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憑依先選び

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整備系ロリ、補給系ロリ、魔力タンク系ロリ、脳筋系ババア、政治系グラマラスババア、事務系ロリ、また事務系ロリ、またまた事務系ロリ、事務系巨乳ロリ、器用貧乏貧乳女騎士、近接系巨乳女騎士、射撃系ロリ、etc

「ってあんまりろくな奴がいねぇな! ロリが多い! でもゲームで見た奴が何人かいる! おぉ! いたいた! マリア~~!」

女神が憑依先を選べと言われたので学園の新入生達の能力値や適正値を一覧で見せてもらった。

女神も話してみれば殺伐とした性格というかフランクな感じだったので俺もなんとか気持ちを落ち着けることができた。

いや異世界転生とかマジかよって感じで冷静とは言えねぇけど、なんとかって感じ。

そんなわけで転生か憑依かさせられるらしいやつの一覧を見させてもらったわけだ。
その中には滅びゆく国の志願兵なんていう無能共の中で光り輝く原石って奴がいた。

俺のプレイしていたアバターキャラクターでもあるマリア・ドゥクスである。
マリアの適正値は言うならば天才である。

そのせいで周りが無能に見えてしまう超が付く強キャラである。 

見た目性格の設定は一言で言えば天才巨乳金髪女騎士である。
しかも公爵令嬢でありかなりの財力、権力も持っている。
王の次かその次ぐらいのパワーを後ろ盾として持ってるわけだ。

権力は学園に入ればあまり関係ないけど、財力のほうは大助かりだったなぁ。

くっころとは言わない無敵系の女騎士である。
あと若干キャラ被りをしているこの女神様よりも胸がでかい。

「あぁ、言い忘れていたが選べるのはその中の幼い少女、あなたの世界で言うロリ、だけだからな。一応新入生一覧には目を通したほうがこの先やりやすいと思ったのでな。まぁしっかりと選んで欲しい。質問もあればここでじっくりと答えようじゃないか」

そう女神様は宣いやがるのだった。
おぉ……マリアが選べない……なぜ。

「幼いと戦闘系ステータスの伸びが悪いんだが?」

「その分魅力や知力、社交系のステータスが伸びやすいだろう。いかに英雄といえど単騎では時間稼ぎもできまい」

どうやってそんなステータスで魔物と戦えって言うんだよ。
数十分機体を動かしたら死ぬようなステータスが人類の防波堤とかちゃんちゃらおかしいぜ。

どの道カンストさせるが初めから戦えるステータスの方がいいだろうがー!

実績もないロリの言葉など誰が聞くのだ!

とは思ったがこれから効率的に鍛えればいいだろうとしか言われなそうだから黙って続けて質問しよう。

「なんで子供だけなんだ。発言力的にもさ」

なぜマリアを選べないんだ!
ある意味同じ質問だった。

「器として無垢な方が良い、ただでさえ男の魂を入れるのだからな。選べない事はないがあなたの魂が壊れる恐れもあるからロリ以外許可する事は出来ないのだ。あと発言力など、あの世界では子供も大人もそう変わらんだろう」

魂ねぇ、ファンタジーだな。
ちなみにこの場合のロリは12歳以下のようである……ロリじゃなくてペドやでこれわ。

「なんだか魂とかファンタジーなもっともな理由で……。で、支援というには女神様は何ができるんだ」

「人類が生存する可能性に影響するキーパーソンを教える事ができるだろう。わかりやすく言えば誰それを生かせ、殺せ、この魔物は危険だ、危険じゃないなどの情報も教えることが出来るだろう。あとは一般的な常識なども当然教えることができるだろうな」

「よく……わかった」

しょぼい、神として出来て当たり前な事だな……質問する気がなくなるぜ。

「もう良いのか?」

「とりあえず憑依先の情報を隅から隅まで見させてもらう、しっしっ」

そう言って俺は女神様に手を振って女神様を追い払った。

「あなたは口も性格も良くはないようだな」

距離を取りつつ女神様はそう言いやがる。
こうして誘拐するわ制限かけるわ、神ってのは酷い奴だな。

まぁ異世界楽しそうだからいいけどよ。

「そんな事は知ってらぁ」

「フッ、さすが英雄たる者、器が大きい。心強いものだ」

それにこうして俺が何言っても動じない、笑うだけだし神というものは……まったく。

それからしばらく憑依先の情報を漁った。
情報と言っても簡単なプロフィールと成長適性、つまり向いてる事とかしか書いてないけど。

そんな中で俺はふと疑問に思った。
この中の子供のうち1人をまず初めに俺という人格で殺すわけだなと。
転生、憑依というものはそうだろう。

そう思えば、自然に出てくる疑問があった。
まぁこればかりは聞いておくべきだろう。

「ところでよ、女神様にとって人類はそこまでして守る価値があるのか?」

俺はそう尋ねる。
まぁどうして俺なんかを異世界に憑依させるんだって事だな。
いくらゲームで知ってようがなぁ。
こんなわざわざ世界を超える誘拐なんて事までして守る理由は知っとくべきだよな。
内容次第じゃクソ女神として誘拐された俺は復讐鬼になるぜ。

