5 / 8
5.新しい感情
しおりを挟む
タケルと神田さんの仲直り作戦を考えようとしていた僕とマサル。しかし急にグループチャットに神田さんが現れ自分の問題だと釘を刺されてしまった。きっと上山さんからグループチャットの事を聞いたのだろう。
「えっ、あの二人の連絡先が知りたいの? あおいが男子に興味を持つなんて…」
上山チサトは驚いた表情を見せた。
「あの二人は片岡君の友達だろ?絶対にお人好しだ。さっきの話をしたら仲直りさせようとしてくるぞ」
そう言いながら神田あおいはソワソワしている。ロングの黒髪を人差し指でくるくるさせながら。
「仲直り手伝ってもらったら~? タケちゃんの事気にして学校来れてなかったんでしょ。辞めちゃうかと思ったわよ」
「自分の問題だから自分で解決したいのさ。ただ、片岡君とコウさんのクラスには行けないから。しかも久々に学校に行ったら痴漢されるし」
「痴漢されてたの助けてもらったんだってね。見た目大人しそうなのに岡田くんと小原くん」
「あの二人は正直嬉しかったな、こんなことは人生で数えるくらいだ。ジジイがマジしつこくてさ。泣き真似して大事《おおごと》にしてやったついでに鼻に肘入れといたけどな」
少し頬を赤らめながらシュッシュッとシャドーボクシングをするあおいを、苦笑いで見つめるチサトだった。
「じゃーまた明日な、チサト」
「グループチャットに招待しとくから。バイバイ」
笑顔であおいを見送ると、ふぅ。と溜め息をはいた。
「また明日か。ちゃんと学校来る気になったのね。本当は誰の事を気になってるのか知らないけど。まったく、いつも振り回されるなぁ」
チサトはそう呟くとバッグからスマホを取り出し誰かにメッセージを送る。
『ちょっと気になる人が居てどんな人か教えてほしいんだ。岡田くんっていうんだけど─』
次の日、タケルと一緒に通学出来た。何事も無かったかの様に話してくるので僕もそれに応える。
「昨日はスマホゲームが捗ったよ。相当強くなったね」
得意気にタケルが言う。そりゃ早退してゲームしてれば強くなるよ。
「おはよう。気に入ってくれたみたいで何より。それより土曜日はマサルと泊まりに行ってもいいの?」
「おぉ! いいよ! じゃあ何するか後で決めようか! おはよう!」
昨日と打って変わって元気なタケルを見ると逆に不安になった。しかし昨日マサルと話し合い、タケルが自分から話してくれるのを待つことにした。
教室に入ると、昨日心配してくれていたクラスメイトの女子が
「今日は片岡君元気そうで良かったね」
と笑顔で声を掛けてきてくれた。
午前の授業が終わり、3人でお昼を食べる時間になる。いつものようにマサルがニコニコしながらやって来た。
僕はマサルと目が合うとわかってる、神田さんの話題は出してないよという顔をした。マサルが軽く頷く。
「やっほ~。腹減ったなぁ。購買でパンでも買い足そうか迷うわぁ」
そういえばマサルは結構体格が良い。中学まで武道やってたんだっけ。よく食べるのも納得。
「土曜日さ、マサルも来るっしょ。コウも来るから」
「お、行くで~! 宜しくな」
「皆で出来る対戦系やろうか。それかレースゲーム。」
二人が盛り上がってきたところで飲み物が欲しくなり僕は自販機に行くことにした。午前の授業で疲れたのだろう。糖分補給しないと。
「ちょっと飲み物買ってくる。先に食べてて」
そう言うと二人は、あーいと言いながらお弁当箱を開けだした。
自販機に着きお金を入れ、チョコレートドリンクか飲むプリンで迷う。これは迷うな、と呟き飲むプリンをチョイスした。
「うわ、お昼ごはんとそれ飲むの?」
背後から急に声を掛けられ驚き飲むプリンを落としそうになる。振り返ると神田さんが眉間に皺《しわ》を寄せながら近づいてきた。
神田さんは背が高いので、若干圧を感じながら言い訳を述べる。
「ご、午後からの授業でも飲むよ! 甘い物飲まないと頭回らなくてさ」
「そんなのばっかり飲んでると、糖尿病になっちゃうよ。たまにはお茶とかにしようね」
いっその事お茶持ってきてあげようか? という申し出を丁重にお断りした。
「それで、どうしたの? タケルの事?」
「片岡君の事じゃないさ。それはわかっているだろう? ただ単純にコウさんともっと話してみたいと思ったんだ」
そう言うと神田さんはにっこり微笑んだ。
「えっ、あの二人の連絡先が知りたいの? あおいが男子に興味を持つなんて…」
上山チサトは驚いた表情を見せた。
「あの二人は片岡君の友達だろ?絶対にお人好しだ。さっきの話をしたら仲直りさせようとしてくるぞ」
そう言いながら神田あおいはソワソワしている。ロングの黒髪を人差し指でくるくるさせながら。
「仲直り手伝ってもらったら~? タケちゃんの事気にして学校来れてなかったんでしょ。辞めちゃうかと思ったわよ」
「自分の問題だから自分で解決したいのさ。ただ、片岡君とコウさんのクラスには行けないから。しかも久々に学校に行ったら痴漢されるし」
