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9話目 閑話休題ではなく余談
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「ムーン様このような機会を作っていただけた事、感謝します。初めは戸惑いましたが素晴らしいところです」
「わたしからもかんしゃします」
ぶくぶく肥えた悪代官のような姿のユエルと見てるだけで癒し効果のありそうな幼女ノバの二人に同じように感謝される僕。
どうやらこの二人のダンジョンマスターはバーで会話して意気投合したらしい。
ダンジョンマスターはマーケットでの会話はあるが面と向かって会うことなどほとんどないらしい。
遠く離れた場所で何の裏を考える必要もないムーンで会い、会話することは楽しかったらしい
長く生きてるダンジョンマスターは娯楽には飢えているということかな。
ますます色々作りたくなってきた。
「喜んでいただけて良かったです。転送代もとてもかかりますから生まれたばかりの私としてはここまで色々な方に来ていただけるのはとても嬉しいことですし助かることです」
「いえいえ、そんなことはありません!あなたじしんはほとんどおかねをとっていないじゃありませんか」
ここにこれるぐらいの人だから50万DPぐらいは、はした金なのだろうか。
「まだまだなにもないところですから」
「ほほー、ムーン様はなにやらこれから考えもしっかりある御様子、どうですかな、私にも一枚噛ませてもらえませんか」
「このこえたぶたみたいなしょうにんさんはむししてあげてください」
「考えておきます。おっと眷属から連絡が、ではこれで。ごゆるりとお楽しみください。異世界の料理味スライムが今なら無料で楽しめますよ」
もうあんなこというからいってしまったじゃない。
いやいや、じっくりと考えようとしてくれたのですよ、それにしても眷属からどのように連絡を受けたのか気になりませんか。
だからそんなのうそにきまってますよ、おおかた、あなたがいやだったのでしょう。
まったく、コーンスープスライムを持ってきてもらえるますか?
はっはっは、あなたは面白い人だ。
わかりました。私としてはこの味噌汁スライムが美味しくてオススメなのですがね。
などなどと楽しく会話してるのを聞きつつ僕は地下へと転移する。
「ふー、疲れた」
転移について僕はすっかり忘れてたけど、思い出した。
DPが100万以上は余裕に溜まってるしね。
ノーコストで転移できるのは素晴らしいね。
「お疲れ様です」
自然と声をかけてきたのはセバスだ。
セバスとはすんなり会話できるよ。
さすがだね。
「ウェイト君達はどう?」
「簡単な仕事ならば問題はありません。教える事などありませんでしたよ」
「そっか、まぁそのために作ったし、何の問題もなかったか」
うーん。
それにしてもセバスは例外として会話というのは疲れるのだ。
僕は自然に人と楽しく話せるタイプの人間じゃない。
そもそもそんな人間はいないと信じたい。
みんなそれぞれわがままなところがあった方がいいと僕は思ってる。
アースからは24時間ダンジョンマスターがやって来る。
まだ数日だけど今のところ大繁盛だと思う。
1人でも来てくれれば良いやと思っていたけど予想外だった。
「はい。ところでお疲れであれば睡眠を取ってはどうでしょうか」
「ダンジョンマスターは寝る必要はないんじゃなかったっけ」
「『素晴らしき娯楽は睡眠であった。寝て起きると悩んでいたことが嘘のように解決することも多いがそれも今日まで、ここはまるで夢の中のようだな』と先ほどあるダンジョンマスターがバーで言っておりましたので」
「何というか、引きこもり感溢れる感想をいうもんだね。夢心地だって素直に言えばいいのに。嬉しいけど」
僕は笑った。
まぁそのぐらい高貴なお金持ちっぽいダンジョンマスターでもなければここにはこないよね。
「はい」
「まぁ、困難にぶち当たったら寝ることにするよ。おっと仕事だ。エリアスが来るらしい。展望フロアだよ。先に行ってるね」
僕は展望フロアに転移した。
展望フロアの値段は変わってない?
