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悪役令嬢は悪徳商人に囲われる
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レアード夫妻の夜は長い。
「ああ…っ、あ…、あ……っ」
夜毎ヴィンセントの手練で蕩けさせられて、メイヴィスの蜜口はなんなくヴィンセントの雄を咥えることができるようになった。
けれど狭い蜜壺に大きな熱杭をすべて飲み込むことはいまだ叶わず、少しずつ熱を深めて、奥を拡張しているところだ。
ヴィンセントは雄をすべて収めることに拘っていなかった。それよりメイヴィスを悦ばせることに重点を置いていて、時々それがひどく憎たらしい。
「あう…っ、あっ……ヴィンス…!ヴィンス!」
正面からメイヴィスを抱いて、ぐちゅぐちゅと大きなものが出入りする。浅いところを何度も擦られてメイヴィスは腰を震わせた。
気持ちいい。気持ちいいのに腹の奥底が疼く。
もっと深くにほしいと思っても「まだだめだ」と窘められる。
はじめてのときにわがままを言ってヴィンセントにも苦しい思いをさせてしまったことを反省しているメイヴィスは、渋々と頷いた。
「く……っ」
とぷりとメイヴィスの狭い蜜口に精が溢れる。
ヴィンセントはどんなに浅くても必ずメイヴィスの中に吐精した。それが愛おしくもあり、じれったくもある。物足りなさそうなメイヴィスに、ヴィンセントは「かわいい」と喜んだ。
濡れた身体を清めて裸のままベッドに横になると、すぐに大きな身体に抱き竦められた。
「冷えてしまうよ」
それから二人でシーツにくるまる。メイヴィスはヴィンセントの胸に頬を寄せて目を細めた。高い体温が心地いい。
メイヴェルの細い肢体を腕の中に閉じ込めて、ヴィンセントも満足そうに息を吐く。細い腰を引き寄せて密やかに笑った。
「奥じゃなくても、こうも毎回中に出していたら孕んでしまうかな」
「え……?」
「うん?いや、可能性の話だよ」
ヴィンセントとしては軽い冗談のつもりだったが、顔を上げたメイヴィスがひどく驚いていたから「大丈夫」とその背中をとんとんリズムよく叩く。
「大丈夫だよ、私たちは夫婦なんだから」
「ヴィンス…わたくし、御子は……」
メイヴィスは唇を引き結んで、甘えるようにヴィンセントの胸にすり寄った。
「メイヴィス?」
「ごめんなさい。なんでもないの」
首を横に振って顔を伏せる。
その晩、メイヴィスの身体はやけに冷えて、ヴィンセントは何度も抱き締め直した。
***
メイヴィスは朝からぼんやりしていた。
いつもだったら夫婦は大体同じタイミングで目覚めるが、ヴィンセントが動き出してもメイヴィスはベッドの上でぼうっとしていた。
朝食も進みが悪く、ヴィンセントが出掛ける際も、いつもだったらなにを言われずとも玄関先まで出てくるのに、今日はマヤに声をかけられて慌てて追いかけてくる。
ヴィンセントは心配そうに顔を顰めた。
「調子が悪いのか?昨日は寒かったようだから風邪をひいてしまったかな」
ヴィンセントの大きな手がメイヴィスの頬を撫で、首筋に触れる。何度か手を当て直して「熱はないようだが」と首を捻る。
「マヤ」
「承知致しました」
ヴィンセントの声にマヤは一礼を返した。
「さあ奥様、今日は室内で過ごしましょうね。冷えないよう膝掛けをどうぞ」
「もう、大袈裟よ」
ソファーに座ると膝にブランケットを掛けられ動けなくなってしまう。メイヴィスはくすくす笑って編みかけのレースに手を取る。
けれど。
編んで、目を飛ばして、解いて、編んで、解いて、解いて――ついに手を止めてしまった。
「奥様?」
