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歪み。

歪み。〜加奈2〜

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会えない。もう3日も、彼に触れることすらいけないのだろうか。記憶を失くしたばかりでもう失うものはないはずなのに自分で大切な宝物を作ってしまった。しかも、それすら失いそうになっている。だんだんと離れていく彼との距離は日に日に長くなっている。私は神様に見捨てられたんだ。幸せなんて与える資格ないってきっとどこかで嘲笑ってる。

「なにぼぉーっとしてんの。」

いつからだろうか気づいたら見知らぬ公園にたどり着いてしまっていた。それに、ウチの学校らしき生徒に話しかけられてる有様だ。

「おーい。ねえ、返事くらいしてよ。」

今話したいのはあんたじゃない。他の誰でもないつかさくんだよ。

「俺のこと無視とか酷くない?俺みたいなイケメンに話しかけられて嬉しいとかどうとか言ったらいいのに。」

「誰ですか。」

素っ気ない態度。私自身でもわかる適当な答え。

「誰?俺のこと知らねえの?」

「ごめんなさい。私記憶が吹っ飛んじゃったみたいで。」

何この人?調子乗ってるだけじゃない。

「そっかあ~。ま、いいけど。それよりあんた、さっきから暗い顔してどうしたの?」

暗い顔?そんなわけ…あるか。正直結構落ち込んでる。

「あなたに教えるようなことじゃないですよ。」

「えー?教えてよ。」

「嫌ですよ。関係ないことなんで、これ以上かまわなくていいです。」

「本当はかまって欲しいくせに。ストレス溜まってニキビできるよ。別にいいじゃん。知らない他人なんだし、関係ないんだからなんでも話してよ。」

なんだコイツ!優しくしなくていいのに。でも、最近優しくしてくれる彼がいないことにストレスが溜まってるのは本当のこと…か。

「んじゃあ、話します。」

「やっとその気になったね。なんでもいいよ。全部聞いてあげる。」





私のこと、彼のこと、いじわるしてる誰かのこと。全部話してしまった。かなりスッキリはしたが、話したことで問題は解決されてない。

「その彼、たぶん加奈ちゃんのこと裏切ったりはしないと思うけど、その周りにいる女子は危険だね。猛毒な感じ。結構危険かも。」

「やっぱそうだよね…。どうしよう…。」

「どうしよう?なんで考える必要があんの笑」

「は?こっちは真剣に…」

「だから!彼なら心配ないって!守ってくれるし、いつかファンも消え去るよ。」

「そんなの…わかんないし。」

「弱気になんなよ!弱虫!そんなに信じられないならもう別れなよ。意味無いじゃん一緒にいても不安になるだけで逆に辛くなるよ。」

「待ってるの、できないよ。もう3日も顔を合わせてない。」

「いつでも俺のとこ来いよ。話ぐらいなら聞いてやるよ。」

「名前も知らないのに…。」

「名前?言ってなかったっけ?俺、海。よろしく。」

「よろしく。」

友達になれたのかな?まあ、前よりはマシになったし、すごい助かった。いいやつかも…海くん。そろそろきちんと話さなきゃ。彼と、これからどうするか。
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