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蠢く影

集落襲撃

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ネェージュがマリの肩へ戻ってくる。

「お疲れ様ネェージュ」

アイテムスペースからベリームの実を取り出してネェージュに手のひらであげるながら後頭部をコリコリと撫でる。

ネェージュの様子からして村に入ったゴブリンたちは全て排除されたようだ。

残るはゴブリンたちの根城である集落を潰せば今回の件は片付く。

3人で行ってもいいが何があるかわからない。

「村にはゴブリンはいないのであとは集落です。お二人は残っていてくださいー」

「ですが…」

「僕達では足手まといですか?」

不安と不満が混じった表情と声で訴えてくるがマリはマリは首を振って2人をまっすぐ見る。

「いいえ、そんなことありません。ただ、私達3人が抜けて村の人たちは不安になります。無名な冒険者が残るより、国の騎士である2人がここに残っていたほうが村の人たちは安心すると思います」

はっきりとしたマリの主張に驚いたような表情で立ち尽くしている。

「それに結界が張ってあるとはいえ完全には防げられないんですー」

ちょっと拗ねたようなマリの声に不思議そうな顔をしてお互いに顔を見合わせた。

「それはどう言う?」

「簡単です。結界ドーム型で襲撃や認識で地上に作用しています。円形状じゃないです」

「マリさんは地下からの襲撃を想定しているのですか?」

コクリと頷いて少し考えながら口を開いた。

「普段あまり群れで動かないゴブリンが集団となって人間のように集落を作っていると言うことは、仲間の中に頭のいい指示を出す個体がいるはずです」

考えすぎではと思うが中には洞窟や家などを使い集落を作っていたりする。

「だから何かしらの警戒は必要です。魔法は万能であって万能ではないんです。どこかに穴があるんです」

マリの言葉は二人にはなかった発想で驚きながらも筋を通す考えで反論するところが無かった。

結界も一度張ればいいと言うものではなく、意識の問題で綻びも生まれる。
戦闘をしていたら本人の意思ではなくとも魔法の作用が薄れる時がある。

「わかりました。私達二人はここに残ります。マリさんの考えでいきましょう」

「何かあった時にわかるようにこれを渡しておきます」

筒状のものを渡され片方の先から紐が出ている。

「救難信号を出せる道具です。紐がついていない方を上に向けて紐を引っ張ると、赤いライトが飛び出できます」

クラッカーのの花火バージョン?

なんとなくそう思ったマリはそれを受け取りアイテムカバンの中はしまい。

ネェージュを巨大化してその背にまたがり、空へ上がりあたりを見渡した。

村人の話によるとゴブリンの集落は小さい川を越えた先川に囲まれた開けた土地にあると言う。もともとそこには数人の人が住んでいたが、今はそこには誰もいなく。何かあっては大変だと言うことで家などを解体し始めていたらゴブリンが住み着いていたと言う。

あたりを見渡しとすぐに目的の場所が分かる。小川は村の近くに流れる川と繋がっていた。

「水よ増えて激流となれ」

それを確認すると村に被害が行かないように、氷魔法で川の水を堰き止め、完全に集落がある場所だけど日本の城の堀のようにした。

「水よ全てを流すように覆いかぶされ」

水魔法でぐるぐると集落の周りだけを流れる水流を作り水流と水かさを増やして、一気に津波のように全方向から水に飲み込ませた。

しばらく住んでいなかった家は水の勢いに押されて崩れていく。

水がはけて集落が露わになると、生き残ったゴブリンや水に流されたが這い上がったゴブリンなどが集落の中央へ集まってきた。

「全部は倒せなかったかー」

先程の攻撃で倒せたゴブリンは堰き止めてある場所でプカプカついている。

「一箇所に集まってくれてるなら一気に倒してしまうほうが効率いいよねー」

ネェージュの背を撫でつつこれ以上水の魔法は地盤が緩み村に被害がいく可能性があるためこれ以上避けたい。

堰き止めていた川も氷を消し元の水流に戻し自然の流れに沿って流れ始めた。

「氷魔法ならいいかな」

氷魔法なら氷を消し去ることができる。消し去るとは言え空気上に霧になる。

「氷よ足を止まらせ、降り注ぐ矢となれ」

逃げれないようにゴブリン達の足を凍らせると集落の空一面に氷の矢が出来上がるとマリは手を上げ振り下ろした。
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