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蠢く影
緊急事態
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一つ前の話の少し前の時間になります。
***
この世界にきて三ヶ月が経ち、コツコツとお金を貯めて土地を買い、あとは移築して、増築するかという話になっている。
泊まっている部屋でネェージュの体に身を預けのんびりと刺繍しようとしているとゴンゴンと扉が叩かれた。
「すみません、マリさん」
「イクスさん、きちんとご飯食べましたよ?」
「いえ、そうではなく……受付に面会希望者さんがお見えでして…」
「え??……ネェージュ行くよー」
「ホォー」
誰かと約束していたわけでも親しい人もいない。
何も心当たりがないため、気乗りしないが、呼びに来られてしまった為行くしかない。
降りて行くとこの世界に来て見慣れた服装をした騎士たちが数名と冒険者ギルド受付嬢のソニアが待っていた。
「マリさん!緊急事態です!」
階段を降りきったところで、縋るようにソニアに肩を掴まれた,
今日は休みという予定でいつもの時間にギルドに姿を見せなかったので、宿の方まで来たのは近い出来た。
何で騎士の人たちと一緒なんだろう。
たまに騎士団と合同で討伐依頼などはあるが事前に予告される。
「あの、一体何が……?」
いきなり緊急事態と言われても何がどう緊急で、マリのところに直接来たのか検討がつかない。
「ソグムの街から南に進んだところにチフンという村があるのですが、その近くにゴブリンの集落ができてしまったらしく。ギルドに助けを求めてきたんです」
「初めの方は村人だけで対処できていたようですが、上位種が生まれてしまい。村を襲うようになり、怪我人も出ているようなのです」
ソニアの話をつなげるように騎士の1人が話してくれた。
上位種はよく、ある話でそれらが指揮を取り知能が低いゴブリンでも集団で村や家畜や人を襲うようになり、森に二、三匹いる状態で倒すとは訳が違う。
例に漏れずこの世界も同じのようだ。
ただ、普通の討伐依頼なら他の冒険者にも話がいっていてもおかしくは無く、わざわざマリの元へ足を運ぶ理由はない。
「他の冒険者に依頼は?」
「この時期になると港町で巨大なクラーケンが出没するようになり多くの冒険者がそちらに集中してしまい。動ける冒険者が限られていてしまうんです。今は昼の少し前です。街にいる冒険者は依頼を受け町街の外に……」
「この時期は我々騎士団と冒険者ギルドと連携して対処するんだが今回はそれがうまくいかない」
どうやらこの時期はある意味人手不足になるらしく何かあった時は致命的だろう。
万が一の想定はしてるのかなー?これ…
ぼんやりと考ながらも、話の流れは読めてきた。そして、これは流石に断りづらいことも。
「本来なら大規模討伐で複数のパーティーやコンビが力を合わせて行う。だが、騎士団も冒険者ギルドも人出がなく。招集が出来ない」
「騎士団の方はなぜ?」
「今年は国王陛下の即位30周年を祝うパーティパレードなどがあり、各地方から王都へ応援へ…」
国の行事なら地方とはいえ王国の騎士団であるからにはそういうこともあるだろうが、最後の方は申し訳ないと言うふうに目を逸らされたんだろう。
「なるほど、一番手薄な時期に厄介事が起きたかー。分かりましたー引き受けます」
「本当ですか?!本来ならEランクのマリさんにこういうことを頼むのはあまりよろしくないんですけどよろしくお願いします。今動けるのまりさんだけなんです!!」
「我々騎士団からは私とキースが一緒に行きますのでよろしくお願いします」
マリの言葉に感激したように両手を握られ上下に振られた。
どうやら1人と1羽で討伐というのは避けられるようだが、あちらの数が分からないが立った人3人。
「本来なら30名ぐらいで討伐するんですけどね」
「ただ、マリさんがいるので団長とギルドマスターの許可が降りた感じですので、足を引っ張らないよう精進します」
マリの実力がなら多少は無茶が効くと思われたらしい。ただ、どれだけゴブリンがいるかも不明の中人数が少ないからと魔法を頼った戦法は避けた方がいいだろう。
「魔力の回復ポーションの用意……」
言いかけてたが手で制された。
「こちらで既に用意しました」
「なら、準備してきます。移動はどうしますか?私だけならネェージュに乗る事ができるんですが……」
あまり遠くまで外に行くことはないが気分転換でネェージュに乗り空の散歩をしている為、移動手段としても活用できるがマリ以外を乗せて飛べるかと言われら無理だ。別の手段で早く到着するしかない。
「足の速い馬で向かう手筈です。マリさんは馬に乗れますか?」
「ごめんなさい、ないですー!」
昔のトラウマが蘇り。声が少し大きくなった。
生前、ポニーに乗った事があるがそのポニーが後ろ立ちになり、見事に落下した思い出がある。
「では相乗りと行きましょう。キース行けますか?」
「はい、お任せを」
「では我々も準備のためこれで、準備が整い次第南の門へ急ぎ起こしくだい」
騎士2人は集合場所を伝えると足速に去っていった。
マリも大きく息を吐きイクスを見た。
「そういうわけなので、今日の夜ご飯はとりあえずキャンセルでお願いですー」
「はい。分かりました」
「ネェージュもお願いねーいつもより敵も一緒に動く人いるけど、上手く戦おうねー!」
