ。数少ない女性騎士の情報はしっかり把握しとかないとな』
『ふーん、相手には気持ちを伝えたのかな』
『さあなぁ・・・だがさすがにもう諦めるしかないだろう?相手は結婚したんだし』
軽く笑って同僚は歩き出したが、未だ泣き続けている彼女の顔を見ながらヤソックは思った。
(ふーん・・・諦めて泣いてるようには見えないけどねぇ)
その日、自分と同じような人間を見つけたヤソックだったが、その後もその女性騎士と親しくなることはなかった。それどころか未だに一度も話したこともない。
ただ、以前は全く目に入らなかった彼女があの日以来、たびたびヤソックの視界に入るようにはなった。ヤソックが常に遠くからジョナスを見つめているように、彼女の瞳も常にロステルを追っていたからだ。
(狂おしいほどに恋しい男が自分と同じ第一騎士団に異動してきたんだ、きっと彼女は飛び上がるほど喜んだだろうな。ふっ・・・ははっ・・・やっぱり俺と同じだな)
その彼女が今、ジョナスとロステルの関係にヒビを入れようと動いている。
(もっとだ、もっと強く叩かないと駄目だよ。はは、俺も頑張るからさ、お互い一番欲しいものを手に入れような)
「さあ、みんなが待ってる。そろそろ行こう」
優しくジョナスの肩に手を置いたヤソックは、爽やかに微笑んだ。
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