ムーンダンジョンのマスターは支援できるか

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3話目 直感で決めました

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(んーダンジョンの中に森や海岸を作ったりは少し難しそうだ。なんだかカメラ操作してみるとアリの巣の3Dを見てるみたいだな)

僕は試しに建物を作ってみようとまず今のダンジョンを撤去して頑丈そうな建物ということで核シェルターを想像してみた。
すると「材料が足りませんマーケットで購入してください」と表示されてしまった。

(なるほど、右上に表示されてる木やら鉄やら石やらしかないんなら作れないか。というかマーケット?)

画面を隅々まで見ると右下の縁に小さく「マーケット」と書いてあった。

マーケットを開いて説明を見ると、どうやら他のダンジョンマスターとダンジョンの中にあるもの全てを商品にして商売をすることができるらしい。
しかもすごいのはその商品の説明欄に嘘を書けなかったり、契約の絶対強制だったり色々なことができるらしい。

もちろんそのほとんどはDPを使うことになる。
商品が生命体の場合は1㎞、1DPで非生物の場合は輸送費がかからないのが救いと僕は思った。
ちなみに機能している魔石をその体に持っているかどうかが生命体の範囲らしい。

(マーケットの品ぞろえは中世レベルしかないから核シェルターは作れなさそうだね。商品の感想欄で交流をとっているのは面白いな。でもまぁこれで大体の設定は確認することができた。マーケットを知れたのはすごく大きい)

僕は最後に「名前の入力」を確認した。

これを最後にしたのは面倒だったからじゃない。
自分の名前に少々苦手意識があるからだ。

僕の名前は僕・月。

冗談みたいに聞こえるかもしれないけれどぼくという苗字につきという名前だ。

昔は俺とか私という一人称を無理して使っていた時期があったけど高校生ぐらいになればそんなのは気にしなくなってくる。

まぁ話を戻して

(まぁ高校生にもなって軽くいじめてくる不良共にはよくこの名前をからからかわれたけどもうそんなこともないか)

僕はこの現実に早く慣れようと名前に月ではなくムーンと、ムーン・ボクと入力した。

(異世界は姓と名逆とは西洋か。やっぱり日本語でおけと言いたいものだけど、そんな違和感捨て去らないとな)

冗談みたいな名前になったけどそう思うのは僕自身に失礼だ。
これが新しい僕の名前だ。
僕だけに。

なんて余裕を取り戻してきた僕の耳に神様の言葉が入ってきた。

「あと10分にしようか」

教室の空気が張りつめた。

僕は考えた。
思考が広がった。

(異世界に転生するんだ。さっき吐いてたオタクの彼ならどうする。彼に勧められて僕も転生物を読んでいた。ああ、そうだこういう時主人公はこ隠し画面とか外れ技能とかを独自に生かしてチートハーレムを作っていた。彼もそうするのだろうか。いやしないだろう冷静に無難な選択をするに違いない。いやいや違う違う。彼がとかどうしたらとかじゃない。僕がどうしたいかだ。異世界でダンジョンマスターとして生まれて僕がどのようにしたいかそれで決めるしかない。こうして悩ませて『実はドッキリでした』とか残酷にも「まぁこの選択は意味ないんだけどね』とか言われるのかもしれないけど、僕がどうしたいかだ)

「やっぱりあと五分にしよう」

神様がなんか言っているが頭に入ってこない。
思考を深めていくと思いのほかすぐイメージが固まった。

(どんな異世界か具体的にはわからないから僕は力をつけたい。それまでの間誰にも干渉されたくない。誰もいないところで自由に力をつけたい。でも孤独は嫌だ。幸いマーケットもある。いやそもそも僕はそんなに生きようとすることに執着はないように思う。死にたくはないけれど、これってニートまっしぐら、確かに僕の夢は高等遊民になることだけれど)

思考がわき道にそれ出したが決まったイメージを画面に念じる。

「ダンジョンの立地」

「注意!選択されたエリアまたエリア外半径????kmにおいて生命体が存在してません。DPを得る方法や眷属の生存が限られる為に選択の際は1000万DPが与えられますが推奨されません」

「眷属の種族」
「スライム、ゴーレムを融合『人形スライム』となります。『人形スライム』はスライムとその中にスライムが入ることのできるゴーレムを生み出せます。必要DP1万」

「ダンジョンの構築」
「構築完了、眷属の配置完了、商品の配置完了。DP消費一日2万、通常予想一日維持消費DP訳5万、必要DP990万500DPとなります」

(ふー、できたー!)

「うん、まだ五分経ってないけどこれで時間切れにしよう。とはいってもみんな一応は決め終わったみたいだからね」

シーンと静まり返る教室。
いや、もともと静かになっていたけれどほとんどの人が必死に手を動かしていたからなんだか静かになったように思っただけだ。

そんな教室に神様は首をかしげる。

「ああ、喋っていいよ。君たちに会うのもこれが最後だろうしね」

教室が少しがやがやし始める。
佐藤賢治が神様を見ながら手を口に持って行こうとしたのをみて僕は声を上げた。

彼は神様に罵声をかけようとしてるのだと僕は思ったからだ。

「ああ、喋れますね!」

大声を上げたのが良かったのか教室の皆の視線が僕を向いた。

「いや君は元から喋れるんだけどね」

神様が呆れながら答える

「ああそうだったんですか」

僕と神様がそんなやり取りをする中、勇治が声を上げた。

「月が図太いのは置いといて。最後なんだったら聞いておきたい! 神様なんだろなんでこんなことをする!先生はどうなったんだ!」

やっぱり勇治は勇治だった。
文章ではわからないけれど彼の言葉には神様を攻める雰囲気はない。
ただ理由を訪ねている。
彼は疑わしきは罰せずなのだ。
最初、神様は優しい神様には見えなかったけどこの設定を進めていくに、丁寧な説明をしていた。
最初の印象があったせいでそれさえもおぞましさを感じさせもしたけれど考えてみればあの先生を殺すようなものがこんなにわざわざ丁寧に説明したりするだろうか。

神様は言った。

「ああ、理由は言っても理解できないさ。感情ではなく理性的に不可能なことなんだ。それとあの凄くいい先生は死んでないよ。あんな人間殺すわけないよ。君たちが見たのはトリックさ。異世界ではたくさん血をみるだろうからね。あはは。じゃあね」

先生が死んでなかったことに安心した。

じゃあねの一言で凄まじい眠気が僕を襲った。

「そうか。良かった。だけどその笑い方は神様に似合わないとおも……」

そんな勇治の声を最後に僕の意識はなくなった。
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