味付きスライムは食べ放題だし、他のダンジョンマスターに知られずに貸し切り状態ではある。
バーの値段は一人50万。
展望フロアは500万。
それに転移代もかかる。
うん、ぼったくりかな。
上客に会いに行こう。
「やぁ、エリアス」
「あぁ、ムーン様。神々しいですわ」
「その拝み倒すのやめてくれない?」
「ははぁですわ」
土下座の様に見える。
美少女が土下座とは。
「やめてくれないんだね。僕が神様だなんて一体誰が信じるんだい。あそこにいる人たちは一言も僕を神様なんて言わなかったよ」
バーを指差しながら言う。
「私ですわ。ムーン様、彼らはあなたを探って貶めるとかなにかと悪事を考えてるに違いありませんわ。あなたが神とも気付かず傲慢なのですわ」
アースを眺めながら神妙につぶやくエリアス。
「はぁ、話にならないよ」
盛大なため息を僕は吐いた。
「わかりました、やめますわムーン様。私は何も嫌がらせがしたいわけではないのです。ムーン様に嫌われたくはありませんわ」
見事な変わり身である。
狂信者ってこういうのなのかな。
怖い。
「うん、それは良かった」
「さて、今日はムーン様とマスターバトルをしにきたのですわ」
「マスターバトル? なにそれ」
「簡単に言うと制限されたDPの範囲内で眷属をカードにして遊ぶゲームですわ」
こうして僕はエリアスとマスターバトルというめちゃくちゃなルールのカードゲームをして過ごす事になった。
ルールを説明すると、
お互いカードに効果を込めて戦うがその効果はなんでもあり。カードの種類はモンスター、魔法、罠の3種類。基本のデッキの枚数は40枚。
プレイヤーのライフ兼効果のコストとしてDPを使う。
各ターン、モンスター系と魔法系と罠系の三枚のカードを使える。相手ターンにカードを使う場合も各一枚ずつ使える。
カードの効果に応じてコストは魔法で調整される。
モンスター系は1ターンに1回戦闘することができる。先行時は除く。
基本は1ターンに1回モンスターを召喚してお互いのDPを減らし合う戦いになるみたいだ。
他にも細かいマイナールール等があるらしいけど、おおよそこんな感じらしい。
エリアスとは初心者という事でライフ8000でバトルする事になった。
デッキにあるカードの総コスト数も8000だ。
カードのコスト配分も重要なのだった。
一端のダンジョンマスター達は数万から数百万のライフやコストで戦うらしい……。
「まずは先行である私のターンですわ、ドロー! これで手札6枚。この手札、今回も勝ちましたわ。まずはじめに、モンスター効果発動!1000ライフを払い、モンスターカード茨の子ドラゴンを召喚、この子で攻撃すればムーン様のライフを1000削れますが先行なので攻撃できません。これで私の残りライフは7000、次に魔法カードDPドレイン発動。ライフ100払いあなたのライフを3000奪いますわ。次にトラップカードを一枚伏せますわ。これでモンスター、魔法、トラップを一枚づつ使ったのでもう私はなにもできません。ライフは9900でターンエンドですわ!」
「なるほど、わかりやすい。それに眷属たちが現れるのはとても面白いね」
魔法がある世界の素晴らしいゲームだ。
「そうですとも。これがマスターの娯楽なのですわ!」
「でも効果がなんでもありなのが僕には信じられないね。僕のターン、ドロー。手札より魔法カードを発動する。強欲な手札、発動! DPを2000払い、全てのデッキを手札に加える。制限としてもう僕はこのターンドローできない。僕のライフは残り3000」
こんな馬鹿みたいな効果が使えるんだよ。
デッキを全て手札に加えるとかね……。
今回のルールだとドローできなくなったら負けだし、手札はターンが終わるごとに6枚以上の場合は捨てなきゃいけないんだけどね。
