銀河のかなたより

羽月蒔ノ零

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銀河のかなたよりⅡ

その23

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「……ビフォア……プラネット? それは、一体?」
 フィーモ船長にそう尋ねられた。

「『その星』に、僕ら5人でつけた名前です。誠志郎の過去視能力によって明らかになった、地球誕生以前、いや、地球と金星が誕生する以前に、太陽系の第二惑星として存在していたという『その星』に、僕らはそう名付けました」

「なるほど。そういうことでしたか……」

「やっぱりみんなは、ビフォアプラネットに暮らしていた方々の子孫なの? ……でも、誠志郎から、ビフォアプラネットは粉々に砕け散ってしまったと聞きました。けど、みんなが生きてるってことは、みんなの祖先にあたる方々は、星が滅びる前に脱出できたってことなのかな……? 星の崩壊と、生物兵器サタンは、何か関係があるの?」

「……既にそこまで知っているのであれば、もう隠す理由などいささかもないな……。よし。話そう……」


 あたりを、静寂が包んだ。どのくらいの長さだったのかはよくわからない。長いような、短いような、ぼんやりとした不思議な静けさの後《あと》、フィーモ船長はゆったりとした口調で、話を聞かせてくれた。


「ユーリの言ったとおり、我々はかつて存在した太陽系第二惑星に暮らしていた者たちの子孫にあたります。祖先たちは、みんなが太陽と呼ぶあの星のことを、『ミカエル』と呼びました。そして、故郷である『その星』のことを――」




 フィーモ船長は、『その星』の本当の名前、そして、その星で彼らの祖先がどのように暮らしていたのか、そして、なぜ、星は崩壊してしまったのか――。本当は話すことを禁じられているであろう様々なことを、僕らに打ち明けてくれた……。


「遥か昔に、まさかそんなことがあったなんて……。……あ! だから、だから私たちの記憶を消さなきゃならないんだね。私たちを、いや……、地球を、守るために……!」

「そういうことだったのか……。とても寂しいけど、本当は……、ずっと覚えていたいけど、そういうことならば、仕方ないね……!」
 優莉に続いて、俺はそう言った。


「ありがとう……。けれど、ひとつだけ、忘れないでいてほしいことがあるんだ。皆が感染しているウイルス、『サタン』についてのことだ」

「サタン……。我々がBRV、またはBRウイルスとよぶ、私たち5人が感染しているウイルスのことですね?」
 確認に確認を重ねるように、玲子さんが重い口調でそう尋ねた。

「ああ……。そのとおりだ。このサタンウイルスには、『潜伏期間』が存在する。その期間内に治療薬を使用すれば、ウイルスを完全に消滅させることができる。そして、その潜伏期間は、444日間だ」
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