メイヴィスはよれた絹糸を細い指でぼんやりと手繰っている。
「メル様?」
顔を上げたメイヴィスは真っ青だった。マヤは驚いて駆け寄る。
「メル様!?どうしました?どこかお辛いところが?」
「マヤ…」
細い肩に手を置き、全身に目を走らせる。
メイヴィスはくしゃりと顔を歪めて、ぽろぽろっと涙の粒を落とした。
「マヤ…どうしましょう、わたくし…っ、わたくし……!」
突然泣き出したメイヴィスを、マヤはその胸で包むように抱き締めた。
「――マヤ、メルの様子はどうだ?」
昼過ぎ、ヴィンセントが屋敷に戻ってきた。メイヴィスの具合が気になって仕事を抜けてきたのだ。
「一度調子を崩されまして、いまはお眠りになっています」
「やはりか…」
朝から様子がおかしかった。風邪を引いてしまったんだろう。
難しい顔をするヴィンセントからコートを預かったマヤは、もっと難しい顔をしていた。
「……旦那様、少しよろしいでしょうか」
人払いをしたヴィンセントの書斎で向き合う。
「旦那様。わたしは下町の店での生活から数えて、半年ほどメル様のお近くにおります」
「ああ」
「その間、メル様には月のものがきていらっしゃいません」
マヤの言葉にヴィンセントは声もなく驚いた。
目があって、マヤは真剣な顔で頷く。
「女性ならば月に一度はくるものです。わたしも迂闊でした。高貴な女性は薬を使っているのかと思っていましたので。けれど、世継ぎを求められるような女性が、わざわざ薬で止めるなどありえないのです」
「……そうだな」
「話を聞いたところ、メル様は以前から不定期だったようです。長く間が空いてしまうこともよくあったそうで、それで…」
腕を組んだヴィンセントは書斎机に重心を預けて目を閉じた。マヤはその正面に立ち、心痛な面持ちで続けた。
「メル様は『自分に子は望めない』と泣いていらっしゃいました。なにか言いましたか?」
ヴィンセントは顔を手で覆う。
「…すまない」
「その御心は是非メル様へどうぞ」
「ああ…っ、あ…、あ……っ」
夜毎ヴィンセントの手練で蕩けさせられて、メイヴィスの蜜口はなんなくヴィンセントの雄を咥えることができるようになった。
けれど狭い蜜壺に大きな熱杭をすべて飲み込むことはいまだ叶わず、少しずつ熱を深めて、奥を拡張しているところだ。
ヴィンセントは雄をすべて収めることに拘っていなかった。それよりメイヴィスを悦ばせることに重点を置いていて、時々それがひどく憎たらしい。
「あう…っ、あっ……ヴィンス…!ヴィンス!」
正面からメイヴィスを抱いて、ぐちゅぐちゅと大きなものが出入りする。浅いところを何度も擦られてメイヴィスは腰を震わせた。
気持ちいい。気持ちいいのに腹の奥底が疼く。
もっと深くにほしいと思っても「まだだめだ」と窘められる。
はじめてのときにわがままを言ってヴィンセントにも苦しい思いをさせてしまったことを反省しているメイヴィスは、渋々と頷いた。
「く……っ」
とぷりとメイヴィスの狭い蜜口に精が溢れる。
ヴィンセントはどんなに浅くても必ずメイヴィスの中に吐精した。それが愛おしくもあり、じれったくもある。物足りなさそうなメイヴィスに、ヴィンセントは「かわいい」と喜んだ。
濡れた身体を清めて裸のままベッドに横になると、すぐに大きな身体に抱き竦められた。
「冷えてしまうよ」
それから二人でシーツにくるまる。メイヴィスはヴィンセントの胸に頬を寄せて目を細めた。高い体温が心地いい。
メイヴェルの細い肢体を腕の中に閉じ込めて、ヴィンセントも満足そうに息を吐く。細い腰を引き寄せて密やかに笑った。
「奥じゃなくても、こうも毎回中に出していたら孕んでしまうかな」
「え……?」
「うん?いや、可能性の話だよ」
