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11話目 ダンジョンマスター談義
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僕は展望フロアで地球を眺めていた。
人を待っているのだ。
視線を下ろして見えるのはダンジョンマスター達がスライムを食べながら会話している光景。
セバスがうまく会話相手になっているみたいだ。
「お、来たかな」
その人物は地球を背にして現れた。
僕は元気に声をかける。
会いたかった。
「やぁ会いたかったよ。イクオ・トリアエズ!」
イクオからの連絡はすぐに帰ってきた。
そして我がムーンダンジョンに無料で来てもらうことにした。
転移代は僕もちだ。
出費は考えない。
ニュークスライムがなかなかいい感じであと何体か生み出せばこのダンジョンの維持費を稼ぎ出せるだろうし、客も来てる。
だから出費は考えないのだ。
ユウジからの返事はまだない。
名前を検索しても見つからないクラスメイトもいた。
僕のように名前を変えていると思いたい。
イクオの姿は制服ではなくレザーのように光る黒い服にこれまたレザーのように光る黒いコートをまとっていた。
何か雰囲気が違う。
「ムーン・ボク!俺も会いたかったぜ!とりあえずこれでも喰らえ!」
いきなりイクオはそう叫ぶと腰から何かを取り出した。
イクオの手に握られていたのはリボルバーだった!
「ちょ、まっ。何? とりあえずそのリボルバーっぽい何かを置くんだ!」
「うるせぇ!」
イクオが引き金を引こうとする
「や、やめ……」
僕は身構えた。
セバスはバーに行っている。
こんなことなら呼んでおくんだった。
「ってやっぱり無理そうだな暴力禁止されてるもんな。これもそうなのか」
そうイクオは言うとリボルバーを仕舞った
「な、そうだった……。ふぅー。って、いきなり何をするんだよ!」
ダンジョンマスターじゃなかったら僕は今頃漏らしていただろう。
銃口を向けられるというのはとても怖いということを僕は思い知った。
セバスを呼んでなくてよかったかもしれない。
これからは不測の事態にも外面だけでも堂々としようと僕は決めた。
「トリアエズ呼びされたのにカチンときたのと実験だ。足を狙ったからお前が死ぬわけじゃないしな。……そのあれだ。急にすまんかった。久しぶりに会えてテンション上がった」
久しぶりに会ったイクオはなんというかダーティでムーディな感じのやさぐれ感が出ていた。
「テンション上がったからっていきなり人を撃つ?」
「す、すまん。撃ってはないしな。これ自慢したかったし……」
だけどこうして怒っていても始まらない。
まずは会えたことを喜ぼう。
生きていてよかった。
「まぁいいよ。驚いたけど。気にしない」
「相変わらずツキ、ムーンのほうがいいか? ムーンは図太いな。いきなり銃を向けられたら俺なら漏らしてるし激怒して今頃殺し合いだな。いや、すまん。ありがとう、俺も会えて嬉しい」
イクオがコミュ障に……およよよ。
とふざけようと思ったけどコミュ障は僕もだしふざける感じじゃないよね。
「うん。気になるんだけどまだ異世界に来て一週間ぐらいだよね?何があったの? だいぶ雰囲気が変わってるけど」
こっちの方が重要だ。
すごい変化だ。
前のイクオはもっと弱気だった気がする。
「ん? この格好か、眷属だ。俺の眷属はレプリケイターとか言ってな。死ぬとこうなるんだ。結構強度があってあれじゃないか、カーボンナノチューブみたいな感じ。それにしてもまだ一週間なのか」
と言いながらマントや服をひらひらさせていた。
いや恰好の事だけじゃないと思うんだけど。
「さっきのリボルバーは」
