恋愛パーソナリティ!

睦月

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5.新しい感情

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 タケルと神田さんの仲直り作戦を考えようとしていた僕とマサル。しかし急にグループチャットに神田さんが現れ自分の問題だと釘を刺されてしまった。きっと上山さんからグループチャットの事を聞いたのだろう。


「えっ、あの二人の連絡先が知りたいの? あおいが男子に興味を持つなんて…」

 上山チサトは驚いた表情を見せた。

「あの二人は片岡君の友達だろ?絶対にお人好しだ。さっきの話をしたら仲直りさせようとしてくるぞ」

 そう言いながら神田あおいはソワソワしている。ロングの黒髪を人差し指でくるくるさせながら。

「仲直り手伝ってもらったら~? タケちゃんの事気にして学校来れてなかったんでしょ。辞めちゃうかと思ったわよ」

「自分の問題だから自分で解決したいのさ。ただ、片岡君とコウさんのクラスには行けないから。しかも久々に学校に行ったら痴漢されるし」

「痴漢されてたの助けてもらったんだってね。見た目大人しそうなのに岡田くんと小原くん」

「あの二人は正直嬉しかったな、こんなことは人生で数えるくらいだ。ジジイがマジしつこくてさ。泣き真似して大事《おおごと》にしてやったついでに鼻に肘入れといたけどな」

 少し頬を赤らめながらシュッシュッとシャドーボクシングをするあおいを、苦笑いで見つめるチサトだった。

「じゃーまた明日な、チサト」

「グループチャットに招待しとくから。バイバイ」

 笑顔であおいを見送ると、ふぅ。と溜め息をはいた。

「また明日か。ちゃんと学校来る気になったのね。本当は誰の事を気になってるのか知らないけど。まったく、いつも振り回されるなぁ」

 チサトはそう呟くとバッグからスマホを取り出し誰かにメッセージを送る。

『ちょっと気になる人が居てどんな人か教えてほしいんだ。岡田くんっていうんだけど─』


 次の日、タケルと一緒に通学出来た。何事も無かったかの様に話してくるので僕もそれに応える。

「昨日はスマホゲームが捗ったよ。相当強くなったね」

 得意気にタケルが言う。そりゃ早退してゲームしてれば強くなるよ。

「おはよう。気に入ってくれたみたいで何より。それより土曜日はマサルと泊まりに行ってもいいの?」

「おぉ! いいよ! じゃあ何するか後で決めようか! おはよう!」

 昨日と打って変わって元気なタケルを見ると逆に不安になった。しかし昨日マサルと話し合い、タケルが自分から話してくれるのを待つことにした。

 教室に入ると、昨日心配してくれていたクラスメイトの女子が

「今日は片岡君元気そうで良かったね」

 と笑顔で声を掛けてきてくれた。

 午前の授業が終わり、3人でお昼を食べる時間になる。いつものようにマサルがニコニコしながらやって来た。
 僕はマサルと目が合うとわかってる、神田さんの話題は出してないよという顔をした。マサルが軽く頷く。

「やっほ~。腹減ったなぁ。購買でパンでも買い足そうか迷うわぁ」

 そういえばマサルは結構体格が良い。中学まで武道やってたんだっけ。よく食べるのも納得。

「土曜日さ、マサルも来るっしょ。コウも来るから」

「お、行くで~! 宜しくな」

「皆で出来る対戦系やろうか。それかレースゲーム。」

 二人が盛り上がってきたところで飲み物が欲しくなり僕は自販機に行くことにした。午前の授業で疲れたのだろう。糖分補給しないと。

「ちょっと飲み物買ってくる。先に食べてて」

 そう言うと二人は、あーいと言いながらお弁当箱を開けだした。


 自販機に着きお金を入れ、チョコレートドリンクか飲むプリンで迷う。これは迷うな、と呟き飲むプリンをチョイスした。

「うわ、お昼ごはんとそれ飲むの?」

 背後から急に声を掛けられ驚き飲むプリンを落としそうになる。振り返ると神田さんが眉間に皺《しわ》を寄せながら近づいてきた。
 神田さんは背が高いので、若干圧を感じながら言い訳を述べる。

「ご、午後からの授業でも飲むよ! 甘い物飲まないと頭回らなくてさ」

「そんなのばっかり飲んでると、糖尿病になっちゃうよ。たまにはお茶とかにしようね」

 いっその事お茶持ってきてあげようか? という申し出を丁重にお断りした。

「それで、どうしたの? タケルの事?」

「片岡君の事じゃないさ。それはわかっているだろう? ただ単純にコウさんともっと話してみたいと思ったんだ」

 そう言うと神田さんはにっこり微笑んだ。
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