僕は隣国王子に恋をする

泡沫の泡

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第4章 僕は療養のためにオリヴァー王国に留まるらしい

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まだ頬を膨らませている僕を、ニコニコと見つめるルーク王子。
なんでそんなに見つめてくるのかな。

「ユヅ、もう呼んでくれないのか。さっきは沢山、ルークと呼んでくれたのに」

意地悪な顔で尋ねてくるルーク王子に、僕は赤くなって抗議した。

「もう!!」




あぁ、あんなに沢山ルークと可愛く呼んでくれたのに。
もう呼んでくれないだなんて、残念だ。

10年前、オリヴァー王国内の小さな茶会で、ユヅに初めて出会った。
あの時の彼(当時少女と思っていた)も、この前の一件のように暴漢に襲われたのだ。
そこを助けたのが当時8歳の私だったが、それからというもの、ずっと後をついて回るユヅの姿がとても愛らしかったのを覚えている。
翌日、帰るとなると「るーくとはなれたくない」と言いながら泣いて嫌がっていたことを思い出した。
当時は友人もおらず、堅苦しい生活をしていた私にとって、ユヅの存在は大きかった。
あの眩しい笑顔と、可愛らしい声に癒やされていた。




ルーク王子は物思いにふけている様子で、ボーッと僕の顔を見ていた。
どうしたのだろう。

「ルーク王子…?」

王子に問いかけた。
ふと僕に顔を向けると、頭を撫でてきた。

「ほらユヅ、ルークと呼んで」

僕の真横にはルーク王子の顔が。
緊張する僕なんか知りもしないで、ほら、と首を傾げる。

「ユヅ、私からのお願いだ」

切ない顔をされる。
続けて僕に問いかけた。

「私のこと、思い出してくれたのだろう?」

あぁ、もう、むりだ。
ここまでされて断るほうが良くない。

「…る、く」

ん、と短く返事をされる。
目線でもう一度と促された。

「……るーく、」

全てを言い終え、ルーク王子いや、ルークの顔を見ようとするができなかった。
それは、抱きしめられたから。

「……ユヅ、」


あたたかなルークのぬくもりを感じ目を閉じた。
額に感じた唇の感触は、友情の印だと思っていいのかな?
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