「あぁ、これか、これも眷属だ。死後に好きなように固まれるんだよ。もちろん元となる素材にかなり影響を受けるけどな。自分のダンジョン潰して素材はたんまりあったし色々試してこうなった。手を何度か吹っ飛ばして開発に成功した。次は自動拳銃だな」
そう明るく話すイクオ。
手を何度か吹っ飛ばして……平然とそんなことを言えるだなんて。
「波乱万丈な一週間だったのかな」
「まぁそうだ。あまり言いたくはないんだか……」
ニヒルな感じでそう言うイクオ。
言いづらい時は話さなくても良いんだよ。
「じゃあ、いいや。大変だったんだね」
「え?そこは黙って聞くところだろ」
「言いたくないなら無理して言わなくていいよ」
「はぁわかった……まぁどのみち少しは話すことになるだろ、こうして呼んだからには」
「うん、そうだね。それじゃ、まぁ情報の共有といこうか」
「あぁ色々教えあうとしよう。ん、なんだよ?」
そういうイクオに僕はただ無言で後ろを指指す。
イクオは後ろを向き、地球を見る
「おったまげー!これでいいか?」
「この絶景を見てそんな反応だなんて……」
僕はそう言ったけれどイクオはもう一度振り向いて地球を見て言った。
「いやまじですごいな。綺麗だ。ん、下にいるのはダンジョンマスターか? 思ったより繁盛してんだな」
「今のところはね。これからは客は減るだろうね。それよりもこっちにきて座りながら地球を眺めると最高だよ」
僕は席を立って譲った。
客のことだけど、ノブナガさんが10年後とか言ってたしね、次第に客は減ってくだろう。
いつかはここに魔法を生かしたテーマパークでも作りたいんだけどなぁ。
「良いところだ。すげー、この椅子、最高の座り心地だ、気づいたら寝てそう。いいところだな、ここならエルフ達も来ないだろうし」
「そうでしょう。ん、エルフ?」
その後イクオからの色々な事を聞けた。
謎のエルフ達に雪国の魔物達、それにコミュニケーション可能な動物達もいたらしい。
イクオはエルフに備えて周りの魔物を狩りながらそういった動物達とも交流を深めだしたらしい。
イクオは自分の眷属の特色を活かしていた。
スノーモービルもどきも作ったらしい。
「すごいね。撃退して生き残ってるんだもん。話すペンギンやシロクマに会ってみたいものだね」
「おうよ。そうだ。これは再会を祝して俺からのプレゼントだ」
イクオはリボルバーをプレゼントしてくれた。
弾は50発ぐらいもらった。
今後欲しかったら買ってくれとのこと。
不特定多数に売る気はないがクラスメイトには売る気らしい。
あまり詳しくは聞けなかったけど、色々そういったことをイクオから聞けた。
僕のことも話す。
イクオの反応が面白かった。
「人形スライムはわかった。会話が出来る眷属だとここでも寂しくないだろうな。でもげ、原子炉が……ここに?」
「原子炉は核爆発はしないし、放射能は眷属だから出て来ないようにしてるし。放射線だって防いでいるはず、多分」
「た、多分って」
「魔法で放射線を防げなかったら今頃僕らは宇宙線に晒されているだろうし、それに外に出ても僕の体に何も起きてないんだから何も問題はないよ、多分。ダンジョンマスターは化け物だから大丈夫」
「そ、そうか?」
核兵器についての危険性については合意に至った。
地上ではイクオも作らないらしい。
「作ろうって発想自体出てこねぇよ。危ないだろ! そもそもダンジョンなのに核シェルターを望むっておかしいだろ!普通は街を作ったり悪辣な罠を作ったりするんだよ!」
という核に関しては真っ当な意見をいただいた。
でも僕は作るだろうね。
せっかくムーンに居るんだから。
「まぁムーンがそうなのは前からだな。で、話は変わるが、俺も外に出てみたいんだが。あぁ!人類にとっては小さな一歩だが俺にとっては大きな一歩だ。あれ?逆か。この体の軽さといいここが月いや、ムーンだってのがわかっちゃうよな」
