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14話目 戦闘?
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追ってきてるよ! あのエルフ!
何かしらの方法で僕の位置を掴んでいるのかエルフは真っ先に僕のところへ向かって来ていた。
エレベ君の通る縦穴に続く透明の扉なんて意味がなさそうだったから直ぐに透明化を解除して開いておいた。
壊されたくないしね。
ダンジョンマスターはダンジョン内の仕組みをどこからでも動かせるという事にいまさら気づく。
そしてさらに気づく。
「ってそうだよ。なんでエレベ君に乗っているんだよ。エレベ君ごめん」
僕は転移して地下にたどり着いた。
それと同時にエレベ君はムキムキエルフの蹴りを食らって亡くなった。
僕はリボルバーを持たせた、ウェイト君よりは少し動きが素早い泥人形の兵士君を召喚しておく。
僕も可能な限り装備しておこう。
多くのリボルバーに狙われながらエルフがゆっくり歩いてきた。
「ここまでですよ。悪魔の子」
「悪魔の子って? 随分酷い名前だ」
異世界に連れてこられて悪魔の子と呼ばれるなんて最悪だ。
「僕の名前はムーン。このムーンのダンジョンマスターである。あなたの名前を聞きたい。アースからの客人よ! 僕に敵意はない」
未知の人物とはコミュニケーションが必要だ。
ここで殺されるわけにはいかない。
堂々と胸を張って自己紹介だ。
死にたくない。
作戦1友好的コミュニケーション。
作戦2a対象の無力化。
作戦2b魔法による精神支配。
作戦最悪全DPを注いで核爆弾を作り自爆。
である。
「私の名前はマクシオン・オーヴェル! ハイエルフ連合の転移術士だった男だ! 人を食べる者がマスターを騙るな!」
エルフ改めハイエルフ、マクシオンはそう言っていきなり襲いかかってきた。
全く訳がわからない。
「足を狙って撃って!」
兵士君達がマクシオンをそれぞれ狙う。
僕も転移を駆使しながらマクシオンの足を狙う。
足なら魔法がある世界だあとあと治す事もできるだろう。
「話をしましょう! 僕に敵意はないし人を殺した事もない!」
だがマクシオンは話も聞かず駆け、銃撃を避ける。
「やはり油断してはいけない相手でしたね。点での攻撃で私を倒せるとは思わない事です。英雄級ならば死んでいましたが、私は軍団級の戦闘力を持っていますから」
「だから話を聞いてよ! 僕はそんな悪魔みたいな事はしてないし、ダンジョンマスターの意味がなーんか違くない?」
「神の翻訳は絶対です。単転移戦闘術式、妨害術式、封印術式」
僕の話は無視され、ハイエルフの周りを魔力の文字が踊っていく。
「僕は異世界から来た普通の高校生で、ここで僕を殺しても貴方は息もできないこの星で死ぬことになる!」
マクシオンは転移を使って兵士君を次々に倒し始めた。
ブォンという音と青白い光とともに兵士君の隣に現れ一発殴る。
またブォンと別の兵士君の隣へと……兵士君は次々に倒されていく。
「身体強化!」
僕は魔法を使う。
そして転移しようとする。
「転移ができない?」
だができなかった。
「転移妨害術式を使ったのを見なかったのですか?」
すぐにマクシオンは転移で僕の前に立った。
リボルバーを撃つが簡単に避けられる。
「その武器は対処しやすいですね」
転移もできず兵士君は殺され、銃も効かない。
もう僕にはなすすべがない。
核爆弾を作ろうとしたが眷属を生み出せなくなっていた。
「なんで……」
「封印術式も使いました。これであなたは何もできない」
まだだ。
考え続けろ僕。
僕は火炎を放射する魔法と同時に相手を洗脳する魔法を想像する。
だがマクシオンの体の周りを文字が踊った後その魔法は消え去る。
強化されたこの体で殴りかかったが容易く殴り返された。
結局僕はこのハイエルフに何もできなかった。
「う、うそだ……」
そう言う僕の目の前でハイエルフは無言で僕の心臓を取り出した。
僕の体は光の粒となって消えていく。
けれど意識も五感もなぜかしっかりとしていた。
今やルビーのような拳大の宝石の心臓が僕自身だ。
僕を持っているハイエルフの手の感覚と味が伝わってくる。
(最悪だ)
ハイエルフの疲れ切ったような顔がすぐ近くに見える。
僕は殺される。
そう覚悟を決める事なんて出来るはずもなかった。
仮初めの覚悟が崩れ去って、今はすごく怖い。
もう少し早く恐怖を持っていれば、何かが変わったのだろうか。
いいや、僕はベストを尽くしたはずだ。
花火君なんか作らずに防衛策を取ったとしても勝てはしなかっただろう。
後悔はないと言える。
悔しかったり怒りなんて湧いてこない。
ただ怖い。
もう震える事も漏らす事も涙だってでない。
もう何もできない。
どうしようないこの状況。
それが酷く恐ろしい。