「痴漢されてたの助けてもらったんだってね。見た目大人しそうなのに岡田くんと小原くん」
「あの二人は正直嬉しかったな、こんなことは人生で数えるくらいだ。ジジイがマジしつこくてさ。泣き真似して大事《おおごと》にしてやったついでに鼻に肘入れといたけどな」
少し頬を赤らめながらシュッシュッとシャドーボクシングをするあおいを、苦笑いで見つめるチサトだった。
「じゃーまた明日な、チサト」
「グループチャットに招待しとくから。バイバイ」
笑顔であおいを見送ると、ふぅ。と溜め息をはいた。
「また明日か。ちゃんと学校来る気になったのね。本当は誰の事を気になってるのか知らないけど。まったく、いつも振り回されるなぁ」
チサトはそう呟くとバッグからスマホを取り出し誰かにメッセージを送る。
『ちょっと気になる人が居てどんな人か教えてほしいんだ。岡田くんっていうんだけど─』
次の日、タケルと一緒に通学出来た。何事も無かったかの様に話してくるので僕もそれに応える。
「昨日はスマホゲームが捗ったよ。相当強くなったね」
得意気にタケルが言う。そりゃ早退してゲームしてれば強くなるよ。
「おはよう。気に入ってくれたみたいで何より。それより土曜日はマサルと泊まりに行ってもいいの?」
「おぉ! いいよ! じゃあ何するか後で決めようか! おはよう!」
昨日と打って変わって元気なタケルを見ると逆に不安になった。しかし昨日マサルと話し合い、タケルが自分から話してくれるのを待つことにした。
教室に入ると、昨日心配してくれていたクラスメイトの女子が
「今日は片岡君元気そうで良かったね」
と笑顔で声を掛けてきてくれた。
午前の授業が終わり、3人でお昼を食べる時間になる。いつものようにマサルがニコニコしながらやって来た。
僕はマサルと目が合うとわかってる、神田さんの話題は出してないよという顔をした。マサルが軽く頷く。
「やっほ~。腹減ったなぁ。購買でパンでも買い足そうか迷うわぁ」
そういえばマサルは結構体格が良い。中学まで武道やってたんだっけ。よく食べるのも納得。
「土曜日さ、マサルも来るっしょ。コウも来るから」
「お、行くで~! 宜しくな」
「皆で出来る対戦系やろうか。それかレースゲーム。」
二人が盛り上がってきたところで飲み物が欲しくなり僕は自販機に行くことにした。午前の授業で疲れたのだろう。糖分補給しないと。
「ちょっと飲み物買ってくる。先に食べてて」
そう言うと二人は、あーいと言いながらお弁当箱を開けだした。
自販機に着きお金を入れ、チョコレートドリンクか飲むプリンで迷う。これは迷うな、と呟き飲むプリンをチョイスした。
「うわ、お昼ごはんとそれ飲むの?」
背後から急に声を掛けられ驚き飲むプリンを落としそうになる。振り返ると神田さんが眉間に皺《しわ》を寄せながら近づいてきた。
神田さんは背が高いので、若干圧を感じながら言い訳を述べる。
「ご、午後からの授業でも飲むよ! 甘い物飲まないと頭回らなくてさ」
「そんなのばっかり飲んでると、糖尿病になっちゃうよ。たまにはお茶とかにしようね」
いっその事お茶持ってきてあげようか? という申し出を丁重にお断りした。
「それで、どうしたの? タケルの事?」
「片岡君の事じゃないさ。それはわかっているだろう? ただ単純にコウさんともっと話してみたいと思ったんだ」
そう言うと神田さんはにっこり微笑んだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
イケメンエリート軍団の籠の中
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
唯一の女子、受付兼秘書係が定年退職となり
女子社員募集要項がネットを賑わした
1名の採用に300人以上が殺到する
松村舞衣(24歳)
友達につき合って応募しただけなのに
何故かその超難関を突破する
凪さん、映司さん、謙人さん、
トオルさん、ジャスティン
イケメンでエリートで華麗なる超一流の人々
でも、なんか、なんだか、息苦しい~~
イケメンエリート軍団の鳥かごの中に
私、飼われてしまったみたい…
「俺がお前に極上の恋愛を教えてやる
他の奴とか? そんなの無視すればいいんだよ」
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
放課後の生徒会室
志月さら
恋愛
春日知佳はある日の放課後、生徒会室で必死におしっこを我慢していた。幼馴染の三好司が書類の存在を忘れていて、生徒会長の楠木旭は殺気立っている。そんな状況でトイレに行きたいと言い出すことができない知佳は、ついに彼らの前でおもらしをしてしまい――。
※この作品はpixiv、カクヨムにも掲載しています。
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる