反薄明光線

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春臣

春臣、独白2

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事件があったのはセカンダリーの頃。
日頃からつるんでいたマサが新しい動画を仕入れたので皆で上映会をしようという話になった。


VRで体感する官能世界の方が凄いと思うが、奴らはアナログなものを好んだ。場合によっては見せっこや触りっこ、興奮の共有体験が出来るからだ。


俺は見る専門で触らせはしないし、何年か前に年上の彼女がいて、いろんな体験は一通り済んでいた。       


会場はヨシの希望で学校に近い我が家になった。
マサのデータを映像機器につなぐ。
流れ出す映像。これは一般に出回っていない動画らしい。



複数の男に次々とキスをされ、何かをキメているのかとろとろの表情になった女の子が服を脱がされている。


この子はモデルの卵らしい。きれいな子だった。男どもは何年か前のOB。映像では男の顔ははっきりしないが、学校で見かけたことがある気がした。


下着が落とされ小ぶりな胸が露わになった。
ベッドに倒れこんだ所を男達にむしゃぶりつかれていた。


性行為なんて見飽きて何とも思わない、けど、知人が出ていると思ったら妙に興奮してきた。


そんな時、コンコンと扉を叩く音がした。ヨシ達が振り返る。だらけて温んだ空気に緊張が走った。 


指先で停止を指示し、「何?」と扉に向かって問うた。

「ミタさんからお茶を預かってきた」

この場違いな呑気さは邦陽だ。子どもの頃から鈍くていろんな事に気付きが遅い。

「入れよ」

邦陽はそっと部屋に入ってきた。テーブルを指差し指示をした。
「そこに置いておいて」邦陽だったら何も気にする必要がない。
ヨシに向かって再生を促す声をかけた。


映像の内容に気が付いた邦陽は逃げ出そうとするが、ヨシが捕まえて自分の前に座らせていた。


何だか嬉しそうなヨシ。
邦陽は困ったような顔でこちらを見てくるが、困る事は無さそうなのでそのままにしておいた。
 

部屋中に鳴り響く淫らな音声。
しばらくすると邦陽がキョロキョロして腰をもぞもぞしだした。顔も赤らんでいる。 


もぞもぞの原因に気がついたヨシが邦陽の背後から抱きついた。

「俺がやってやる」

手はズボンの前をまさぐっている。高ぶった邦陽の処理をしているようだ。邦陽は体を前につんのめり悶えている。


目の前に突然発熱スポットが発生し映像どころじゃなくなった。


後ろのヨシは明らかに邦陽に発情している。
ヨシ自身の目もギラついて下半身もだろうが、鼻の穴も膨らんでいる。


邦陽は声を出し体を大きく震わせ脱力した。肩で大きく息を吐き横に倒れこんだ。


顔が上気し、白い肌がほのかに紅く染まっていた。黒目がちな目は潤み、唇は色づき唾液でぬめっていた。
 

この状況を皆目撃したと思う。隣に座っていたマサの唾液を飲み込む音が聞こえた。


それが合図になったのかもしれない。
興奮したヨシが邦陽の服を脱がし始めた。
ぐったりした邦陽は身じろぎをしただけで抵抗していなかった。


外れたボタン。シャツからのぞく喉元の白さが目に焼き付いた。白さの中にぽっかりと浮かんだカフェオレのような胸の飾りに目を奪われてしまった。

「やめて!」

切迫した声に気がつくと邦陽は2人に押さえつけられ暴れていた。スボンまで脱がされそうになっていていた。


ずり下げられた下着から邦陽の性器がちらりと見えた時、自分自身ダメだと思った。

「やめろよ!」

それでも興奮で顔が赤らんだヨシの手は止まらず、再度声を荒げてしまった。

「ヨシ、やめだって言っただろ、おふざけは終わりだ」

ヨシの手が止まり不満そうな顔をしていた。その顔はとても醜いと思った。


拘束から抜けた邦陽に自分の部屋に戻るように促した。


邦陽が去った後の部屋の空気は険悪だ。欲望の対象物を取り上げたのだ。飢えたサメの目前で血塗れの獲物を取り上げるように。


2人とも憎々しげに俺を見ている。

「どうでもいい従兄弟じゃなかったのかよ」
「親にチクられたらやばい。親はそれなりにあいつに気を使ってる」

実際は親も大して気に掛けていなかったが。


結局埋め合わせにヨシ達にお股ゆるゆるのお姉さんを紹介する事になった。 


俺に対してゆるゆるだっただけで、他の奴にもゆるゆるかどうかは知らない。自分で何とかしろ。


白けた雰囲気のまま惰性で動画を見て解散した。






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