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銀河のかなたよりⅡ
その21
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「いやあ、本当に綺麗な景色だった。私たちが住んでる星が、まさかあれほど美しいとは……。本当に、一生忘れられない素敵な思い出になったよ。みんな、本当にありがとう!」
「そのことなんだが……、実は、みんなに伝えなければならないことがあるんだ」
「え? 何?」
「実は……、今夜みんなと共に過ごした記憶のすべてを、消さなければならないんだ」
「……、え? 記憶を?」
その場を包む空気が、ズシッと重くなったような気がした。
「ああ。残念なのだが、これは規則なのだ。必ず守らなくてはいけない。非常に心苦しいのだが……」
「そんな……。せっかく友達になれたのに……。みんながいたから地球を救うことができたのに……。それを全部……忘れちゃうの? 地球を守るためにみんなが一緒に闘ってくれたこと、私たちみんな、何も思い出せなくなっちゃうの?」
「ああ……。そうなんだ」
「そんな……。そんな……。……あ、でも、みんなはどうなの? みんなの記憶も消さなきゃいけないの? 今夜私たちと共に過ごしたこと、みんなも忘れちゃうの?」
「いや、我々の記憶までが消えてしまうわけではないよ。我々はみんなのことを、ずっと覚えているはずだ!」
「そっか……。それなら……、それなら大丈夫だよ! みんなが私たちのことを覚えていてくれるなら、思い出が、なくなっちゃうわけじゃないから! ありがとう。地球を救ってくれて」
「ユーリ……」
「あ……、そういえばさ、ここ、咲翔のアパートだね」
「はい。あれ? 皆さんは、この町に住んでいるのではないのですか?」マーリがそう尋ねた。
「いや、住んでるのはここじゃないんだ。みんなを待つ場所としてここを選んだだけで」
「そうなのか。てっきりここに住んでいるのだと思っていた。では、みんなが住む町へと送り届けよう。どのあたりに行けばいいのだろう?」
「実は私たちは今、日本感染症研究所っていうところの近くにある病院で暮らしてるんだ。5人全員」
「病院……。なんと……。そうなのか……。何かの病気なのですか?」
「うーん、病気っていうか、ウイルスに感染しているんだ。BRウイルスっていうんだけど……」
「BR?一体どんなウイルスなのだ?」
「なんかね、青い薔薇に含まれるウイルスなんだ。目視感染っていって、青い薔薇を見ることで感染するんじゃないかって言われてるんだけど、詳しいことはまだよくわかってないみたいで……」
「……青い、薔薇を……、見る……?」
異星人3名の様子が、明らかに変わった。驚いているような、悲しんでいるような、何かを強く願うような、そんな表情をしている。
「青い薔薇の……、つまり、薔薇に反射した……、『青い光』を見ることで感染する……ということだろうか?」
「うーんと、そうだね。多分そうだろうって言われてるんだけど……」
「……ユイカリア、マーリ、検査キットの準備を……」
「……はい」
「……了解しました」
「検査キット?」
「ちょっと調べさせてほしいことがあるんだ。いや、けど、きっと大丈夫」
自らに言い聞かせるように、フィーモ船長がそう言った。というより、祈っているようにも感じた。
「フィーモ……、これ……」
「うむ。ありがとう。ではユーリ、腕を出してくれるか?」
「うん。いいよ。これでいいかな?」
「うむ。大丈夫だ。ありがとう。この特殊な電磁波を当てることで、皆が『あるウイルス』に感染しているのかどうかを調べることができるのだ。だが、きっと大丈夫だ。まさか……、まさかそんなことなど……。あっ……、あああ……、そんな……、まさか……」
「嘘でしょ!? まさか……、地球で生き残ってたなんて……、しかも、よりによってみんなが……」
「そんな……、けど、治療薬が! いや、けど、地球人には使えない……、でも、でも、何か方法が……、何か……、方法が……、きっと……」
「どういうこと?? このウイルスのこと、何か知ってるの? もしよかったらさ、何でもいいから教えてほしいな」
「……これは、この、このウイルスは…………」
「フィーモ……、大丈夫?」
「船長、無理しないで……」