「それがいいのですわ。マスターバトルに強いと知らしめれば簡単に知略を持ったマスターだと証明できるのですわ。現実だってなんでもありなのですから。ムーン様、ターン終了時には手札が5枚になるように捨てなければなりません事は説明しました筈ですが、それは34枚捨てることになりますわよ? 次のターンドローできなければ負けになりますわ」
「僕が考えていないとでも? 制限内で40枚のデッキを作り、勝負する。これは僕のいた異世界でも似たようなゲームが色々あった。DPの制限はなかったし、40枚以上ならいいのもあったし。でも僕は浪漫を追い求めるタチでね。君は運がいい。ふっふっふっはっはっはー」
そして最後にニヤリと笑う。
まさかデッキのほとんどが枠を埋めるためだけのカスカードで運良くドローできた本命カードが二つあるとは思ってないだろう。
エリアス曰くこのゲームはこうして役になりきるのも面白みの一つだそうだ。
ドヤ顔を決めてしまおうではないか。
「なにを変なことを!よくいいますわね! 伏せていたトラップカード発動しますわ。無効化! 私はDPを3000払いそのカードを無効化しますわ。引きがいいのはあなただけではありませんわ!私のキーカードですわ。そんなめちゃくちゃな効果はこうやって無効化されるのですわ。制限としてムーン様の残りのターン中は私はカードの効果を発動できませんわ、あと残りライフは7900ですわ」
本当になんでもありだね。
もうデッキからカード全部手札に入れてたんだけど引いた分が全部デッキに戻った……だけどこれだけじゃない。
「ふっふっふっ、僕は罠カードを一枚伏せてターンエンド」
「モンスターは召喚しないんですの。次のターンに私は小ドラゴンであなたに攻撃するつもりですわよ?」
「眷属を娯楽で失いたくはない」
単にモンスターカードがなくて召喚できないだけである。
「ふっふっふっ、高貴な強がりですわ。モンスターカードをドローできませんでしたのね。私のターン、ドロー!これで私のカード使用が回復します。モンスター、魔法、罠がそれぞれまた一回ずつ使える様になったのです」
図星であった。
そして優しく僕に説明してくれた。
エリアスもかなり手加減してくれているって僕はこの時よくわかった。
「この瞬間、トラップ発動!手札増強罠。DPを2500払いデッキのカードを全て手札に加える! 制限として僕はこのエリアスのターンではドロー出来なくなる。僕の残りライフは500」
「なぜこのタイミングで!?こんな制限デッキではコストがかかって無効化カードを沢山入れることなんてできないですわ。どうぞ手札を増やしてください」
僕はデッキを鷲掴みにした。
その中から一枚のカードが飛び出す。
「この瞬間モンスター効果発動。ムーンパニッシャー! 手札の枚数が20枚以上かつ手札のカードの総コスト数が3000以上の時、相手の所持DPをゼロにし、自分と相手のデッキ、手札を全て除外する!」
デッキを飛び出したカードは光を放ち、そこからムーンを模した球体のスライムが現れる。
「何ですってー! そんな効果アリですのー!」
なんでもありだからね。
でもコストがかかるんだ。
「その後僕はコストを3000払い、このモンスターを場所に関係なく召喚する事ができる! だけれどコストを払った事で僕のライフもゼロになる。つまりは引き分けだ! 出よ! ムーンパニッシャー!」
ムーンスライムが光り輝き膨張し、爆発した。
これ相手もろとも倒すと言う自爆効果なんだよね。
ライフを奪われてなければなぁ……ライフ回復は高コストでそういうカードは諦めたんだったんだけど奪うのは低コストだったのか。
ライフを奪うって発想はなかったな。
「ほっ、流石に低コストでそんな効果をつけるには色々制限をつけねばなりませんわよね。危なかったですわ。まさか説明を聞いただけでここまでなされるなんて、流石ムーン様ですわ」
と、こんな感じで非常に楽しめたのだった。
まさか異世界でこんなカードゲームを楽しめるとは思わなかった。