そう言いながらおおーと何度かジャンプするイクオ。
僕たちはエレベ君に乗って外に続く扉へ向かう。
「エレベ君……」
「他にいい名前ある?」
「エレベーター、えっと自動昇降機、そうだ!ショウコちゃんとか」
少し揺れがひどくなる。
エレべ君の抗議だ。
「君だからね、ちゃんづけはないだろう」
「そこかよ! まぁ俺たちにネーミングセンスはないのかもしれんな」
イクオがそう言ったけどそれは違う。
「いや、僕たちにはあるよ。わかりやすくていいじゃないか。ちゃんづけはないけどね」
「そうか? そうだな」
その後眷属は男か女かという話をふざけながら会話した。
他のお客達の視線もあったけど特に気にしなかった。
そんなこんなで外に出ようとしたけれどエアロックモドキを抜けた後イクオは見えない壁に当たるかのように外に出れなかった。
無音で悔しがるイクオは面白かった。
「はぁ、なるほどな。ダンジョンマスターの転移で来ると外には出れないのか。あいつらはどうなのかわからんな。それに宇宙空間といっても俺らは本当に大丈夫だったな」
うーん、わざわざムーンにまで来ないとは思うけど僕もエルフ対策をしないといけないな。
それに地上への移動手段も考えないと。
地上から宇宙に出るのは大変だろうけど月からならそれよりは簡単だろう。
魔法もあるし。
送る方法だけでも考えないと。
マーケットで超長距離転移魔法が使える眷属売ってないかな。
売るはずないか。
「それにダンジョンマスターっていうと悪役ばかりで上品さとはかけ離れているかと思ったけどなんか貴族みたいな奴らなんだな」
イクオはバーの方に目をやりながら言った。
うんうん、もっと野蛮な感じの人の方が多いかもと思ってもいたけれど今のところお客の中で一番怖い感じの人はノブナガさんである。
「金持ちはどの世界も一緒なんだろうね、品がないと人の上には立てない的な感じ」
「そうかもな。見た目や肩書きで判断するもんじゃないと、世界が違えど人は変わらないってもんだな。ペンギンやシロクマも話せばいいやつだったし」
「本当に会ってみたいものだね。じゃあ戻ろうか」
展望台フロアに僕たちは戻った。
その後はエリアスに教えてもらったダンジョンマスターのカードゲームもどきを楽しんだりセバスを紹介したりした。
「だいたい話し終えたか。遊んだ時間の方が長かった気もしないが。俺も長くは離れられないから、ここらで帰るとする。じゃあな、元気で」
「うん、イクオも死なないように頑張って」
「あぁ、お前もな」
少し微笑んでイクオは転移した。
人を待っているのだ。
視線を下ろして見えるのはダンジョンマスター達がスライムを食べながら会話している光景。
セバスがうまく会話相手になっているみたいだ。
「お、来たかな」
その人物は地球を背にして現れた。
僕は元気に声をかける。
会いたかった。
「やぁ会いたかったよ。イクオ・トリアエズ!」
イクオからの連絡はすぐに帰ってきた。
そして我がムーンダンジョンに無料で来てもらうことにした。
転移代は僕もちだ。
出費は考えない。
ニュークスライムがなかなかいい感じであと何体か生み出せばこのダンジョンの維持費を稼ぎ出せるだろうし、客も来てる。
だから出費は考えないのだ。
ユウジからの返事はまだない。
名前を検索しても見つからないクラスメイトもいた。
僕のように名前を変えていると思いたい。
イクオの姿は制服ではなくレザーのように光る黒い服にこれまたレザーのように光る黒いコートをまとっていた。
何か雰囲気が違う。
「ムーン・ボク!俺も会いたかったぜ!とりあえずこれでも喰らえ!」
いきなりイクオはそう叫ぶと腰から何かを取り出した。
イクオの手に握られていたのはリボルバーだった!