「大丈夫だ。ありがとう……。我々は、このウイルスがどういうものであるのかということを、よく知っています……。……このウイルスの名は、『サタン』。我々の祖先が生み出した、『生物兵器』です」
「そのことなんだが……、実は、みんなに伝えなければならないことがあるんだ」
「え? 何?」
「実は……、今夜みんなと共に過ごした記憶のすべてを、消さなければならないんだ」
「……、え? 記憶を?」
その場を包む空気が、ズシッと重くなったような気がした。
「ああ。残念なのだが、これは規則なのだ。必ず守らなくてはいけない。非常に心苦しいのだが……」
「そんな……。せっかく友達になれたのに……。みんながいたから地球を救うことができたのに……。それを全部……忘れちゃうの? 地球を守るためにみんなが一緒に闘ってくれたこと、私たちみんな、何も思い出せなくなっちゃうの?」
「ああ……。そうなんだ」
「そんな……。そんな……。……あ、でも、みんなはどうなの? みんなの記憶も消さなきゃいけないの? 今夜私たちと共に過ごしたこと、みんなも忘れちゃうの?」
「いや、我々の記憶までが消えてしまうわけではないよ。我々はみんなのことを、ずっと覚えているはずだ!」
「そっか……。それなら……、それなら大丈夫だよ! みんなが私たちのことを覚えていてくれるなら、思い出が、なくなっちゃうわけじゃないから! ありがとう。地球を救ってくれて」
「ユーリ……」
「あ……、そういえばさ、ここ、咲翔のアパートだね」
「はい。あれ? 皆さんは、この町に住んでいるのではないのですか?」マーリがそう尋ねた。
「いや、住んでるのはここじゃないんだ。みんなを待つ場所としてここを選んだだけで」
「そうなのか。てっきりここに住んでいるのだと思っていた。では、みんなが住む町へと送り届けよう。どのあたりに行けばいいのだろう?」
「実は私たちは今、日本感染症研究所っていうところの近くにある病院で暮らしてるんだ。5人全員」
「病院……。なんと……。そうなのか……。何かの病気なのですか?」
「うーん、病気っていうか、ウイルスに感染しているんだ。BRウイルスっていうんだけど……」
「BR?一体どんなウイルスなのだ?」
「なんかね、青い薔薇に含まれるウイルスなんだ。目視感染っていって、青い薔薇を見ることで感染するんじゃないかって言われてるんだけど、詳しいことはまだよくわかってないみたいで……」
「……青い、薔薇を……、見る……?」
異星人3名の様子が、明らかに変わった。驚いているような、悲しんでいるような、何かを強く願うような、そんな表情をしている。
「青い薔薇の……、つまり、薔薇に反射した……、『青い光』を見ることで感染する……ということだろうか?」
「うーんと、そうだね。多分そうだろうって言われてるんだけど……」
「……ユイカリア、マーリ、検査キットの準備を……」
「……はい」
「……了解しました」
「検査キット?」
「ちょっと調べさせてほしいことがあるんだ。いや、けど、きっと大丈夫」
自らに言い聞かせるように、フィーモ船長がそう言った。というより、祈っているようにも感じた。
「フィーモ……、これ……」
「うむ。ありがとう。ではユーリ、腕を出してくれるか?」
「うん。いいよ。これでいいかな?」
「うむ。大丈夫だ。ありがとう。この特殊な電磁波を当てることで、皆が『あるウイルス』に感染しているのかどうかを調べることができるのだ。だが、きっと大丈夫だ。まさか……、まさかそんなことなど……。あっ……、あああ……、そんな……、まさか……」
「嘘でしょ!? まさか……、地球で生き残ってたなんて……、しかも、よりによってみんなが……」
「そんな……、けど、治療薬が! いや、けど、地球人には使えない……、でも、でも、何か方法が……、何か……、方法が……、きっと……」
「どういうこと?? このウイルスのこと、何か知ってるの? もしよかったらさ、何でもいいから教えてほしいな」
「……これは、この、このウイルスは…………」
「フィーモ……、大丈夫?」
「船長、無理しないで……」
「大丈夫だ。ありがとう……。我々は、このウイルスがどういうものであるのかということを、よく知っています……。……このウイルスの名は、『サタン』。我々の祖先が生み出した、『生物兵器』です」
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