中学生の頃は散々遊んだ記憶があって、それを思い出した僕はたくさんマスターバトルをした。
バーに来た人ともね。
エリアスとはいつの間にか仲良くなっていた。
「わたしからもかんしゃします」
ぶくぶく肥えた悪代官のような姿のユエルと見てるだけで癒し効果のありそうな幼女ノバの二人に同じように感謝される僕。
どうやらこの二人のダンジョンマスターはバーで会話して意気投合したらしい。
ダンジョンマスターはマーケットでの会話はあるが面と向かって会うことなどほとんどないらしい。
遠く離れた場所で何の裏を考える必要もないムーンで会い、会話することは楽しかったらしい
長く生きてるダンジョンマスターは娯楽には飢えているということかな。
ますます色々作りたくなってきた。
「喜んでいただけて良かったです。転送代もとてもかかりますから生まれたばかりの私としてはここまで色々な方に来ていただけるのはとても嬉しいことですし助かることです」
「いえいえ、そんなことはありません!あなたじしんはほとんどおかねをとっていないじゃありませんか」
ここにこれるぐらいの人だから50万DPぐらいは、はした金なのだろうか。
「まだまだなにもないところですから」
「ほほー、ムーン様はなにやらこれから考えもしっかりある御様子、どうですかな、私にも一枚噛ませてもらえませんか」
「このこえたぶたみたいなしょうにんさんはむししてあげてください」
「考えておきます。おっと眷属から連絡が、ではこれで。ごゆるりとお楽しみください。異世界の料理味スライムが今なら無料で楽しめますよ」
もうあんなこというからいってしまったじゃない。
いやいや、じっくりと考えようとしてくれたのですよ、それにしても眷属からどのように連絡を受けたのか気になりませんか。
だからそんなのうそにきまってますよ、おおかた、あなたがいやだったのでしょう。
まったく、コーンスープスライムを持ってきてもらえるますか?
はっはっは、あなたは面白い人だ。
わかりました。私としてはこの味噌汁スライムが美味しくてオススメなのですがね。
などなどと楽しく会話してるのを聞きつつ僕は地下へと転移する。
「ふー、疲れた」
転移について僕はすっかり忘れてたけど、思い出した。
DPが100万以上は余裕に溜まってるしね。
ノーコストで転移できるのは素晴らしいね。
「お疲れ様です」
自然と声をかけてきたのはセバスだ。
セバスとはすんなり会話できるよ。
さすがだね。
「ウェイト君達はどう?」
「簡単な仕事ならば問題はありません。教える事などありませんでしたよ」
「そっか、まぁそのために作ったし、何の問題もなかったか」
うーん。
それにしてもセバスは例外として会話というのは疲れるのだ。
僕は自然に人と楽しく話せるタイプの人間じゃない。
そもそもそんな人間はいないと信じたい。
みんなそれぞれわがままなところがあった方がいいと僕は思ってる。
アースからは24時間ダンジョンマスターがやって来る。
まだ数日だけど今のところ大繁盛だと思う。
1人でも来てくれれば良いやと思っていたけど予想外だった。
「はい。ところでお疲れであれば睡眠を取ってはどうでしょうか」
「ダンジョンマスターは寝る必要はないんじゃなかったっけ」
「『素晴らしき娯楽は睡眠であった。寝て起きると悩んでいたことが嘘のように解決することも多いがそれも今日まで、ここはまるで夢の中のようだな』と先ほどあるダンジョンマスターがバーで言っておりましたので」
「何というか、引きこもり感溢れる感想をいうもんだね。夢心地だって素直に言えばいいのに。嬉しいけど」
僕は笑った。
まぁそのぐらい高貴なお金持ちっぽいダンジョンマスターでもなければここにはこないよね。
「はい」
「まぁ、困難にぶち当たったら寝ることにするよ。おっと仕事だ。エリアスが来るらしい。展望フロアだよ。先に行ってるね」
僕は展望フロアに転移した。
展望フロアの値段は変わってない?