ヴィンセントとしては軽い冗談のつもりだったが、顔を上げたメイヴィスがひどく驚いていたから「大丈夫」とその背中をとんとんリズムよく叩く。
「大丈夫だよ、私たちは夫婦なんだから」
「ヴィンス…わたくし、御子は……」
メイヴィスは唇を引き結んで、甘えるようにヴィンセントの胸にすり寄った。
「メイヴィス?」
「ごめんなさい。なんでもないの」
首を横に振って顔を伏せる。
その晩、メイヴィスの身体はやけに冷えて、ヴィンセントは何度も抱き締め直した。
***
メイヴィスは朝からぼんやりしていた。
いつもだったら夫婦は大体同じタイミングで目覚めるが、ヴィンセントが動き出してもメイヴィスはベッドの上でぼうっとしていた。
朝食も進みが悪く、ヴィンセントが出掛ける際も、いつもだったらなにを言われずとも玄関先まで出てくるのに、今日はマヤに声をかけられて慌てて追いかけてくる。
ヴィンセントは心配そうに顔を顰めた。
「調子が悪いのか?昨日は寒かったようだから風邪をひいてしまったかな」
ヴィンセントの大きな手がメイヴィスの頬を撫で、首筋に触れる。何度か手を当て直して「熱はないようだが」と首を捻る。
「マヤ」
「承知致しました」
ヴィンセントの声にマヤは一礼を返した。
「さあ奥様、今日は室内で過ごしましょうね。冷えないよう膝掛けをどうぞ」
「もう、大袈裟よ」
ソファーに座ると膝にブランケットを掛けられ動けなくなってしまう。メイヴィスはくすくす笑って編みかけのレースに手を取る。
けれど。
編んで、目を飛ばして、解いて、編んで、解いて、解いて――ついに手を止めてしまった。
「奥様?」
メイヴィスはよれた絹糸を細い指でぼんやりと手繰っている。
「メル様?」
顔を上げたメイヴィスは真っ青だった。マヤは驚いて駆け寄る。
「メル様!?どうしました?どこかお辛いところが?」
「マヤ…」
細い肩に手を置き、全身に目を走らせる。
メイヴィスはくしゃりと顔を歪めて、ぽろぽろっと涙の粒を落とした。
「マヤ…どうしましょう、わたくし…っ、わたくし……!」
突然泣き出したメイヴィスを、マヤはその胸で包むように抱き締めた。
「――マヤ、メルの様子はどうだ?」
昼過ぎ、ヴィンセントが屋敷に戻ってきた。メイヴィスの具合が気になって仕事を抜けてきたのだ。
「一度調子を崩されまして、いまはお眠りになっています」
「やはりか…」
朝から様子がおかしかった。風邪を引いてしまったんだろう。
難しい顔をするヴィンセントからコートを預かったマヤは、もっと難しい顔をしていた。
「……旦那様、少しよろしいでしょうか」
人払いをしたヴィンセントの書斎で向き合う。
「旦那様。わたしは下町の店での生活から数えて、半年ほどメル様のお近くにおります」
「ああ」
「その間、メル様には月のものがきていらっしゃいません」
マヤの言葉にヴィンセントは声もなく驚いた。
目があって、マヤは真剣な顔で頷く。
「女性ならば月に一度はくるものです。わたしも迂闊でした。高貴な女性は薬を使っているのかと思っていましたので。けれど、世継ぎを求められるような女性が、わざわざ薬で止めるなどありえないのです」
「……そうだな」
「話を聞いたところ、メル様は以前から不定期だったようです。長く間が空いてしまうこともよくあったそうで、それで…」
腕を組んだヴィンセントは書斎机に重心を預けて目を閉じた。マヤはその正面に立ち、心痛な面持ちで続けた。
「メル様は『自分に子は望めない』と泣いていらっしゃいました。なにか言いましたか?」
ヴィンセントは顔を手で覆う。
「…すまない」
「その御心は是非メル様へどうぞ」
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