「ホォ!」
ネェージュの鳴き声を聞きながら普段はしないかけあるしで階段を駆け上がった。
***
この世界にきて三ヶ月が経ち、コツコツとお金を貯めて土地を買い、あとは移築して、増築するかという話になっている。
泊まっている部屋でネェージュの体に身を預けのんびりと刺繍しようとしているとゴンゴンと扉が叩かれた。
「すみません、マリさん」
「イクスさん、きちんとご飯食べましたよ?」
「いえ、そうではなく……受付に面会希望者さんがお見えでして…」
「え??……ネェージュ行くよー」
「ホォー」
誰かと約束していたわけでも親しい人もいない。
何も心当たりがないため、気乗りしないが、呼びに来られてしまった為行くしかない。
降りて行くとこの世界に来て見慣れた服装をした騎士たちが数名と冒険者ギルド受付嬢のソニアが待っていた。
「マリさん!緊急事態です!」
階段を降りきったところで、縋るようにソニアに肩を掴まれた,
今日は休みという予定でいつもの時間にギルドに姿を見せなかったので、宿の方まで来たのは近い出来た。
何で騎士の人たちと一緒なんだろう。
たまに騎士団と合同で討伐依頼などはあるが事前に予告される。
「あの、一体何が……?」
いきなり緊急事態と言われても何がどう緊急で、マリのところに直接来たのか検討がつかない。
「ソグムの街から南に進んだところにチフンという村があるのですが、その近くにゴブリンの集落ができてしまったらしく。ギルドに助けを求めてきたんです」
「初めの方は村人だけで対処できていたようですが、上位種が生まれてしまい。村を襲うようになり、怪我人も出ているようなのです」
ソニアの話をつなげるように騎士の1人が話してくれた。
上位種はよく、ある話でそれらが指揮を取り知能が低いゴブリンでも集団で村や家畜や人を襲うようになり、森に二、三匹いる状態で倒すとは訳が違う。
例に漏れずこの世界も同じのようだ。
ただ、普通の討伐依頼なら他の冒険者にも話がいっていてもおかしくは無く、わざわざマリの元へ足を運ぶ理由はない。
「他の冒険者に依頼は?」
「この時期になると港町で巨大なクラーケンが出没するようになり多くの冒険者がそちらに集中してしまい。動ける冒険者が限られていてしまうんです。今は昼の少し前です。街にいる冒険者は依頼を受け町街の外に……」
「この時期は我々騎士団と冒険者ギルドと連携して対処するんだが今回はそれがうまくいかない」
どうやらこの時期はある意味人手不足になるらしく何かあった時は致命的だろう。
万が一の想定はしてるのかなー?これ…
ぼんやりと考ながらも、話の流れは読めてきた。そして、これは流石に断りづらいことも。
「本来なら大規模討伐で複数のパーティーやコンビが力を合わせて行う。だが、騎士団も冒険者ギルドも人出がなく。招集が出来ない」
「騎士団の方はなぜ?」
「今年は国王陛下の即位30周年を祝うパーティパレードなどがあり、各地方から王都へ応援へ…」
国の行事なら地方とはいえ王国の騎士団であるからにはそういうこともあるだろうが、最後の方は申し訳ないと言うふうに目を逸らされたんだろう。
「なるほど、一番手薄な時期に厄介事が起きたかー。分かりましたー引き受けます」
「本当ですか?!本来ならEランクのマリさんにこういうことを頼むのはあまりよろしくないんですけどよろしくお願いします。今動けるのまりさんだけなんです!!」
「我々騎士団からは私とキースが一緒に行きますのでよろしくお願いします」
マリの言葉に感激したように両手を握られ上下に振られた。
どうやら1人と1羽で討伐というのは避けられるようだが、あちらの数が分からないが立った人3人。
「本来なら30名ぐらいで討伐するんですけどね」
「ただ、マリさんがいるので団長とギルドマスターの許可が降りた感じですので、足を引っ張らないよう精進します」
マリの実力がなら多少は無茶が効くと思われたらしい。ただ、どれだけゴブリンがいるかも不明の中人数が少ないからと魔法を頼った戦法は避けた方がいいだろう。
「魔力の回復ポーションの用意……」
言いかけてたが手で制された。
「こちらで既に用意しました」
「なら、準備してきます。移動はどうしますか?私だけならネェージュに乗る事ができるんですが……」
あまり遠くまで外に行くことはないが気分転換でネェージュに乗り空の散歩をしている為、移動手段としても活用できるがマリ以外を乗せて飛べるかと言われら無理だ。別の手段で早く到着するしかない。
「足の速い馬で向かう手筈です。マリさんは馬に乗れますか?」
「ごめんなさい、ないですー!」
昔のトラウマが蘇り。声が少し大きくなった。
生前、ポニーに乗った事があるがそのポニーが後ろ立ちになり、見事に落下した思い出がある。
「では相乗りと行きましょう。キース行けますか?」
「はい、お任せを」
「では我々も準備のためこれで、準備が整い次第南の門へ急ぎ起こしくだい」
騎士2人は集合場所を伝えると足速に去っていった。
マリも大きく息を吐きイクスを見た。
「そういうわけなので、今日の夜ご飯はとりあえずキャンセルでお願いですー」
「はい。分かりました」
「ネェージュもお願いねーいつもより敵も一緒に動く人いるけど、上手く戦おうねー!」
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