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転生 始まりの街

目覚め

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ぐるぐると体を巡る暑さが減っていく。環境の変化と疲れで熱が出た。
その結果、体が栄養を求めて魔力を増幅させたらしい。

頭の中では文明の違いと、慣れない魔物狩りの疲労という文字が浮かんでいる。

そう結果を出したのは騎士であり治療師と名乗ったアルヴィンという男だ。治療師とは彼女がよく知っている言葉で医者と言えばわかると頬擦りをしているホワーフォオウルという魔物でマリの従魔ネェージュが教えてくれる。

ネェージュが連れてきてくれた治療師のおかげで回復することができ、あとは余分な魔力を器の中に収めるために彼を通して、吸石に送りそれを魔石に変えるという。

わたしの場合水の魔石になるみたい。

これもネェージュが教えてくれた。

「じゃあ、僕たちは街に帰ります。けれど、何かあればこの子を使いに出してくれれば大丈夫ですから体が楽になるまでそれを握っていること、絶対です」

握っていれば無理しなければ動いてもいいらしいということを伝えられ、きれいにお辞儀をして出て行く。

気配察知を使い結界の外まで行くまで四人の騎士を追い、外に出たことを確認して息を吐き出した。

「あーびっくりした。目が覚めてた、綺麗な顔があって心臓に悪かったよー」

柔らかい声が部屋の中に響いた。

暑さと苦しさが和らぎ、意識が戻ってゆっくり目を開けると映ったのは。ネイビー色の短く清潔感ある髪に空を写したような瞳にキリッとしたまつ毛につられるように形のいい瞳、凛とした話す時。

漫画やアニメの登場人物なら人気が出そうな人物だ。

「叫ばなかっただけいいよね」

実際は声にならなかっただけだ。

水やら食べ物やら甲斐甲斐しく世話されたが熱に思考回路を奪われた頭は何も感じなかった。

「よし、この石ももう良いかな」

コトリと石を置き、クローゼット代わりにしている隣の小さな部屋に行き、着替えを取り出して一階に降りて行く。もちろんネェージュも一緒だ。

浴室まで着くと鼻歌混じりに呪文を唱えた。

「ふーんふんウォーター。この浴槽に水を溜めましょう♪」

呪文に反応して、虚空から水が流れてきた。

久々のお風呂に気分がいいのか、頬が緩んでいる。ネェージュはその頬に嘴をくっつけて甘噛みをする。

「ここの止まり木に、居てね濡れちゃうから」

いつのまにか肩に乗っていたネェージュを山の中で枝を集めて初めて作った止まり木にゆっくりと降ろし、浴槽の横にある魔石に魔力を流すとシジッポンという音が聞こえ、火が浴槽を温めるためにつけられたと知らせた。

「この一ヶ月でだいぶ慣れたよね。あっちなら押すだけで火が出るのに、属性がないと火が使えなくて魔石に魔力を流す練習を一日中やったっけ?」

水が湯船の7分目まで満たすと指揮者が音を止めるために手を握るようにすると水が消えてなくなる。

「ネェージュがいなかったらここの用意された家での生活も困ってたよねー」

「ホォー」

ひと鳴きし、当然よと胸を張った。
その仕草に口元が緩むマリは服を脱ぎ、お湯の厚さを確かめてまさに触れない程度の近さで手をスライドさせ、魔石の力を止めた。

ジャポンと音を立てながら湯船に浸かり深く息を吐いた。
「死んで、一ヶ月、生まれ変わって一ヶ月……か」

久々のお風呂という安らぎに、これまであったことを思い浮かべ、湯船に体を預け力を抜いて天井を見上げた。

ソルちゃんなんとか生きてるよー
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