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蠢く影

侵入者

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 連れて来られたあの時の男は天井からマリへと移し、コーデリアへと移した。

そっと視線を外し俯いた。ちらりと髪から覗く尖った耳がエルフだと感じさせる。

さ、触りたい……

エルフという種族は地球に存在せず架空の空想の生き物の一種。

半分その血が通っているユリウスに珍しくマリの興味が向けられる。
キラキラとした目をしているマリを見て枠知っている二人は、一目惚れでもしたのかと思ったのが、視線が耳になるのに気がついて、どこか納得した感じだ。

エルフという種族は普段は秘境にすんでいる。
そのためあまり見かけることはないが、大きな都市などにはたまに人里に降りてきている若いエルフがいるため。そこまで珍しくないが、マリは森にずっとこもっていた為に見たことがないと勝手に違う方向で解釈をした。

「それじゃあ、彼が持っている能力を伝えるわねぇ」

そう言ってヒラリと一枚の紙を机の上に置いた。

名前 ユリウス 年齢 21歳

種族 ハーフエルフ

出身国 アークセルシュ王国

職業 暗殺者

体力 1850

魔力    1475

魔法適正 風魔法7 幻影魔法4   光魔法5

スキル 剣6 短剣8 棍棒5 弓9 投擲7    暗視6    
    認識阻害9 気配察知9 料理4


と書かれておりエルフと暗殺者だとスキルや魔法から見てとれた。

やっぱりエルフって弓が得意なイメージあるよね…

さらっと読みポケっと考え事をしていたマリは天井の気配が動いた事に気付くのが遅れてしまう。

「鎖から手を離せ!」

怒鳴るような大声を出し俯いていたユリウスはパッと顔をあげマリへと走り始めた。

コーデリアはグッと引こうとするが、ユリウスの目から伝えられた視線で力を緩め手を離す。

ジャラジャラ音を立てながらマリへと飛びかかるようにして抱きかかえてその場と飛び去り床へと転がった。

ドスっドスっ

「っ!!」

ポカンとユリウスの腕の中で自分がいた場所に刺さった短剣を眺め盗賊達に向けられたさっきに近いものを感じアイテムカバンから短剣と投擲用の短剣とナイフを取り出し、ベルトの金具にいつものように装備した。

モーガンとアルヴィンも腰の剣に手をかけていつでも抜ける体制になったのをちらりとユリウスは確認するとマリを見下ろした。

「すまないが、予備の短剣を持っていたら貸してくれ」

ポソリと呟かれた言葉に頷きアイテムスペースからマリが普段使っているものより少し刃渡りが長く幅が広いものを取り出した。

「これ…」

戸惑ったように差し出した短剣を受け取り、マリの腰にある投擲用の短剣に手を伸ばした。

「これも借りるぞ!」

言うないなやドスっと音を立てて突き刺さり、ガコンッと音を立てながら天井の一部が取れくる節まであるロープのフードを被った人物が音もなく着地し短剣をくるりと構えた。

「同業者にしてはお粗末な気配の消し方じゃないか?」

マリの上から退いて短剣を少し突き出すように逆手で構える。

相手はゆらゆら揺れて後ろに倒れるようにして体のどこからか球を落として落ちた拍子に煙がポプリと辺りの視界を悪く遮ってしまう。

煙が完全に視界を奪う前に騎士二人はとマリを守るように立とうとするがマリは手で制しナイフを投げる。

それを合図にするかのようにグッと地面を踏み締めて間合いを詰めて切り掛かる。

お呼びでない相手はヒラリと体を倒し軌道を呼んだように綺麗にかわし煙幕に埋もれるように姿を消した。

ドタドタと廊下が騒がしく、ノックも無しに扉が乱暴に開けられた。

「大変です!オーナー!屋根裏へ行く通路が壊され侵入者が複数人と交戦中です……て何があったんです?」

視線をやると屋根裏へと確認して行った男だった。

何が起こったのかわからないが部屋がここで焼き物をしたように白く、何もよりもユリウスから伸びている鎖が誰も持っていないことへ眉を顰めて口を開こうとした時、今度はコーデリアが止めた。

「彼に怒るのはなしよ。彼のおかげで怪我をすることがなかったの」

緊迫した時特有の強張った声で額に手を当てて首を振り息を吐き出した。

ユリウスは気配が完全なくなったことを確認してから風魔法で天井に刺さった短剣を抜き取り借りた短剣と共に返した。
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