「ちょ、まっ。何? とりあえずそのリボルバーっぽい何かを置くんだ!」
「うるせぇ!」
イクオが引き金を引こうとする
「や、やめ……」
僕は身構えた。
セバスはバーに行っている。
こんなことなら呼んでおくんだった。
「ってやっぱり無理そうだな暴力禁止されてるもんな。これもそうなのか」
そうイクオは言うとリボルバーを仕舞った
「な、そうだった……。ふぅー。って、いきなり何をするんだよ!」
ダンジョンマスターじゃなかったら僕は今頃漏らしていただろう。
銃口を向けられるというのはとても怖いということを僕は思い知った。
セバスを呼んでなくてよかったかもしれない。
これからは不測の事態にも外面だけでも堂々としようと僕は決めた。
「トリアエズ呼びされたのにカチンときたのと実験だ。足を狙ったからお前が死ぬわけじゃないしな。……そのあれだ。急にすまんかった。久しぶりに会えてテンション上がった」
久しぶりに会ったイクオはなんというかダーティでムーディな感じのやさぐれ感が出ていた。
「テンション上がったからっていきなり人を撃つ?」
「す、すまん。撃ってはないしな。これ自慢したかったし……」
だけどこうして怒っていても始まらない。
まずは会えたことを喜ぼう。
生きていてよかった。
「まぁいいよ。驚いたけど。気にしない」
「相変わらずツキ、ムーンのほうがいいか? ムーンは図太いな。いきなり銃を向けられたら俺なら漏らしてるし激怒して今頃殺し合いだな。いや、すまん。ありがとう、俺も会えて嬉しい」
イクオがコミュ障に……およよよ。
とふざけようと思ったけどコミュ障は僕もだしふざける感じじゃないよね。
「うん。気になるんだけどまだ異世界に来て一週間ぐらいだよね?何があったの? だいぶ雰囲気が変わってるけど」
こっちの方が重要だ。
すごい変化だ。
前のイクオはもっと弱気だった気がする。
「ん? この格好か、眷属だ。俺の眷属はレプリケイターとか言ってな。死ぬとこうなるんだ。結構強度があってあれじゃないか、カーボンナノチューブみたいな感じ。それにしてもまだ一週間なのか」
と言いながらマントや服をひらひらさせていた。
いや恰好の事だけじゃないと思うんだけど。
「さっきのリボルバーは」
「あぁ、これか、これも眷属だ。死後に好きなように固まれるんだよ。もちろん元となる素材にかなり影響を受けるけどな。自分のダンジョン潰して素材はたんまりあったし色々試してこうなった。手を何度か吹っ飛ばして開発に成功した。次は自動拳銃だな」
そう明るく話すイクオ。
手を何度か吹っ飛ばして……平然とそんなことを言えるだなんて。
「波乱万丈な一週間だったのかな」
「まぁそうだ。あまり言いたくはないんだか……」
ニヒルな感じでそう言うイクオ。
言いづらい時は話さなくても良いんだよ。
「じゃあ、いいや。大変だったんだね」
「え?そこは黙って聞くところだろ」
「言いたくないなら無理して言わなくていいよ」
「はぁわかった……まぁどのみち少しは話すことになるだろ、こうして呼んだからには」
「うん、そうだね。それじゃ、まぁ情報の共有といこうか」
「あぁ色々教えあうとしよう。ん、なんだよ?」
そういうイクオに僕はただ無言で後ろを指指す。
イクオは後ろを向き、地球を見る
「おったまげー!これでいいか?」
「この絶景を見てそんな反応だなんて……」
僕はそう言ったけれどイクオはもう一度振り向いて地球を見て言った。
「いやまじですごいな。綺麗だ。ん、下にいるのはダンジョンマスターか? 思ったより繁盛してんだな」
「今のところはね。これからは客は減るだろうね。それよりもこっちにきて座りながら地球を眺めると最高だよ」
僕は席を立って譲った。
客のことだけど、ノブナガさんが10年後とか言ってたしね、次第に客は減ってくだろう。
いつかはここに魔法を生かしたテーマパークでも作りたいんだけどなぁ。
「良いところだ。すげー、この椅子、最高の座り心地だ、気づいたら寝てそう。いいところだな、ここならエルフ達も来ないだろうし」
「そうでしょう。ん、エルフ?」
その後イクオからの色々な事を聞けた。
謎のエルフ達に雪国の魔物達、それにコミュニケーション可能な動物達もいたらしい。
イクオはエルフに備えて周りの魔物を狩りながらそういった動物達とも交流を深めだしたらしい。
イクオは自分の眷属の特色を活かしていた。
スノーモービルもどきも作ったらしい。
