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第五章
青い薔薇
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「この木の根本に……、あった。これだ……」
まるで静脈のように張り巡らされた木の根に覆われながら、悲しげな表情をした真っ青な薔薇がひっそりとそこに咲いていた。
不気味な色だった。本能がこの色を拒絶している。今までに見てきた青色は、青色ではなくまた別の色だったのではないか、あるいは、今までに見てきた青色が青色であるならば、この花びらの色にはまた何かまた別の名前をつけるべきではないか、そう思えるほど、あまりにも不自然な色をした、あまりにも奇妙な花だった。
早速、死の薔薇を回収する作業へと移った。
ミューの力で、複雑に入り組んだ木の根の向こうから死の薔薇を掘り出して空中に浮かべ、研究所の方が用意してくれた専用の入れ物に密閉した。相変わらず凄い能力だ。
厳重に密閉された死の薔薇と共に、俺たちは樹海を抜けた。防護服と死の薔薇が入った入れ物を消毒してもらい、車に乗り込んで帰路についた。
あとは死の薔薇を研究所へ運ぶだけだ。俺たちの能力があれば、安全に研究所まで辿り着くことができるはず。
おそらく、これでもう大丈夫だろう。心配することはもう何もない。世界は救われたのだ。
まるで静脈のように張り巡らされた木の根に覆われながら、悲しげな表情をした真っ青な薔薇がひっそりとそこに咲いていた。
不気味な色だった。本能がこの色を拒絶している。今までに見てきた青色は、青色ではなくまた別の色だったのではないか、あるいは、今までに見てきた青色が青色であるならば、この花びらの色にはまた何かまた別の名前をつけるべきではないか、そう思えるほど、あまりにも不自然な色をした、あまりにも奇妙な花だった。
早速、死の薔薇を回収する作業へと移った。
ミューの力で、複雑に入り組んだ木の根の向こうから死の薔薇を掘り出して空中に浮かべ、研究所の方が用意してくれた専用の入れ物に密閉した。相変わらず凄い能力だ。
厳重に密閉された死の薔薇と共に、俺たちは樹海を抜けた。防護服と死の薔薇が入った入れ物を消毒してもらい、車に乗り込んで帰路についた。
あとは死の薔薇を研究所へ運ぶだけだ。俺たちの能力があれば、安全に研究所まで辿り着くことができるはず。
おそらく、これでもう大丈夫だろう。心配することはもう何もない。世界は救われたのだ。
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