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ジョナスとの出会い 3
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『ごめんっ!いや、わざとじゃない、そんなつもりじゃないんだ。ぐっ、ああ、もう駄目だ、コントロールできない!』
その声と同時に竜巻のような風の渦がジョナスを取り囲んだかと思うと彼女の体が勢いよく浮かび上がった。
『危ない!!』
先ほどの巨大な鳩と同じように彼女も天井に叩きつけられると思った時、ジョナスが天井に向かって大量の水を出した。まるでヤソックの風の力とジョナスの水の力が彼女を挟んで押し合いをしているような状況だ。
間に挟まれたジョナスは空中に浮いたまま天井から降り注ぐ滝のような水を全身で受けている。目を疑う光景を前にして呆然と立ち尽くすヤソックの耳に、助けを求めるジョナスの声が微かに聞こえた。
『は、や・・・く、なんとか・・・して・・・ってば。息が』
はっと我に返ったヤソックは、風を止める為に慌てて両手を合わせると神経を集中した。
今度はうまく風を止めることが出来たのだが、それがまた・・・止めたのが急だった。
突然下からの風圧を失ったジョナスに残ったものは、天井に向かって勢いよく出し続けていた大量の水。ジョナスは自分が出した水の勢いのまま床に落ちた。
幸いにもジョナスが天井に向けて出し続けた水に、先ほどの巨大な鳩の水も合わさり室内には膝下くらいまでの水が溜まっていた。そのおかげで彼女に怪我はなかったけれど、真っ青になってジョナスに駆け寄ったヤソックは、彼女の無事を確認するまで生きた心地がしなかった。
それから三日間。ヤソックとジョナスは、たいして役に立たない講習を受けた後に二人で魔法の練習を続けた。
決められたことを順序良く進めたいヤソックに反して、ジョナスは思考も行動もあまりに自由だった。なにより、彼女は失敗を楽しんでいた。
毎日失敗を繰り返して二人でずぶ濡れになった。それはプライドの高いヤソックには耐えられない屈辱であった。
ジョナスの放った水を被る度に眉をしかめ、彼女に思う酷い言葉をなんとか口に出さずに呑み込んでいるような状態だった。
だがそれも三日目にもなると、失敗の度に一々腹を立てることが馬鹿馬鹿しく思えるようになってきた。
隣では腰を曲げてお腹を抱えたジョナスが、先ほど二人して大量の水に流されたことで声も出せないほどに笑っている。
(・・・まったく、何がそんなにおかしいんだか)
そんなジョナスに溜息を吐きながらもつられて笑っていると、ジョナスが笑いながら近付いて来た。
ヤソックの手を両手でぎゅっと握ったジョナスは、途切れ途切れに話しかけて来た。
『あなた、絶対笑った方が素敵よ! あはは、いっつも怒った顔してるけど、ぐふふっ、絶対笑顔の方が似合う! だって、あなた・・・くくく・・・』
『なんだ、何が言いたい!?』
『だって、あなた、ふふふ・・・、さっき、すっごい怒った顔して流されてったわよ! ぷっ、あはははは!!』
もう無理! と言いながら床に座り込んでまで笑っているジョナスを見て、腹が立つやら呆れるやらで、ついにヤソックも声を出して笑ってしまうのだった。
そんな二人を見に来た教師によって二人での練習はこの日が最後になってしまった。さすがに連日続く大惨事に頭を抱えた学園側が二人をもっと広い場所での個人指導に変えたのだ。
別れ際、ジョナスはヤソックに言った。
『今はお互いに大きな魔力量に苦労させられているけれど、でもこれって逆に考えれば凄い強みってことでしょう? 必ず使いこなせる日が来るんだから焦らずに頑張りましょうね。あと、さっきも言ったけどあなたは笑顔の方が素敵だと思うの。あなたが笑うと、きっと周りの人が喜ぶわ。だって私はあなたの笑顔を見れて嬉しかったもの』
そう言ったジョナスは手に持っていたタオルをヤソックの首にかけた。
『毎日、水浴びをさせてしまってごめんなさいね。風邪引かないように気を付けてね』