味付きスライムは食べ放題だし、他のダンジョンマスターに知られずに貸し切り状態ではある。
バーの値段は一人50万。
展望フロアは500万。
それに転移代もかかる。
うん、ぼったくりかな。
上客に会いに行こう。
「やぁ、エリアス」
「あぁ、ムーン様。神々しいですわ」
「その拝み倒すのやめてくれない?」
「ははぁですわ」
土下座の様に見える。
美少女が土下座とは。
「やめてくれないんだね。僕が神様だなんて一体誰が信じるんだい。あそこにいる人たちは一言も僕を神様なんて言わなかったよ」
バーを指差しながら言う。
「私ですわ。ムーン様、彼らはあなたを探って貶めるとかなにかと悪事を考えてるに違いありませんわ。あなたが神とも気付かず傲慢なのですわ」
アースを眺めながら神妙につぶやくエリアス。
「はぁ、話にならないよ」
盛大なため息を僕は吐いた。
「わかりました、やめますわムーン様。私は何も嫌がらせがしたいわけではないのです。ムーン様に嫌われたくはありませんわ」
見事な変わり身である。
狂信者ってこういうのなのかな。
怖い。
「うん、それは良かった」
「さて、今日はムーン様とマスターバトルをしにきたのですわ」
「マスターバトル? なにそれ」
「簡単に言うと制限されたDPの範囲内で眷属をカードにして遊ぶゲームですわ」
こうして僕はエリアスとマスターバトルというめちゃくちゃなルールのカードゲームをして過ごす事になった。
ルールを説明すると、
お互いカードに効果を込めて戦うがその効果はなんでもあり。カードの種類はモンスター、魔法、罠の3種類。基本のデッキの枚数は40枚。
プレイヤーのライフ兼効果のコストとしてDPを使う。
各ターン、モンスター系と魔法系と罠系の三枚のカードを使える。相手ターンにカードを使う場合も各一枚ずつ使える。
カードの効果に応じてコストは魔法で調整される。
モンスター系は1ターンに1回戦闘することができる。先行時は除く。
基本は1ターンに1回モンスターを召喚してお互いのDPを減らし合う戦いになるみたいだ。
他にも細かいマイナールール等があるらしいけど、おおよそこんな感じらしい。
エリアスとは初心者という事でライフ8000でバトルする事になった。
デッキにあるカードの総コスト数も8000だ。
カードのコスト配分も重要なのだった。
一端のダンジョンマスター達は数万から数百万のライフやコストで戦うらしい……。
「まずは先行である私のターンですわ、ドロー! これで手札6枚。この手札、今回も勝ちましたわ。まずはじめに、モンスター効果発動!1000ライフを払い、モンスターカード茨の子ドラゴンを召喚、この子で攻撃すればムーン様のライフを1000削れますが先行なので攻撃できません。これで私の残りライフは7000、次に魔法カードDPドレイン発動。ライフ100払いあなたのライフを3000奪いますわ。次にトラップカードを一枚伏せますわ。これでモンスター、魔法、トラップを一枚づつ使ったのでもう私はなにもできません。ライフは9900でターンエンドですわ!」
「なるほど、わかりやすい。それに眷属たちが現れるのはとても面白いね」
魔法がある世界の素晴らしいゲームだ。
「そうですとも。これがマスターの娯楽なのですわ!」
「でも効果がなんでもありなのが僕には信じられないね。僕のターン、ドロー。手札より魔法カードを発動する。強欲な手札、発動! DPを2000払い、全てのデッキを手札に加える。制限としてもう僕はこのターンドローできない。僕のライフは残り3000」
こんな馬鹿みたいな効果が使えるんだよ。
デッキを全て手札に加えるとかね……。
今回のルールだとドローできなくなったら負けだし、手札はターンが終わるごとに6枚以上の場合は捨てなきゃいけないんだけどね。
「それがいいのですわ。マスターバトルに強いと知らしめれば簡単に知略を持ったマスターだと証明できるのですわ。現実だってなんでもありなのですから。ムーン様、ターン終了時には手札が5枚になるように捨てなければなりません事は説明しました筈ですが、それは34枚捨てることになりますわよ? 次のターンドローできなければ負けになりますわ」