そして虚しく悲しかった。
「少し話をしましょうか」
マクシオンはそうポツリと言った。
何かしらの方法で僕の位置を掴んでいるのかエルフは真っ先に僕のところへ向かって来ていた。
エレベ君の通る縦穴に続く透明の扉なんて意味がなさそうだったから直ぐに透明化を解除して開いておいた。
壊されたくないしね。
ダンジョンマスターはダンジョン内の仕組みをどこからでも動かせるという事にいまさら気づく。
そしてさらに気づく。
「ってそうだよ。なんでエレベ君に乗っているんだよ。エレベ君ごめん」
僕は転移して地下にたどり着いた。
それと同時にエレベ君はムキムキエルフの蹴りを食らって亡くなった。
僕はリボルバーを持たせた、ウェイト君よりは少し動きが素早い泥人形の兵士君を召喚しておく。
僕も可能な限り装備しておこう。
多くのリボルバーに狙われながらエルフがゆっくり歩いてきた。
「ここまでですよ。悪魔の子」
「悪魔の子って? 随分酷い名前だ」
異世界に連れてこられて悪魔の子と呼ばれるなんて最悪だ。
「僕の名前はムーン。このムーンのダンジョンマスターである。あなたの名前を聞きたい。アースからの客人よ! 僕に敵意はない」
未知の人物とはコミュニケーションが必要だ。
ここで殺されるわけにはいかない。
堂々と胸を張って自己紹介だ。
死にたくない。
作戦1友好的コミュニケーション。
作戦2a対象の無力化。
作戦2b魔法による精神支配。
作戦最悪全DPを注いで核爆弾を作り自爆。
である。
「私の名前はマクシオン・オーヴェル! ハイエルフ連合の転移術士だった男だ! 人を食べる者がマスターを騙るな!」
エルフ改めハイエルフ、マクシオンはそう言っていきなり襲いかかってきた。
全く訳がわからない。
「足を狙って撃って!」
兵士君達がマクシオンをそれぞれ狙う。
僕も転移を駆使しながらマクシオンの足を狙う。
足なら魔法がある世界だあとあと治す事もできるだろう。
「話をしましょう! 僕に敵意はないし人を殺した事もない!」
だがマクシオンは話も聞かず駆け、銃撃を避ける。
「やはり油断してはいけない相手でしたね。点での攻撃で私を倒せるとは思わない事です。英雄級ならば死んでいましたが、私は軍団級の戦闘力を持っていますから」
「だから話を聞いてよ! 僕はそんな悪魔みたいな事はしてないし、ダンジョンマスターの意味がなーんか違くない?」
「神の翻訳は絶対です。単転移戦闘術式、妨害術式、封印術式」
僕の話は無視され、ハイエルフの周りを魔力の文字が踊っていく。
「僕は異世界から来た普通の高校生で、ここで僕を殺しても貴方は息もできないこの星で死ぬことになる!」
マクシオンは転移を使って兵士君を次々に倒し始めた。
ブォンという音と青白い光とともに兵士君の隣に現れ一発殴る。
またブォンと別の兵士君の隣へと……兵士君は次々に倒されていく。
「身体強化!」
僕は魔法を使う。
そして転移しようとする。
「転移ができない?」
だができなかった。
「転移妨害術式を使ったのを見なかったのですか?」
すぐにマクシオンは転移で僕の前に立った。
リボルバーを撃つが簡単に避けられる。
「その武器は対処しやすいですね」
転移もできず兵士君は殺され、銃も効かない。
もう僕にはなすすべがない。
核爆弾を作ろうとしたが眷属を生み出せなくなっていた。
「なんで……」
「封印術式も使いました。これであなたは何もできない」
まだだ。
考え続けろ僕。
僕は火炎を放射する魔法と同時に相手を洗脳する魔法を想像する。
だがマクシオンの体の周りを文字が踊った後その魔法は消え去る。
強化されたこの体で殴りかかったが容易く殴り返された。
結局僕はこのハイエルフに何もできなかった。
「う、うそだ……」
そう言う僕の目の前でハイエルフは無言で僕の心臓を取り出した。
僕の体は光の粒となって消えていく。
けれど意識も五感もなぜかしっかりとしていた。
今やルビーのような拳大の宝石の心臓が僕自身だ。
僕を持っているハイエルフの手の感覚と味が伝わってくる。
(最悪だ)
ハイエルフの疲れ切ったような顔がすぐ近くに見える。
僕は殺される。
そう覚悟を決める事なんて出来るはずもなかった。
仮初めの覚悟が崩れ去って、今はすごく怖い。
もう少し早く恐怖を持っていれば、何かが変わったのだろうか。
いいや、僕はベストを尽くしたはずだ。
花火君なんか作らずに防衛策を取ったとしても勝てはしなかっただろう。
後悔はないと言える。
悔しかったり怒りなんて湧いてこない。
ただ怖い。
もう震える事も漏らす事も涙だってでない。
もう何もできない。
どうしようないこの状況。
それが酷く恐ろしい。
そして虚しく悲しかった。
「少し話をしましょうか」
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