ムーンダンジョンのマスターは支援できるか

7576

文字の大きさ
上 下
13 / 33

8話目ダンジョン増築!

しおりを挟む
「そっかぁ……やっぱり高すぎるよねぇ」

「そうではありませんわ!ですが我々アースに住まう下等生物にとって500万は高すぎると考えてしまうのですわ。そう、ムーン様としては払えて当然ということはわかってますの。ただ我々は単なるダンジョンマスターであって、このような天界に住まわれるムーン様にお会いできるというなら500万でも妥当ではあると私は思います。ですが何分、私達下界の者は、それもこの素晴らしさがわからない無知なる者にとっては500万DPは高すぎる! 知らしめる為にももう少しお安くなればムーン様の素晴らしさをきっと理解できるでしょう!あ、神々の知識は安くする必要はないですわよ?」

「いや、だから神様じゃなくて僕も普通のダンジョンマスターだからね……異世界から転生させられたって言ったよね」

「ええ、ええ、わかっておりますわ。わかっておりますとも。あ、ではそろそろ私は帰らなくてはなりません。ではまたムーン様」

そう言ってとても拝み倒したあとお土産の月の砂に頬ずりしながら青い髪をした見た目美少女のエリアスは満面の笑み()を浮かべてアースに帰った。

エリアス、彼女はノブナガマネーでダンジョンを改築しようとしたところにやってきた第2のお客様だ。
僕のことをお忍びでダンジョンマスターになった神様か何かと思い込んでいるみたいで……少々苦労した。
下手に来られたからノブナガさんよりは幾分話しやすかったところはよかったかな。

まぁおいおい誤解は解けるだろうと思いたいね。
それまでは呼び捨てにしとこ。

「ふぅ……ダンジョンマスターって変わり者が多そうだよね」

「どうぞ、エリアス様から捧げられた茶葉を使った紅茶でございます」

「ん、ありがとう……捧げられたってふざけてる?」

「いえいえ、神であらせられるムーン様にそのような戯れは畏れ多いことかと」

「はぁ……美味しいねセバス」

「はい。香り高く、高級な茶葉かと」

「セバスの魔法を使った淹れ方のおかげもあるだろうけどね」

「ありがとうございます」

ということで、エリアスとの相談も踏まえた上で客寄せの為に新しい施設を作ろうか。

頭の中で考えるとダンジョンマスターの不思議感覚で眷属を考えたり、内装を考えたりすることができた。

「侵入者がいないと簡単にできるみたいだね。あとはぽちぽちっと買って、パパッと念じて、ググッとこうねって感じでやればいいのか。わかる?」

「私にはさっぱりわかりかねます」

「だよねー、じゃあさっそくやっていくよ」

上に手をかざす。

すると上空を覆うように新たな壁が広がっていく。

完全に覆ったあと、透明化させた。
出費の事は考えないのだ。

「うんうん、いい感じ」

「これがダンジョンマスターの力、実際に見るとやはり素晴らしいものです」

いい気分になって周りに手をかざす。

数々のお酒や味付きスライムを置いておく棚とバー風のカウンター、テーブル、イス、魔法のキャンドル、グラス等がどこからともなくあらわれる。

「おおー、楽しい! そして眷属召喚!おぉ演出込みだねぇ!」

魔法陣が広がり、人型の月の砂でできた人形が3体ほど地面から生えてきた。
もちろん中にはスライムが入っている。
この眷属は泥人形みたいなイメージで、スライムと人形部分がほとんど融合しているような感じだ。

お値段一体1万DPほど。
ただの雑魚である。
太陽光発魔機能でもつけようと思ったけど、高価だし生み出されるDPは少なそうだしで、つけたとしても宇宙空間に耐えられる眷属にだなと思ってやめた。

まぁそもそも太陽光発電はあんまり好きじゃないので別のをつけようかとも思ったけどなぁ……核分裂とか核融合とか真空エネルギーとか……まぁDPが足りないけどね。

DPを生み出すためにDPが必要で、その分をほかに使ったほうがもっといい事ができそうな気がしなくもないけど、客に頼らずに維持できる程度にはDPを自前で生み出しはしたいから悩みどころ。

ちなみにイメージが正確なほど安くなるみたいで、真空エネルギーとかSFドラマで聞いた程度なやつとか使うには一兆は軽く超えそうだね。
逆にその程度で作れていいのだろうかとも思うけど、魔法もあるし神様がこの世界をコントロールしてほしいって言ってたしなぁ……。

「どうかされましたかムーン様」

「おっと、暗くなるところだった。大丈夫だよ。えっと、ウェイト君一号、二号、三号!よろしくね!」

考えても仕方ない事は先送りして挨拶をした。
挨拶は大事だ。

「「はい、マスター」」

彼らはエレベ君よりはマシな、ある程度は会話ができる知能を持っている。
 
こうして一気に作れるとすごくテンションが上がる。
一時期流行った家を作ったりサバイバルしたりする系のゲームをリアルにやれてると言えばわかりやすいかな。

「うん、できたね」

僕とセバスはウェイト君達を置いてエレベ君のところへ向かった。

少し飛び歩いたあと、エレベ君に乗り込んだ。

「二階へ頼むよー」

了解ですーという意識がわずかながらに伝わってくる。
しかもプルプルと震えて了解を示すエレベ君。
あまり震えられると箱が揺れてる訳でちょっと怖かったりする。

そして二階に降りたつ。

「ここが新フロア! 展望台フロア! 下にいる客が見えるだけで特に変わってないけどね。あっちからは見れないようになってる。ん、そうなるとさっきのところが新フロアだね。あっちをバーフロアと名付けよう!ここの下は従業員フロア(仮)で地下は神殿フロアのままだね」

「ここは素晴らしい眺めですね」

フロア命名をスルーしてセバスはそう言ってくれたけど、ダンジョン全体で見たらバーの明かりは小さい。
一クラスちょっとぐらいだ。

まぁ下にいるよりは周りの月の地面を眺められるのはいいね。

でもまだまだだね。

地下にも色々と作りたいけど、客寄せして、DPを貯めて自給自足できるようになるまではあのままかな。

領域拡張なんてのは先の先だね。

「うん、これでひとまずは改築完了かな」

ちなみに、このあとセバスにはパラソルやら椅子やらをここまで運んできてもらった。
ウェイト君達の教育もお願いしておいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

自由気ままな生活に憧れまったりライフを満喫します

りまり
ファンタジー
がんじがらめの貴族の生活はおさらばして心機一転まったりライフを満喫します。 もちろん生活のためには働きますよ。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

過程をすっ飛ばすことにしました

こうやさい
ファンタジー
 ある日、前世の乙女ゲームの中に悪役令嬢として転生したことに気づいたけど、ここどう考えても生活しづらい。  どうせざまぁされて追放されるわけだし、過程すっ飛ばしてもよくね?  そのいろいろが重要なんだろうと思いつつそれもすっ飛ばしました(爆)。  深く考えないでください。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

処理中です...