「僕が考えていないとでも? 制限内で40枚のデッキを作り、勝負する。これは僕のいた異世界でも似たようなゲームが色々あった。DPの制限はなかったし、40枚以上ならいいのもあったし。でも僕は浪漫を追い求めるタチでね。君は運がいい。ふっふっふっはっはっはー」
そして最後にニヤリと笑う。
まさかデッキのほとんどが枠を埋めるためだけのカスカードで運良くドローできた本命カードが二つあるとは思ってないだろう。
エリアス曰くこのゲームはこうして役になりきるのも面白みの一つだそうだ。
ドヤ顔を決めてしまおうではないか。
「なにを変なことを!よくいいますわね! 伏せていたトラップカード発動しますわ。無効化! 私はDPを3000払いそのカードを無効化しますわ。引きがいいのはあなただけではありませんわ!私のキーカードですわ。そんなめちゃくちゃな効果はこうやって無効化されるのですわ。制限としてムーン様の残りのターン中は私はカードの効果を発動できませんわ、あと残りライフは7900ですわ」
本当になんでもありだね。
もうデッキからカード全部手札に入れてたんだけど引いた分が全部デッキに戻った……だけどこれだけじゃない。
「ふっふっふっ、僕は罠カードを一枚伏せてターンエンド」
「モンスターは召喚しないんですの。次のターンに私は小ドラゴンであなたに攻撃するつもりですわよ?」
「眷属を娯楽で失いたくはない」
単にモンスターカードがなくて召喚できないだけである。
「ふっふっふっ、高貴な強がりですわ。モンスターカードをドローできませんでしたのね。私のターン、ドロー!これで私のカード使用が回復します。モンスター、魔法、罠がそれぞれまた一回ずつ使える様になったのです」
図星であった。
そして優しく僕に説明してくれた。
エリアスもかなり手加減してくれているって僕はこの時よくわかった。
「この瞬間、トラップ発動!手札増強罠。DPを2500払いデッキのカードを全て手札に加える! 制限として僕はこのエリアスのターンではドロー出来なくなる。僕の残りライフは500」
「なぜこのタイミングで!?こんな制限デッキではコストがかかって無効化カードを沢山入れることなんてできないですわ。どうぞ手札を増やしてください」
僕はデッキを鷲掴みにした。
その中から一枚のカードが飛び出す。
「この瞬間モンスター効果発動。ムーンパニッシャー! 手札の枚数が20枚以上かつ手札のカードの総コスト数が3000以上の時、相手の所持DPをゼロにし、自分と相手のデッキ、手札を全て除外する!」
デッキを飛び出したカードは光を放ち、そこからムーンを模した球体のスライムが現れる。
「何ですってー! そんな効果アリですのー!」
なんでもありだからね。
でもコストがかかるんだ。
「その後僕はコストを3000払い、このモンスターを場所に関係なく召喚する事ができる! だけれどコストを払った事で僕のライフもゼロになる。つまりは引き分けだ! 出よ! ムーンパニッシャー!」
ムーンスライムが光り輝き膨張し、爆発した。
これ相手もろとも倒すと言う自爆効果なんだよね。
ライフを奪われてなければなぁ……ライフ回復は高コストでそういうカードは諦めたんだったんだけど奪うのは低コストだったのか。
ライフを奪うって発想はなかったな。
「ほっ、流石に低コストでそんな効果をつけるには色々制限をつけねばなりませんわよね。危なかったですわ。まさか説明を聞いただけでここまでなされるなんて、流石ムーン様ですわ」
と、こんな感じで非常に楽しめたのだった。
まさか異世界でこんなカードゲームを楽しめるとは思わなかった。
中学生の頃は散々遊んだ記憶があって、それを思い出した僕はたくさんマスターバトルをした。
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エリアスとはいつの間にか仲良くなっていた。
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