銀河のかなたより

銀河のかなたよりⅡ

その２４

「４４４……。いかにも不吉な数字だ」優莉が嫌悪感をあらわにする。
「不吉……とは？」
「４ていう数字は、『シ』とも読むんだけど、それが『死』と同じ音だから、縁起が悪いっていう考え方があるんだ。たとえば病院によっては、部屋の番号に４がつかないように４を飛ばして、『２０３号室』の隣が『２０５号室』になってるってこともよくあるんだよ」

「なるほど……。何か不気味な縁で結ばれているのかもしれん……。だがとにかく、この期間内に治療薬を投与することが重要なのだ。しかし、その肝心の治療薬なのだが……」

「あれ……？　ねえ、待って！！」
「ん？　どうしたの？　ミュー？」
「さっき、咲翔とフィーモ船長が話してるのが聞こえたんだけど、たしか地球とみんなの星の時間の基準が違うって……」

「ああ、そういえば！　そうだそうだ！　大事なことを忘れておった。情けない。実は時間の定義が少し異なっていて、我々の星での１秒は、地球における１．５秒に相当するんだ。けどその他はほとんど同じ。１分は６０秒だし、１時間は６０分、１日は２４時間だ。つまり、４４４日に１．５を掛けるだけでいい。そうすると……」



――ここに、知恵が必要である。思慮のある者は、獣の数字を解くがよい。その数字とは、人間をさすものである。そして、その数字は６６６である。――



「６６６……。　うわあ、また不吉な数字……」
「なんと、これも不吉なのか？」
「うん。６６６は、獣の数字とか、悪魔を指す数字って言われてて……、あれ？　そういえば、その悪魔の名前って……」

「サタンだ……」俺は独り言のように、そっとつぶやくようにそう言った。

「ねえ……、なんか……、偶然にしては、おかしくない？　太陽の名前がミカエルだったよね。ミカエルは、天使の名前なんだ。それもたしか、神に最も近いとされる大天使。そして……、BRウイルスの本当の名前がサタン。これは悪魔の名前で、潜伏期間が６６６日……。そして、これは獣の数字で、悪魔の数字で……」


「もしかして……」
　皆の視線が、誠志郎へと向けられた。

「もしかしてこれらのことは、僕と同じように『過去を見る能力を持った者』が、その能力を用いて見た過去の世界の出来事を、神話や伝説など、様々な形で人類の歴史に残したものなのかもしれません」