「すごいね。撃退して生き残ってるんだもん。話すペンギンやシロクマに会ってみたいものだね」
「おうよ。そうだ。これは再会を祝して俺からのプレゼントだ」
イクオはリボルバーをプレゼントしてくれた。
弾は50発ぐらいもらった。
今後欲しかったら買ってくれとのこと。
不特定多数に売る気はないがクラスメイトには売る気らしい。
あまり詳しくは聞けなかったけど、色々そういったことをイクオから聞けた。
僕のことも話す。
イクオの反応が面白かった。
「人形スライムはわかった。会話が出来る眷属だとここでも寂しくないだろうな。でもげ、原子炉が……ここに?」
「原子炉は核爆発はしないし、放射能は眷属だから出て来ないようにしてるし。放射線だって防いでいるはず、多分」
「た、多分って」
「魔法で放射線を防げなかったら今頃僕らは宇宙線に晒されているだろうし、それに外に出ても僕の体に何も起きてないんだから何も問題はないよ、多分。ダンジョンマスターは化け物だから大丈夫」
「そ、そうか?」
核兵器についての危険性については合意に至った。
地上ではイクオも作らないらしい。
「作ろうって発想自体出てこねぇよ。危ないだろ! そもそもダンジョンなのに核シェルターを望むっておかしいだろ!普通は街を作ったり悪辣な罠を作ったりするんだよ!」
という核に関しては真っ当な意見をいただいた。
でも僕は作るだろうね。
せっかくムーンに居るんだから。
「まぁムーンがそうなのは前からだな。で、話は変わるが、俺も外に出てみたいんだが。あぁ!人類にとっては小さな一歩だが俺にとっては大きな一歩だ。あれ?逆か。この体の軽さといいここが月いや、ムーンだってのがわかっちゃうよな」
そう言いながらおおーと何度かジャンプするイクオ。
僕たちはエレベ君に乗って外に続く扉へ向かう。
「エレベ君……」
「他にいい名前ある?」
「エレベーター、えっと自動昇降機、そうだ!ショウコちゃんとか」
少し揺れがひどくなる。
エレべ君の抗議だ。
「君だからね、ちゃんづけはないだろう」
「そこかよ! まぁ俺たちにネーミングセンスはないのかもしれんな」
イクオがそう言ったけどそれは違う。
「いや、僕たちにはあるよ。わかりやすくていいじゃないか。ちゃんづけはないけどね」
「そうか? そうだな」
その後眷属は男か女かという話をふざけながら会話した。
他のお客達の視線もあったけど特に気にしなかった。
そんなこんなで外に出ようとしたけれどエアロックモドキを抜けた後イクオは見えない壁に当たるかのように外に出れなかった。
無音で悔しがるイクオは面白かった。
「はぁ、なるほどな。ダンジョンマスターの転移で来ると外には出れないのか。あいつらはどうなのかわからんな。それに宇宙空間といっても俺らは本当に大丈夫だったな」
うーん、わざわざムーンにまで来ないとは思うけど僕もエルフ対策をしないといけないな。
それに地上への移動手段も考えないと。
地上から宇宙に出るのは大変だろうけど月からならそれよりは簡単だろう。
魔法もあるし。
送る方法だけでも考えないと。
マーケットで超長距離転移魔法が使える眷属売ってないかな。
売るはずないか。
「それにダンジョンマスターっていうと悪役ばかりで上品さとはかけ離れているかと思ったけどなんか貴族みたいな奴らなんだな」
イクオはバーの方に目をやりながら言った。
うんうん、もっと野蛮な感じの人の方が多いかもと思ってもいたけれど今のところお客の中で一番怖い感じの人はノブナガさんである。
「金持ちはどの世界も一緒なんだろうね、品がないと人の上には立てない的な感じ」
「そうかもな。見た目や肩書きで判断するもんじゃないと、世界が違えど人は変わらないってもんだな。ペンギンやシロクマも話せばいいやつだったし」
「本当に会ってみたいものだね。じゃあ戻ろうか」
展望台フロアに僕たちは戻った。
その後はエリアスに教えてもらったダンジョンマスターのカードゲームもどきを楽しんだりセバスを紹介したりした。
「だいたい話し終えたか。遊んだ時間の方が長かった気もしないが。俺も長くは離れられないから、ここらで帰るとする。じゃあな、元気で」
「うん、イクオも死なないように頑張って」
「あぁ、お前もな」
少し微笑んでイクオは転移した。
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