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第二章
二日目
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翌日、久しぶりに午前中に起きたニートは、レースカーテン越しに差す暖かい冬の陽光を浴びながら、朝食の手作り炒飯を食べた。
食後、抗うつ薬や精神安定剤などを飲み、身支度を済ませ、今日も新宿駅へと向かった。
……未来を見てみたけど、多分今日も能力者に出会えることはなさそうだ。
けれど、たとえ今日も能力者が現れないとしても、あの場所に立ち続けることにやっぱり何か重要な意味がある気がする……。
30分ほどで新宿駅へ到着し、改札付近で優莉と合流した。
「おはよう咲翔。今日も頑張ろうぜ!」
「おはよう。うん。頑張ろう!」
昨日と同じ場所に立ち、昨日と同じ方法で能力者の出現を待った。しかし、紙をよく見てみると、昨日のものとは少し違うような感じがした。
「なんか昨日のと違うね。また新しく作ったの?」と尋ねてみると、
「うん。ちょっと文字に丸みを加えてみたんだ」とのことだった。果たして意味はあるのだろうか。
今日は土曜日のため、昨日と比べてだいぶ人が多い。
しかし、こちらを不思議そうに見てくる人はたくさんいるものの、肝心の特殊能力者はやはりなかなか現れてくれない。
「おお!? なんかすごい人たちが歩いてる!」
優莉がそう言うので視線の先を見てみると、ちょんまげに和服を着た3人組が歩いていた。
「おお!? なんだありゃ」
「コスプレかなあ? 外国から来た観光客だろうか? 新宿にはいろんな人がいるなあ」
その後も根気よく待ち続けてみたものの、やはり今日も能力者が現れることはなかった。
「あ、もうこんな時間だ。仕方ない。今日もそろそろ撤収しよう」
「そうだね。あ、そうだ。睡眠薬見せてあげるよ」
「あ、そうだった。どんなのどんなの?」
俺は寝る前に飲んでいる睡眠薬と精神安定剤をカバンから取り出し、優莉に見せてあげた。
「へえー。こんな感じなんだ。初めて見たよ。それぞれどんな薬なの?」
「このベルソムラは、自然な眠りを誘う睡眠薬。こっちのフルニトラゼパムは、かなり効き目の強い睡眠薬。そしてこのクエチアピンは、精神安定剤なんだけど、睡眠薬としても使える薬。これだけ飲まないと眠れないんだ。あと、これは出かける前に飲むロラゼパム。これを飲まないと、頭がボーッとしたり、息切れしたりするんだ」
「そうなんだあ……。大変だねえ。今日はゆっくり休めるといいね!」
「うん。ありがとう!」
優莉への薬の説明を終えたあと、また明日、最後にもう一度だけ同じ方法で能力者を探してみる約束をして、この日も解散した。
食後、抗うつ薬や精神安定剤などを飲み、身支度を済ませ、今日も新宿駅へと向かった。
……未来を見てみたけど、多分今日も能力者に出会えることはなさそうだ。
けれど、たとえ今日も能力者が現れないとしても、あの場所に立ち続けることにやっぱり何か重要な意味がある気がする……。
30分ほどで新宿駅へ到着し、改札付近で優莉と合流した。
「おはよう咲翔。今日も頑張ろうぜ!」
「おはよう。うん。頑張ろう!」
昨日と同じ場所に立ち、昨日と同じ方法で能力者の出現を待った。しかし、紙をよく見てみると、昨日のものとは少し違うような感じがした。
「なんか昨日のと違うね。また新しく作ったの?」と尋ねてみると、
「うん。ちょっと文字に丸みを加えてみたんだ」とのことだった。果たして意味はあるのだろうか。
今日は土曜日のため、昨日と比べてだいぶ人が多い。
しかし、こちらを不思議そうに見てくる人はたくさんいるものの、肝心の特殊能力者はやはりなかなか現れてくれない。
「おお!? なんかすごい人たちが歩いてる!」
優莉がそう言うので視線の先を見てみると、ちょんまげに和服を着た3人組が歩いていた。
「おお!? なんだありゃ」
「コスプレかなあ? 外国から来た観光客だろうか? 新宿にはいろんな人がいるなあ」
その後も根気よく待ち続けてみたものの、やはり今日も能力者が現れることはなかった。
「あ、もうこんな時間だ。仕方ない。今日もそろそろ撤収しよう」
「そうだね。あ、そうだ。睡眠薬見せてあげるよ」
「あ、そうだった。どんなのどんなの?」
俺は寝る前に飲んでいる睡眠薬と精神安定剤をカバンから取り出し、優莉に見せてあげた。
「へえー。こんな感じなんだ。初めて見たよ。それぞれどんな薬なの?」
「このベルソムラは、自然な眠りを誘う睡眠薬。こっちのフルニトラゼパムは、かなり効き目の強い睡眠薬。そしてこのクエチアピンは、精神安定剤なんだけど、睡眠薬としても使える薬。これだけ飲まないと眠れないんだ。あと、これは出かける前に飲むロラゼパム。これを飲まないと、頭がボーッとしたり、息切れしたりするんだ」
「そうなんだあ……。大変だねえ。今日はゆっくり休めるといいね!」
「うん。ありがとう!」
優莉への薬の説明を終えたあと、また明日、最後にもう一度だけ同じ方法で能力者を探してみる約束をして、この日も解散した。
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