「ふむ、良い質問だな。さすが英雄といったところか」

さっきまで英雄たる者よとかいってたけどいつから英雄に確定されたんですかね……その英雄推しは一体なんだ。
確かに式典で勲章もらったけどゲームの話だ。
勘違いもやめて欲しいんだよな。

「まぁはっきり言えば価値などない。英雄たるあなたの方があの世界の大部分よりは価値というならばあるだろうな」

え……それはなんだか嬉しいんだが悲しいんだか複雑な気持ち。

「え、そうなの。なのに世界を救えってのかよ。俺はてっきり愛する人類、私にとって子供のような存在だ~とか私と力を合わせて助けましょうとかなんとか言われるのかと思ったんだが……というかそんな感じの話じゃなかったか」

聞いておいてよかった。
よくわからないまま異世界に行くことになってたぜ。

「いや、あなたを異世界へと誘拐のような事をしてしまう事は申し訳ないし、是非とも救ってもらいたいが、そのような
人間じみた感情の話ではない。あなたは英雄たる者だ。この世界を楽しんで欲しかったのだがな……さすがに説明不足だったか。そこまであなたが気負う必要は何もない。あなたは英雄たる者、つまらない事はそこまでやらなくていいだろう、その結果人類が滅んでも人類の自業自得だからな」

「な、なるほど? 俺はただエンジョイすれば良いってのか。今から超リアルのゲームをやるように思えばいいのか」

「まぁ、そうなるのだろうか。だからゲーム中に呼んだわけだ」

いや、無理だろ。
気負うわ。
神ってやつは……と思うのは何度目だろうか。

でも憑依するのはやめない。
楽しみなのは楽しみなんだよな。
好きなゲームが現実になるというのなら、人殺しも厭わない狂人なのか俺は。

「好きにして欲しいのだよ。いや、こういうと誤解を受けるかもしれないが、私も彼らを大事に思ってる。だがどのみち魔物によって殺される彼らだ。英雄たるあなたが好きにしてもそれは彼らがあなたに殺されたということではない。どういえば良いかわからないが、あなたには楽しんで欲しいのだよ」

女神様の言うことはよくわからないな。

その後も神と人間の間にある圧倒的なこのどうしようもない溝はいくらそのあと話しても埋まらなかったぜ。

「まぁ、楽しんで過ごすぜ」

結論はヒャッハーだった。

人間には神を理解できないし、神は人間のことを理解したとしても人間にそれを伝える事は人間が劣っていて神が伝えようとしていることを理解できない。

結果理解し合う事は無理だろうという事は愚かな人間として理解できたぜ。

「あぁ、どうか世界を救って欲しい」

まだ言ってるし。
だが俺的に翻訳するとしたら、

「あぁ、どうかこの世界を楽しんで生きて欲しい。きっと楽しめるだろう。そして世界は救われる。救われなければそれはそうなるべきなのだ」

こんな感じなのかな。
女神様が言うには俺が普通に暮らせば世界は救われるらしい。
まぁ好きなゲームだしな……いやいや、そんなんで救われるわけないし滅ぶんだろこの世界……とは思うのだが。

救われるの定義も何もかも違うようだな。

まぁそんな先の事を考えても仕方ない。

俺はロボットがリアルにあって、戦える世界に行くのを楽しめば良いのさとお気楽に結論づけた。

というわけでこうして俺は過酷な乙女ゲーの世界に転生する事になった。

ちなみに俺が選んだ憑依先はハーフエルフとして生まれ、差別と偏見の中、孤児院で育ち、その魔力量に目をつけられ徴兵される事となった女性パイロット候補生である。

まぁ簡単に言うと孤児院から厄介払いされ死地に送られる可哀想な少女というわけだ。

これでも死んでないだけ今から行く世界からしたらまだ幸運な少女かもしれない。

パイロット候補というのも、もしパイロットになればかなり高待遇にはなるからな。

うーん、なんとも厳しい世界だぜ。

パイロット、候補なのは下手すれば事務とか歩兵とかに回される可能性があるからなんだけど。

不幸なハーフエルフだ。
魔力が取り柄のつるぺったんロリで歳は9歳である。

立場はアレだが寮生活の学園に入ればどうとでもなる。
俺がこの少女を選んだ理由としては魔力が多いのは何にも勝るメリットだからなのだ。
多いとは言ってもマリアを少し上回る程度の魔力だがな……うん、天才を上回るなら十分多いぜ。

まずは先立つモノとしてぱぱっと金策をしたいがゲームのようにはいかないだろうどうなることやら……。

「ではデュープラ国人類防衛女学園の入学式、その会場へと向かう生徒候補生のロリエルに憑依させる。英雄よ、ロリエルとなったあなたと話すのを楽しみにしているぞ」

憑依先の少女は名前もアレだったが異世界にロリという言葉はない。
忘れて安心して楽しもう。

転生後もこの女神と話す事になるのは少し気が重いな。
人類救済とか考えるのなんて胃がいくつあっても足らないし……。

あとさらば俺の息子よ。

さぁ!
こんにちは、俺の娘よ!
待ってろよ人型ロボット!

そんな事を考えながら光に包まれて俺の意識は遠くなっていった。
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