最後に 『ありがとう』 と言って去って行くジョナスの後ろ姿を見送りながら、ヤソックは彼女の名前も知らないことを今になって気が付いた。
その声と同時に竜巻のような風の渦がジョナスを取り囲んだかと思うと彼女の体が勢いよく浮かび上がった。
『危ない!!』
先ほどの巨大な鳩と同じように彼女も天井に叩きつけられると思った時、ジョナスが天井に向かって大量の水を出した。まるでヤソックの風の力とジョナスの水の力が彼女を挟んで押し合いをしているような状況だ。
間に挟まれたジョナスは空中に浮いたまま天井から降り注ぐ滝のような水を全身で受けている。目を疑う光景を前にして呆然と立ち尽くすヤソックの耳に、助けを求めるジョナスの声が微かに聞こえた。
『は、や・・・く、なんとか・・・して・・・ってば。息が』
はっと我に返ったヤソックは、風を止める為に慌てて両手を合わせると神経を集中した。
今度はうまく風を止めることが出来たのだが、それがまた・・・止めたのが急だった。
突然下からの風圧を失ったジョナスに残ったものは、天井に向かって勢いよく出し続けていた大量の水。ジョナスは自分が出した水の勢いのまま床に落ちた。
幸いにもジョナスが天井に向けて出し続けた水に、先ほどの巨大な鳩の水も合わさり室内には膝下くらいまでの水が溜まっていた。そのおかげで彼女に怪我はなかったけれど、真っ青になってジョナスに駆け寄ったヤソックは、彼女の無事を確認するまで生きた心地がしなかった。
それから三日間。ヤソックとジョナスは、たいして役に立たない講習を受けた後に二人で魔法の練習を続けた。
決められたことを順序良く進めたいヤソックに反して、ジョナスは思考も行動もあまりに自由だった。なにより、彼女は失敗を楽しんでいた。
毎日失敗を繰り返して二人でずぶ濡れになった。それはプライドの高いヤソックには耐えられない屈辱であった。
ジョナスの放った水を被る度に眉をしかめ、彼女に思う酷い言葉をなんとか口に出さずに呑み込んでいるような状態だった。
だがそれも三日目にもなると、失敗の度に一々腹を立てることが馬鹿馬鹿しく思えるようになってきた。
隣では腰を曲げてお腹を抱えたジョナスが、先ほど二人して大量の水に流されたことで声も出せないほどに笑っている。
(・・・まったく、何がそんなにおかしいんだか)
そんなジョナスに溜息を吐きながらもつられて笑っていると、ジョナスが笑いながら近付いて来た。
ヤソックの手を両手でぎゅっと握ったジョナスは、途切れ途切れに話しかけて来た。
『あなた、絶対笑った方が素敵よ! あはは、いっつも怒った顔してるけど、ぐふふっ、絶対笑顔の方が似合う! だって、あなた・・・くくく・・・』
『なんだ、何が言いたい!?』
『だって、あなた、ふふふ・・・、さっき、すっごい怒った顔して流されてったわよ! ぷっ、あはははは!!』
もう無理! と言いながら床に座り込んでまで笑っているジョナスを見て、腹が立つやら呆れるやらで、ついにヤソックも声を出して笑ってしまうのだった。
そんな二人を見に来た教師によって二人での練習はこの日が最後になってしまった。さすがに連日続く大惨事に頭を抱えた学園側が二人をもっと広い場所での個人指導に変えたのだ。
別れ際、ジョナスはヤソックに言った。
『今はお互いに大きな魔力量に苦労させられているけれど、でもこれって逆に考えれば凄い強みってことでしょう? 必ず使いこなせる日が来るんだから焦らずに頑張りましょうね。あと、さっきも言ったけどあなたは笑顔の方が素敵だと思うの。あなたが笑うと、きっと周りの人が喜ぶわ。だって私はあなたの笑顔を見れて嬉しかったもの』
そう言ったジョナスは手に持っていたタオルをヤソックの首にかけた。
『毎日、水浴びをさせてしまってごめんなさいね。風邪引かないように気を付けてね』
最後に 『ありがとう』 と言って去って行くジョナスの後ろ姿を見送りながら、ヤソックは彼女の名前も知らないことを今になって気が付いた。
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